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第二十三章 独自の調査
第三百八十七話 夜中の違和感
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イズミが周囲の警戒をし始めて暫くの間は特に違和感も無く、嫌な視線のようなものも感じなかった。
マスタングにも索敵をさせてみたが、特に反応も無いので気の所為と言わざるをえない状況である。
夜食がてら黒パンとスープを準備し、マスタングを背にして食べる。
夜空を見上げてみるが、今晩は曇り気味で僅かに月明かりが差し込む程度。
ヒュミトールで購入した魔石ランタンを取り出すと、結界内に置いて明かりを灯した。
「…風が止んだな」
ポケットに閉まっていたライターを取り出し火を点けるが、風で揺らめく事は無かった。
ケースを閉めポケットに押し込んでから、腰に付けているライトを構え遠くを照らす。
照らした先に見えた雑草も風で揺らめいてはいなかった。
ライトを仕舞うとマスタングの元へ向かい、スープの残りを飲み干す。
腕時計を確認すると短針が10時、長針は6時位置を過ぎた所…22時30分、深夜帯ではある。
「マスタング、もう一度周囲の索敵を頼む」
「かしこまりました」
草木も眠る丑三つ時には少し早いが、用心するに越したことはないのだ。
「スキャン完了しました。微弱ながら魔力の反応があります、詳細の特定は困難です」
「何かは居るのか。場所の詳細はどうだ」
「領主の屋敷の敷地内です」
「其処は俺が頼まれ事をされた所だな、面倒な展開になって来たか?」
運転席のドアを静かに開けてモニターを確認すると、小さな反応が1つだけ表示されていた。
「この反応は俺達の存在に気付いているだろうか」
「何とも言えませんが、距離があるので行動は起こさないかと」
「明日以降は接近するから要注意だな」
ドアを閉めて周囲の警戒に戻ると、仮眠中のベリアが起き出して来た。
「どうしたベリア、もう少し眠ってて良いのに」
「…風の流れが止まったのが気になっちまってさ。獣や魔物の臭いはしないし、気配も視線も感じはしてないけど、違和感はある」
「これが女神様の言っていた、目が届かない理由なのか?」
「ソレは何とも言えない、調査も途中だし」
「情報不足だな。さっきマスタングで索敵を頼んだら、領主の屋敷だった建物の敷地内に微弱ながら魔力の反応があった。ベリアは気付いたか?」
ベリアは領主の屋敷のある方角を睨みつけ、大きく深呼吸をする。
「…いや、分からない。風の流れが止まっててボヤけちまう」
「ふむん、やはりちゃんと現地を確認しないと駄目そうだな」
少し早いがベリアが警戒を交代すると言ってくれたので、その言葉に甘えて仮眠を取る。
翌朝、日が昇り始める前に目が覚めたイズミは、荷物をマスタングに仕舞うと朝食の準備をする。
「おはようベリア、どうだった?」
「遠くからずっと嫌な感じだけがあって、気味が悪い。少し前から風が流れてきてるのが救いだな」
イズミは黒パンとベーコンに温め直した昨日のスープをカップに注ぐ。
「さてと。朝メシ食ったら調査を再開するか」
「だな、ジャムは無いのか?」
「ほいよ」
「やりぃ!」
ベリアは黒パンの半分はベーコン用、もう半分はジャム用に切り分けて食べ始める。
イズミはスープを飲んで身体を温めると、黒パンに焼いたベーコンをのせて食べた。
食後の小休止を兼ねて2日目の調査エリアの打ち合わせをすると、ベリアは領主の屋敷が気になるようで太陽がしっかりと昇っている時間帯に調べたいと言ってきた。
「今日調べるか、今日は屋敷の周辺までにするかだな」
「屋敷は明日にしようぜ、周辺を一通り調べてからの方が安心出来る」
「そうするか」
2日目は地図上では大通りになるエリアと、領主の屋敷付近を調査する事にした。
ルーフに取り付けていた魔道具を外してマスタングに乗り込むと、大通りの中間地点辺りまで走らせ現状確認をする。
「どうだベリア、何か臭うか?」
「なんだかなぁ、今は何も掴めない」
念の為にマスタングにも索敵をしてもらったが、特に反応は無いとの事だった。
「太陽が昇ってる時は普通って事なのか、それはそれで変な気もするが」
