397 / 625
第二十三章 独自の調査
第三百八十六話 調査1日目
しおりを挟む
翌朝、日が昇り始めたばかりでまだ食堂のモーニング営業も始まっていない時間。
イズミとベリアは静かに馬車置き場の扉を開けると、マスタングをゆっくりと外へ出した。
「雨の匂いは…しないな」
「それは朗報だ」
ベリアが大きく深呼吸をして、今日の天気を大まかに判断する。
荷物をトランクに入れ込むと、2人はマスタングに乗り込んだ。
まだ眠っている人も多いと考え、静かに発進させて通りへと出てから速度を上げて走り出す。
程なくしてモニター上でオブリビアに入ったとアナウンスがあった。
速度を落としつつベリアが広げた地図とモニターを見比べて、昨日予定を立てた調査エリアへと進む。
「よし、この辺だな」
「うーん…天気も良いし、変な臭いもしないな。女神様の足跡も此処までみたいだ」
「ここから先は自分達で頑張れって事だろうな」
マスタングから降りた2人は、虫除けの香と確認用のマーカーを各々の布袋に入れ込む。
「マスター、コチラを」
「帽子か、最近被ってなかったな」
過去に特注で作って貰った帽子を受け取ると、それを被り辺りを見渡す。
地図で見るよりも実際はかなり広大である。
イズミは一度ジャケットを脱ぎショルダーホルスターやスピードローダーを外すと、ウェスタンスタイルのガンベルトとホルスターへ付け替えて再びジャケットを着る。
「さて、調査を始めるとしますか」
「だな、二手に分かれよう、アタイは右側でイズミは左側にしよう」
「分かった」
イズミは腕時計の長針に回転ベゼルのポインターを合わせ、ボロボロになった民家や商店の跡地へ入る。
人が居た痕跡や荷物の有無を確認し、気になる事が無ければ地図にチェックマークを入れてから、確認マーカーを設置して別の建物の調査に向かう。
昔は都市だったとはいえ建物自体はそこまで複雑な構成では無いので、思ったよりは簡単かつスムーズに確認作業が進む。
水分補給がてらマスタングの元へ戻ると、先にベリアが戻って来て休憩をしていた。
「そっちはどうだった?」
「民家系が殆どだったけど、どの建物も空っぽみたいなもんだな。イズミの方は?」
「一緒だな。気になる点は今のところは無いかな」
地図を突き合わせて確認済みの場所を塗り潰し、昼食を取る準備をする。
ベリーのジャムを実体化させると、ベリアが大喜びでパンに塗って食べだした。
「次はどの辺りを調べようか?」
「都市の中心部は後回しで、外周から少し入った所くらいまでにしよう」
昼食を取り終え再び調査に戻る。
互いに小休止を挟みつつ夕方まで調べていると、唐突に誰かの視線のようなものを感じる。
崩れかけの民家だろう建物から出たイズミは、帽子を取って顔に扇ぎながら周囲を確認するが、人影や気になる動きは無かった。
「…気の所為か。今日はここまでにするか」
イズミは建物の前にマーカーを置くと、マスタングの元へ歩き出す。
ベリアは先に調査を切り上げていたのか、マスタングの側で寛いでいた。
「お疲れ、どうだった?」
「今日見た所は特に何も感じないかな…気になると言えば」
ベリアは右手で遠くを指差す。
その指先が指し示すのは、廃墟となった都市オブリビアのほぼ中央に位置する、旧領主の屋敷のある方角である。
「日が沈み始めてから妙な感覚があってな、誰かに見られているような」
「奇遇だな、俺もそれは思った」
イズミはマスタングのトランクを開けると、クイズのボタンもどきを取り出してルーフに置いた。
水晶に触れると淡い光を放ち、マスタングとその周囲を囲むような結界が張られた。
「これの効果は如何に…ってな」
「なんか、空気が澄んだような気がする」
結界の中で深呼吸をしたベリアが、一度結界の外と比較をしてから答えた。
「やっぱり向こうから視線を感じるな。それと、遠くから変な臭いが流れて来てる」
「視線と臭い、何かが居るのか?」
「うーん、嗅いだ事無いような。まだ薄くて判断がつかないだけかも」
「今日は順番に仮眠を取って、様子見としようか」
「だな。じゃ、アタイが先に寝る」
ベリアは自分の寝床をチャチャっと作ると、夕飯を食べ始める。
イズミは念の為にショットガンをショルダーバッグから取り出すと、メガネを掛けて結界の外の警戒を始めた。
イズミとベリアは静かに馬車置き場の扉を開けると、マスタングをゆっくりと外へ出した。
「雨の匂いは…しないな」
「それは朗報だ」
ベリアが大きく深呼吸をして、今日の天気を大まかに判断する。
荷物をトランクに入れ込むと、2人はマスタングに乗り込んだ。
まだ眠っている人も多いと考え、静かに発進させて通りへと出てから速度を上げて走り出す。
程なくしてモニター上でオブリビアに入ったとアナウンスがあった。
速度を落としつつベリアが広げた地図とモニターを見比べて、昨日予定を立てた調査エリアへと進む。
「よし、この辺だな」
「うーん…天気も良いし、変な臭いもしないな。女神様の足跡も此処までみたいだ」
「ここから先は自分達で頑張れって事だろうな」
マスタングから降りた2人は、虫除けの香と確認用のマーカーを各々の布袋に入れ込む。
「マスター、コチラを」
「帽子か、最近被ってなかったな」
過去に特注で作って貰った帽子を受け取ると、それを被り辺りを見渡す。
地図で見るよりも実際はかなり広大である。
