異世界無宿

ゆきねる

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第二十一章 武器が出来るまで

第三百三十話 グラテミアへのお礼

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マスタングがお礼の品としてピックアップしたのは、2冊の書物と宝石やアクセサリー類だった。

「書物は…此方の世界の文字に変換済みか。内容は?」

「美容品に関するレシピ、菓子作りの基礎知識です」

「出所がバレたら荒れそうな奴だな」

イズミは思わず苦笑いを浮かべるも、グラテミアなら上手く活用してくれると判断して実体化させる。

宝石も確認すると見た目だけは普通に見えるが、マスタングの事なので何らかの効果付与がされている気がしてならない。

小振りな黄色の宝石をトップにしたシンプルなペンダント、桜の花びらの形をしたブローチ、指輪はリストに入っていなかった。

「このアクセサリーにも、効果付与があるのか?」

「ペンダントのチェーンに疲労回復に血行促進、トップの宝石はファンシーヴィヴィッドイエローです。ブローチには護身魔法が付与されております」

「疲労回復とかは分かるが、護身魔法?」

イズミは想像し難い護身魔法に興味を持った。
宝石に関しては全く分からん。

「攻撃に対応した障壁で攻撃を防ぎます」

「回数に制限は?」

「1000回です。上位のドラゴンブラスにも耐えられます。その後は通常のブローチとなります」

「…説明に困る代物だ」

そうボヤきながらも、実体化させてショルダーバッグに仕舞う。
マスタングから降りると、屋敷へと歩き出した。


「私にですか?」

「はい。色々とお手数お掛けしてますので」

屋敷内で見かけた従者に声を掛け、グラテミアに話をしたいと告げると、夕方に時間を作ってくれたのだ。

「私もマスタングも、ヒュミトールに来てから気の落ち着ける日々を送れています。屋敷外に監視の目があるのは、マスタングが探知してますので」

「イズミ様はラミア族の賓客ですから、当然の事ですわ。流石に屋敷外の者達へ対応するのは微妙ですわね」

イズミはショルダーバッグからお礼の品々を取り出すと、簡単に説明をしながら机の上に並べる。

「此方の書物は美容品に関する書物と、菓子に関する書物です。マスタングがこの世界の言葉に変換してますので、ご活用戴ければと存じます」

「言葉を変換?」

「あー…この部屋での会話は、外に漏れますか?」

「いえ。魔法で遮断と盗聴妨害はされていますわ」

グラテミアが疑問の言葉を口にしたので、イズミは部屋内の会話が外に漏れないかを確認してから、自身の出自について話し始めた。

「グラテミアさんは薄々勘付いているかもですが…私もマスタングも、この世界の生まれではありません。訳あってこの世界に転移して来たのです」

「やはり、そうだったのですね」

「私のいた世界では、マスタングは自動車と呼ばれていました。そのマスタングが創造の女神により、この世界にアーティファクトとして転生したのですが、転生魔法の発動時に私が車内に居たので」

「一緒に転生…転移でしたね」

「まぁ、旅は道連れって奴ですかね。なので私がマスタングで実体化出来るのは、元いた世界に実在する物がベースです」

「噂に聞く、隣国の貴族への治療もイズミ様の世界の技術ですか?」

「それはマスタングがアーティファクトとして転生した時に得た能力だそうです。かなり魔力を使うので、能力発動の際は私も覚悟と気合いが必要になります」

グラテミアが美容品に関する書物を軽く読んでいると、気に関するページに紙を挟む。

書物は渡したので、次は宝石やアクセサリー類である。

「このペンダントはグラテミア様に」

「私に」

「ペンダントのチェーンには疲労回復の効果付与が、トップの宝石は…イエローダイヤモンドの1種です」

イズミは宝石の名称を覚えきれておらず、イエローダイヤモンドで押し通した。
受け取ったペンダントをマジマジと見るグラテミアが、綺麗にカットされた宝石を真剣な眼で見つめる。

「初めて見るダイヤモンドですね。これ程まで黄色みが強いダイヤがあるなんて」

イズミはブローチを取り出して説明をすると、近くにあった椅子に座った。

「まだイズミ様に娘を助けて戴いたお礼も出来ていないと言うのに、これ程の品々を戴くなんて…」

グラテミアは丁寧な礼をしてイズミから受け取った品々を仕舞う。
イズミが部屋を出たのを確認してから、グラテミアは新たな悩みで苦労する事になった。

「これから、どう饗せばよいのでしょう…」

ペンダントを身に付けると大きな深呼吸をして、遠くにいる長老へと連絡をするのであった。
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