異世界無宿

ゆきねる

文字の大きさ
178 / 619
第十三章 陰謀の気配

第百七十三話 遠のくシュリンプ料理

しおりを挟む
イズミが今後の予定を組み立ていると、ゾルダが声をかけてきた。

「イズミ、追いかけるつもりか?」

「いや…とりあえずシュリンプ料理かな。美味いシュリンプを出す店があると聞いたから、此処に来たんだ」

「シュリンプ料理?あれを出す店は知ってるが、今は時期じゃないな」

イズミは失念していた。
ここは異世界であり、海や川の生物の穫れる時期が違う事を。
冷凍の技術もほとんど無いこの世界では、時期が違えばその料理にはありつけないのだ。

「肝心な所を忘れていたな…」

「他に旅のアテが無いなら、周辺国が変な動きをする前に北の方面にある火山地帯に行ってみたらどうだ?」

隣国のその先、北の最果てまでは行かない所に巨大な火山があるらしい。

「そこはドワーフ族が多くいる土地なのだが、エルフ族も魔族も普通に共存している」

「ほぅ。面白そうだな」

「国名は確か…ハンハルディア共和国だったな」

「考えておこう」

ゾルダの話は面白そうだったが、目の前の問題…侵入者関連に片足を突っ込んでいるのでしばらくは辺境伯領に居た方がと思ったと告げると、軽い返事が来た。

「イズミなら普通に相手を追えるだろうが、他の領地との連携もあるので時間がかかる。そこまで気にするな」

「…分かった。では、その共和国とやらに観光目的で行ってみるとしよう」

シュリンプ料理はしばし諦めて、火山のある国での食事に思いを馳せる。
温泉とかもあったら嬉しいが、捕らぬ狸の皮算用にならないように心を落ち着けた。


ハルハンディア共和国へ行くとベリアに告げると、ベリアも同行すると言ったので旅路の確認を始める。

「あの国の火山地帯は凄いぞ。武器や防具を作る凄腕のドワーフもいるし、宝石を加工して魔法効果を付与出来るエルフやフェアリーもいる。冒険者なら1度は行きたい場所だな」

「普通に移動したらどのくらいかかる?」

「うーん…順調に移動出来ても、最低で約2ヶ月半くらいだな」

「結構だな」

イズミはマスタングへ乗り込み目的地を入力すると、思ったよりも早く到着出来そうだった。

「マスター。周囲の目を気にしなければ、半月で到着しますが…」

「目立ち過ぎると面倒だな…せめて1ヶ月かけよう」

「かしこまりました」

移動先に余裕を持たせたルート選択を済ませると、ベリアと出発日の相談をする。

「冒険者なら明日にでも…ってなるけど、昨日の件もあるしな。今日の内に説明して、明後日に出発でどうだ?」

ベリアからの提案を受け入れたイズミは、屋敷の従者に出発の事を伝える。
従者が報告をする為に屋敷へ戻ると、程無くしてエレナがやって来た。
もう自由自在に足を操れている。
現に屋敷から走って来たのだ。

「イズミさん、明後日旅立つのですか?」

「はい。思い立った時が旅立つ時ですので」

そう話していると、エレナの背後からジーヴルがヌッと姿を見せる。

「此奴との連絡手段なら妾が手配してやるから、エレナは安心して魔法の訓練に勤しむが良い」

流石は精霊である。
アーリアに頼もうかと思っていたが、手間が省けた。

「妾達精霊は、何処にでも居るのよ」

「それは頼もしいな…味方なら」

「味方じゃよ…あの酒の出所を邪険に扱う様な愚か者では無い」

どうやら相当気に入っているようだ。
イズミは少し笑みを浮かべ、マスタングのルーフを優しく撫でた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

処理中です...