イズミは一度ジャケットを脱ぎショルダーホルスターやスピードローダーを外すと、ウェスタンスタイルのガンベルトとホルスターへ付け替えて再びジャケットを着る。
「さて、調査を始めるとしますか」
「だな、二手に分かれよう、アタイは右側でイズミは左側にしよう」
「分かった」
イズミは腕時計の長針に回転ベゼルのポインターを合わせ、ボロボロになった民家や商店の跡地へ入る。
人が居た痕跡や荷物の有無を確認し、気になる事が無ければ地図にチェックマークを入れてから、確認マーカーを設置して別の建物の調査に向かう。
昔は都市だったとはいえ建物自体はそこまで複雑な構成では無いので、思ったよりは簡単かつスムーズに確認作業が進む。
水分補給がてらマスタングの元へ戻ると、先にベリアが戻って来て休憩をしていた。
「そっちはどうだった?」
「民家系が殆どだったけど、どの建物も空っぽみたいなもんだな。イズミの方は?」
「一緒だな。気になる点は今のところは無いかな」
地図を突き合わせて確認済みの場所を塗り潰し、昼食を取る準備をする。
ベリーのジャムを実体化させると、ベリアが大喜びでパンに塗って食べだした。
「次はどの辺りを調べようか?」
「都市の中心部は後回しで、外周から少し入った所くらいまでにしよう」
昼食を取り終え再び調査に戻る。
互いに小休止を挟みつつ夕方まで調べていると、唐突に誰かの視線のようなものを感じる。
崩れかけの民家だろう建物から出たイズミは、帽子を取って顔に扇ぎながら周囲を確認するが、人影や気になる動きは無かった。
「…気の所為か。今日はここまでにするか」
イズミは建物の前にマーカーを置くと、マスタングの元へ歩き出す。
ベリアは先に調査を切り上げていたのか、マスタングの側で寛いでいた。
「お疲れ、どうだった?」
「今日見た所は特に何も感じないかな…気になると言えば」
ベリアは右手で遠くを指差す。
その指先が指し示すのは、廃墟となった都市オブリビアのほぼ中央に位置する、旧領主の屋敷のある方角である。
「日が沈み始めてから妙な感覚があってな、誰かに見られているような」
「奇遇だな、俺もそれは思った」
イズミはマスタングのトランクを開けると、クイズのボタンもどきを取り出してルーフに置いた。
水晶に触れると淡い光を放ち、マスタングとその周囲を囲むような結界が張られた。
「これの効果は如何に…ってな」
「なんか、空気が澄んだような気がする」
結界の中で深呼吸をしたベリアが、一度結界の外と比較をしてから答えた。
「やっぱり向こうから視線を感じるな。それと、遠くから変な臭いが流れて来てる」
「視線と臭い、何かが居るのか?」
「うーん、嗅いだ事無いような。まだ薄くて判断がつかないだけかも」
「今日は順番に仮眠を取って、様子見としようか」
「だな。じゃ、アタイが先に寝る」
ベリアは自分の寝床をチャチャっと作ると、夕飯を食べ始める。
イズミは念の為にショットガンをショルダーバッグから取り出すと、メガネを掛けて結界の外の警戒を始めた。
31
あなたにおすすめの小説
彼に勇者は似合わない!
プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。
ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。
そこは豪華絢爛な王宮。
第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。
元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。
発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。
元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。
協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。
それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。
これは社会不適合者が歩む成長の物語。
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
龍と旅する。
水無月
ファンタジー
治安が良くない島々や国を龍と旅する物語。
主人公たちが探すのは「龍の卵」。だがそれを狙うのは彼らだけではなく、「龍狩り」や貴族とも争うことになる。
出会いと別れを繰り返して、ロッドとレリスは大海原を渡る。
・海龍 ロッド……最強。頼りになる。こいつ一人でいいんじゃないかと思われるが、とある理由からレリスと行動している。威厳のある話し方をするが、中身は幼い男の子。
・人間 レリス……男性。人間基準で言えば強いが、あくまで人間の枠組みの中でのこと。お人好し。
※注意
〇喧嘩しまくりの異種族同士ですが、彼らはお互いを家族だと認識しています。家族愛です。
〇レリスが生まれ持った性質のせいで「龍の卵」なみに狙われる時があります。徐々に巻き込まれヒロインみたいになります。
〇上記のふたつが無理な方はお気を付けください。表紙と挿絵は手描きです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる