異世界無宿

ゆきねる

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第二十三章 独自の調査

第三百八十六話 調査1日目

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翌朝、日が昇り始めたばかりでまだ食堂のモーニング営業も始まっていない時間。

イズミとベリアは静かに馬車置き場の扉を開けると、マスタングをゆっくりと外へ出した。

「雨の匂いは…しないな」

「それは朗報だ」

ベリアが大きく深呼吸をして、今日の天気を大まかに判断する。
荷物をトランクに入れ込むと、2人はマスタングに乗り込んだ。

まだ眠っている人も多いと考え、静かに発進させて通りへと出てから速度を上げて走り出す。

程なくしてモニター上でオブリビアに入ったとアナウンスがあった。
速度を落としつつベリアが広げた地図とモニターを見比べて、昨日予定を立てた調査エリアへと進む。

「よし、この辺だな」

「うーん…天気も良いし、変な臭いもしないな。女神様の足跡も此処までみたいだ」

「ここから先は自分達で頑張れって事だろうな」

マスタングから降りた2人は、虫除けの香と確認用のマーカーを各々の布袋に入れ込む。

「マスター、コチラを」

「帽子か、最近被ってなかったな」

過去に特注で作って貰った帽子を受け取ると、それを被り辺りを見渡す。
地図で見るよりも実際はかなり広大である。

イズミは一度ジャケットを脱ぎショルダーホルスターやスピードローダーを外すと、ウェスタンスタイルのガンベルトとホルスターへ付け替えて再びジャケットを着る。

「さて、調査を始めるとしますか」

「だな、二手に分かれよう、アタイは右側でイズミは左側にしよう」

「分かった」

イズミは腕時計の長針に回転ベゼルのポインターを合わせ、ボロボロになった民家や商店の跡地へ入る。

人が居た痕跡や荷物の有無を確認し、気になる事が無ければ地図にチェックマークを入れてから、確認マーカーを設置して別の建物の調査に向かう。

昔は都市だったとはいえ建物自体はそこまで複雑な構成では無いので、思ったよりは簡単かつスムーズに確認作業が進む。

水分補給がてらマスタングの元へ戻ると、先にベリアが戻って来て休憩をしていた。

「そっちはどうだった?」

「民家系が殆どだったけど、どの建物も空っぽみたいなもんだな。イズミの方は?」

「一緒だな。気になる点は今のところは無いかな」

地図を突き合わせて確認済みの場所を塗り潰し、昼食を取る準備をする。
ベリーのジャムを実体化させると、ベリアが大喜びでパンに塗って食べだした。

「次はどの辺りを調べようか?」

「都市の中心部は後回しで、外周から少し入った所くらいまでにしよう」

昼食を取り終え再び調査に戻る。
互いに小休止を挟みつつ夕方まで調べていると、唐突に誰かの視線のようなものを感じる。

崩れかけの民家だろう建物から出たイズミは、帽子を取って顔に扇ぎながら周囲を確認するが、人影や気になる動きは無かった。

「…気の所為か。今日はここまでにするか」

イズミは建物の前にマーカーを置くと、マスタングの元へ歩き出す。
ベリアは先に調査を切り上げていたのか、マスタングの側で寛いでいた。

「お疲れ、どうだった?」

「今日見た所は特に何も感じないかな…気になると言えば」

ベリアは右手で遠くを指差す。
その指先が指し示すのは、廃墟となった都市オブリビアのほぼ中央に位置する、旧領主の屋敷のある方角である。

「日が沈み始めてから妙な感覚があってな、誰かに見られているような」

「奇遇だな、俺もそれは思った」

イズミはマスタングのトランクを開けると、クイズのボタンもどきを取り出してルーフに置いた。
水晶に触れると淡い光を放ち、マスタングとその周囲を囲むような結界が張られた。

「これの効果は如何に…ってな」

「なんか、空気が澄んだような気がする」

結界の中で深呼吸をしたベリアが、一度結界の外と比較をしてから答えた。

「やっぱり向こうから視線を感じるな。それと、遠くから変な臭いが流れて来てる」

「視線と臭い、何かが居るのか?」

「うーん、嗅いだ事無いような。まだ薄くて判断がつかないだけかも」

「今日は順番に仮眠を取って、様子見としようか」

「だな。じゃ、アタイが先に寝る」

ベリアは自分の寝床をチャチャっと作ると、夕飯を食べ始める。
イズミは念の為にショットガンをショルダーバッグから取り出すと、メガネを掛けて結界の外の警戒を始めた。
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