異世界無宿

ゆきねる

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第一章 異世界転移

第五話 話し合い?

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「ねぇねぇ、コレはなに?」

羽根生えた小人は車をぐるりと見てから尋ねる。

思っていた展開ではなかった安堵感と、この先か読めない状況で頭が痛くなりそうだ。

「これは自動車と言ってだな、どうやらアーティファクトらしい」

俺はとりあえずショットガンを助手席に置く事にした。
これは悪手かもしれないが、目の前にいる小人の口調からは敵対心を感じなかったからだ。

「アーティファクト!?凄い!!」

小人は目を輝かせてクルクルと回る。

「こんな大きくて人間が乗れるアーティファクトなんて初めて見た!!乗せて!!!」

余りにも押しが強い小人だ。
しかし、初対面の相手を車に乗せるのはリスクが大き過ぎる。
話題を逸らして相手の動向を探る事にしよう。

「乗せても良いが、その前に聞きたい事があるのだが…良いかい?」

窓を少しだけ開け、努めて威圧感が無い優しい声で話しかける。

小人が頷く。

「君は…何者なんだい?」

キョトンとした顔になったと思ったら、ケラケラと笑い出す小人。
こちらは結構真剣に聞いたのだが。

「僕?僕はマルスだよ!見て分かるだろうけど、フェアリー族だよ!」

羽根を見せつけ、笑顔で答える。

…小人(フェアリー族)ですか。
もう何でも有りの世界なのか?

「遠くから強い魔力を持った何かが近付いて来ているから、調べて来なさいって長老に頼まれたんだ~」

魔力、長老…
考えないのが正解なのか、探偵小説よろしく知った顔をしておけば良いのか?
返答に困ってしまった。

「ミーニャお姉ちゃんも一緒だよ!ねー!」

ミーニャお姉ちゃん?
聞き捨てならない台詞だ。
この小人…じゃなかった、フェアリー族の少年?以外にもいたのか!
しかも俺の背後に手を振っていると言う事は、完全に背後を取られている。

振り向いてショットガンを掴んで仕舞おうか、いやその前に車のエンジンをかけるべきか…

つい先程ショットガンを助手席に置いた自分に蹴りの1つでもいれてやりたい気分だが、もう遅い。

「マルス!そう簡単にベラベラと喋るなと言っただろう!」

フェアリー族の少年、マルスを嗜める声。

振り向いてしまおうかと動こうとしたが、先んじて動かれた。

「動くな人間!まずはゆっくりとそのアーティファクトから出て来て貰おう」

凛とした声で、車から降りろと促される。

溜め息をついてから、ゆっくりとドアを開ける。
取り敢えず両手は上に挙げておくとしよう。

マルスはドアの隙間から車の中に入ってしまった。

「お前は何者だ?この森には何用で来た?」

ミーニャお姉ちゃんとやらは…俺からは暗くて顔が見えないが、頭上に鈍く光る何かがあるのだけは分かった。

「話すと少々複雑だが…」

言い訳に聞こえたのだろうか?
相手の頭上にあった物の輝きが増している。
まるで雷のような輝き具合だ。
音がしていないだけで。
攻撃する気満々だぞ…

「俺は…和泉と言う。今朝気が付いたら草原にいて、帝国の軍人とやらに襲われて、コイツで此処へ逃げてきた」

車の方を視線をやりつつ、物凄く簡潔に答える。
声は裏返ってしまったかもしれない。

ミーニャは俺と車を交互に見て

「イズミ?お前の名か。」

俺は頷く。

「ではイズミとやら、詳しい話は村で聞かせて貰うとしよう。そのアーティファクトと共に来てもらおうか」

そう言われたので、大人しく車に戻ろうとした。

「待て!武器を持っているだろう?それは私が預かろう」

…向こうからショットガンは見えない位置にあると思ったのだが、バレているのか。

仕方なくゆっくりとした動作でショットガンを取り出す。
車から出す際に弾をコッソリ抜き取って、助手席の足元に落とした。

マルスとやらは運転席のシートの感触が気に入ったのか、ポンポンと跳ねて遊んでいた。

「はいよ、コレだけだ」

ミーニャの足元近くにショットガンを優しく投げ、俺は車へと戻る。

ミーニャはショットガンを手に取り、物珍しそうに引き金を引いたりしている。

弾が入っていないから今は使えない事を告げると、安心したのか何処かに仕舞っていた。

「では村まで来てもらおう」

そう言われたが、こちらには1つ問題があった。

「大変恐縮なのだが…道が険しくて車では進めないのだが。」

俺の車は悪路走破性と言う観点から見ると、良い車とは言えない。
四駆ではないのだから。

はぁ?

と言われた気がしたが、距離があって実際は分からない。
ミーニャとやらが頭上の雷を消し、車に対して両手を伸ばした…
呪文のような物を唱えた途端、俺の車が浮き始めた。

魔法…恐るべし。

「これで良いか?では、村まで来てもらおう」

俺は車に乗っていない状態で動かされたので、徒歩でその村まで行くことになった。

ミーニャとやらの素性は分からないが、少なくとも最初に会った人間達よりは話も出来るし、酷い事にはならないだろうと判断して、歩を進める。

村に到着するまでには特段の会話もなく気不味さ満点だったが、明かりが見えて来た辺りから人々の声や喧騒が耳に入ってくる。

村の広場に車を下ろされ、俺は完全にアウェーな状態にて村に入る。

歓迎ムードでは勿論、無いのである。
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