異世界無宿

ゆきねる

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第二十一章 武器が出来るまで

第三百十七話 素材の正体は

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冒険者ギルド長は無言で暫くイズミを見つめる。
イズミの真意を探ろうとしているのか、長い沈黙が部屋を包む。

「…そうだな。確かにマンシュタインを同行させた目的は、ゴーレムとスタンピードの関連性の調査だ」

「ならば、純粋な買取りの話にしましょう」

「分かった。一度、ギルドの倉庫にて素材の状態とランクの確認をさせて欲しい。それに応じてキロ単価で買取り価格の相談をしたいのだ」

「それが良いでしょう。相場を理解するには丁度よいですから」

イズミはベリアと一緒にマスタングへと戻ると、マンシュタインの案内で冒険者ギルドの倉庫へ移動する。

「マスタング、マンシュタインの剣だが」

「あの剣はもう使えません。彼が最も良く理解しているかと」

「次の剣は直ぐに準備出来ると思うか?」

「可能かと。我々が手を貸す必要はありません」

マスタングがそう判断するならば、問題は無いのだろう。
イズミは倉庫の前でマスタングを停めると、アイテムボックスを使い素材を倉庫内に並べてゆく。

「マスター、これで全部です」

「ありがとう…並べると圧巻だな」

素材のランクを確認してもらう為に一度、500kg全てを倉庫に置くと早速冒険者ギルドの鑑定士が調べ始める。
次にドワーフ族の関係者も同様に確認をしてから、キロ単価を調整に入った。

「イズミよ、素材は全て上物だ。Sランクが300kgにAランクが150kg、驚く事にSSランクが50kgもあった」

「なら…SSランク25kgとSランク125kgの合計150kgはエレノアの取り分にして、残りが此方の持ち分にしたいですね。内訳は半々でどうでしょう」

イズミは何気無く取り分を決めて話を進めると、エレノアから確認が入った。

「イズミ、それだとイズミ達の取り分に旨味が少ないけど」

「ゴーレムを倒したのはエレノアさんですよ?このくらいはしないと、私が納得出来ません…ベリア、それでも良いか?」

「当然」

ベリアにも確認が出来たので、冒険者ギルドの面々の目の前で150kg分の素材をアイテムボックスに収納してエレノアに手渡した。

「そう言えば…この素材の名前って何でしたっけ?」

素材のレア度とかは聞いたが、肝心の名前を聞いていなかった事を思い出したイズミは、鑑定士の報告を聞いただろう冒険者ギルド長に確認する。

「この金属はな…アダマンタイトだ」

「アダマンタイト!?」

素材の名を知ったベリアが驚いて尻尾をブワッと逆立てる。

「成る程ね、通りで殴ったら硬かった訳だわ」

1人納得しているエレノアの隣で、イズミは元いた世界での記憶を探る。

「アダマンタイトって、とにかく硬いんだっけか?」

「そうだ。武器や防具の為にあると言っても過言じゃない素材だ…硬いだけでは扱い難いからな、他の素材との合金を作るのが最初の工程だ」

イズミの確認への回答は、背後から聞こえてきた。

「ボンネビル、体調は大丈夫なのか?」

「なぁに、冒険者ギルド長を務めて身体の鈍ったレオンチーノ坊やに心配される程じゃぁないさ」

レオンチーノ坊やと呼ばれた冒険者ギルド長は、薄くなり始めた頭を軽く掻き毟ると恥ずかしそうに答える。

「まったく!大親方はそうやって何時も茶化すんですから」

「お前さんが木刀もまともに振れないイタズラ好きの悪ガキの頃から知ってるんだぞ?儂にとっちゃ今でも坊やと一緒だ」

そう言えば冒険者ギルド長の名前も聞きそびれていたと、イズミは少し微妙な表情をしてから振り返った。

「上質なアダマンタイトが500kgか。冒険者ギルドで買い取るにしても、希少金属だから値が張る。明日の今頃には商人ギルドも嗅ぎつけるだろう」

「そこなんだよな…」

ボンネビルとレオンチーノが近くにあった椅子に座ると、イズミ達も呼んで会合のような形式になってゆく。

「まず最初に。SSランクはキロ単価で金貨80枚、Sランクが金貨60枚、Aランクが金貨50枚。これが冒険者ギルドで算出した金額です…アダマンタイト鉱山はこの地に無いので、ゴーレムがもたらした特需とも言えるでしょう」

レオンチーノがイズミ達を見て、意を決したように言葉を紡いだ。

「アダマンタイトの買取りだが…出来れば全部を買い取らせて頂きたい」

「それは流石に駄目だ。ベリアの武器や防具にSSランクのアダマンタイトを使いたいのでね」

イズミがそう言うと、ボンネビルが大笑いをしてイズミの肩を叩いた。

「イズミだったな!お前は面白いし仲間思いな人間のようだ…ベリアの装備なら、見る限りアダマンタイトはSSランクが5kgもあれば全てを更新しても余るな」

「そんな程度なのか?」

「そのナイフと同様のサイズで作るなら2…2.5kgを超えるかもしれん。アダマンタイト100%だと重量が嵩むからな、防具も同様だ。合金にして強度と重量の調整をするが、余裕を見て5kgだ」

今度はイズミとベリアが相談をする。

「ベリア、このままボンネビルに任せた方が良いと思うのだが」

「良いのか?イズミの分は取っておかないのか?」

「俺は…使う当てが無いかな。金貨として持ってた方が色々と使える気がしてるよ」

「分かった。イズミがそう言うなら」

相談を終えた2人は、レオンチーノに結論を出した。

「アダマンタイトはSSランク5kgを此方が手持ちにして、ドワーフ工房に直接持ち込みます。残りは全て冒険者ギルドの買取りに応じます」

「…有り難う」

レオンチーノが頭を下げると同時に、ボンネビルがニコニコとしている。

「言ったろ?この男は並みの思考では読みきれんと」

「私も読みが甘かったようです」

ポケットから金貨を1枚出したレオンチーノが、ボンネビルに渡した。

「…賭けていたのですか?」

イズミが聞くと、ボンネビルが笑いながら答えてくれた。

「そうだ!儂と坊やはな、昔からちょっとした事で賭け事をするのが好きでな。なぁ?」

「下手な賭け事をするよりも、丁度良く気軽に出来てですね」

2人はそう言うと、愉快そうに笑っていた。
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