「夜行性の魔物だとしても、身を潜めえいたら探知までは出来そうなのに、何も感じないからなぁ」
少し困惑気味のベリアだったが、すぐに気を取り直して今日も調査を始めた。
マスタングにも索敵をさせてみたが、特に反応も無いので気の所為と言わざるをえない状況である。
夜食がてら黒パンとスープを準備し、マスタングを背にして食べる。
夜空を見上げてみるが、今晩は曇り気味で僅かに月明かりが差し込む程度。
ヒュミトールで購入した魔石ランタンを取り出すと、結界内に置いて明かりを灯した。
「…風が止んだな」
ポケットに閉まっていたライターを取り出し火を点けるが、風で揺らめく事は無かった。
ケースを閉めポケットに押し込んでから、腰に付けているライトを構え遠くを照らす。
照らした先に見えた雑草も風で揺らめいてはいなかった。
ライトを仕舞うとマスタングの元へ向かい、スープの残りを飲み干す。
腕時計を確認すると短針が10時、長針は6時位置を過ぎた所…22時30分、深夜帯ではある。
「マスタング、もう一度周囲の索敵を頼む」
「かしこまりました」
草木も眠る丑三つ時には少し早いが、用心するに越したことはないのだ。
「スキャン完了しました。微弱ながら魔力の反応があります、詳細の特定は困難です」
「何かは居るのか。場所の詳細はどうだ」
「領主の屋敷の敷地内です」
「其処は俺が頼まれ事をされた所だな、面倒な展開になって来たか?」
運転席のドアを静かに開けてモニターを確認すると、小さな反応が1つだけ表示されていた。
「この反応は俺達の存在に気付いているだろうか」
「何とも言えませんが、距離があるので行動は起こさないかと」
「明日以降は接近するから要注意だな」
ドアを閉めて周囲の警戒に戻ると、仮眠中のベリアが起き出して来た。
「どうしたベリア、もう少し眠ってて良いのに」
「…風の流れが止まったのが気になっちまってさ。獣や魔物の臭いはしないし、気配も視線も感じはしてないけど、違和感はある」
「これが女神様の言っていた、目が届かない理由なのか?」
「ソレは何とも言えない、調査も途中だし」
「情報不足だな。さっきマスタングで索敵を頼んだら、領主の屋敷だった建物の敷地内に微弱ながら魔力の反応があった。ベリアは気付いたか?」
ベリアは領主の屋敷のある方角を睨みつけ、大きく深呼吸をする。
「…いや、分からない。風の流れが止まっててボヤけちまう」
「ふむん、やはりちゃんと現地を確認しないと駄目そうだな」
少し早いがベリアが警戒を交代すると言ってくれたので、その言葉に甘えて仮眠を取る。
翌朝、日が昇り始める前に目が覚めたイズミは、荷物をマスタングに仕舞うと朝食の準備をする。
「おはようベリア、どうだった?」
「遠くからずっと嫌な感じだけがあって、気味が悪い。少し前から風が流れてきてるのが救いだな」
イズミは黒パンとベーコンに温め直した昨日のスープをカップに注ぐ。
「さてと。朝メシ食ったら調査を再開するか」
「だな、ジャムは無いのか?」
「ほいよ」
「やりぃ!」
ベリアは黒パンの半分はベーコン用、もう半分はジャム用に切り分けて食べ始める。
イズミはスープを飲んで身体を温めると、黒パンに焼いたベーコンをのせて食べた。
食後の小休止を兼ねて2日目の調査エリアの打ち合わせをすると、ベリアは領主の屋敷が気になるようで太陽がしっかりと昇っている時間帯に調べたいと言ってきた。
「今日調べるか、今日は屋敷の周辺までにするかだな」
「屋敷は明日にしようぜ、周辺を一通り調べてからの方が安心出来る」
「そうするか」
2日目は地図上では大通りになるエリアと、領主の屋敷付近を調査する事にした。
ルーフに取り付けていた魔道具を外してマスタングに乗り込むと、大通りの中間地点辺りまで走らせ現状確認をする。
「どうだベリア、何か臭うか?」
「なんだかなぁ、今は何も掴めない」
念の為にマスタングにも索敵をしてもらったが、特に反応は無いとの事だった。
「太陽が昇ってる時は普通って事なのか、それはそれで変な気もするが」
「夜行性の魔物だとしても、身を潜めえいたら探知までは出来そうなのに、何も感じないからなぁ」
少し困惑気味のベリアだったが、すぐに気を取り直して今日も調査を始めた。
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