異世界無宿

ゆきねる

文字の大きさ
406 / 701
第二十三章 独自の調査

第三百九十五話 屋敷へ侵入

ワラワラと現れる無数のグールをショットガンで処理しつつ、イズミは隙を見てグールからのドロップ品を確認する。

剣や魔法杖、ダガーナイフ、壊れたクロスボウ等々、一見ボロボロな武器や道具をドロップしている。
放置しているとドロップ品も地面に沈んでしまうようだ。

「ベリア様、マスターの武器用の予備弾倉を実体化したのですが、届けては頂けませんでしょうか?私が参戦する程でも無さそうですので」

「グールの群れに飛び込むのか…しゃあねぇ!」

両頬を軽く叩いたベリアは、マスタングがトランクにて実体化した大量のマガジンが入った布袋を取り出すと、アイテムボックスに詰め込む。

「ベリア様、コチラをお飲み下さい。グールやアンデッド類の悪臭から嗅覚を守れます」

「…苦かったりする?」

「味付けはしましたが、多少は」

「後で美味しい飲み物を用意してくれたりは?」

「それはマスターとご相談下さい」

マスタングが実体化した小瓶の蓋を取り、グイッと一気に飲み干す。
マスタングがベリア用にライチ味に調整したドリンクだが、マスタングはそう説明する事は無かった。

「思ってたヤツよりは、かなりマシだった。何かの果物みたいな味がしたけど、食べた事があるような無いような」

「それは何よりです」

なんの実かは思い出せていないベリアだったが、気を取り直してイズミの援護へ向かう。

「イズミ!援護に来たぞ」

「それは助かる、倒れたグールが生きてると足を掴もうとして来るんだ」

地面に倒れたばかりのグールの頭を踏みつけながら、イズミは状況の説明をする。

「頭を吹っ飛ばしたり潰せば問題ないが、それ以外では結構しぶとい。今の所は屋敷の入口から出て来ているが、他のパターンもあると思う」

「胴体を真っ二つにしても、上半身のみで動くってのは面倒だな…はいコレ、マスタングから」

ベリアは無詠唱で火球を放つと、グールは勢い良く燃えて地面へ倒れる。
その後でマスタングから頼まれた荷物をアイテムボックスから出した。

「予備弾倉?とか言ってたぞ」

「どれどれ…大量だな」

デカい布袋を開くと、フルオートショットガン用のドラムマガジンがミッチリと詰まっていた。
ご丁寧にフルロードされている。

「これで、もう暫くは戦えるな」

素早くショルダーバッグに詰め込むと、ベリアと手分けしてグールを討伐してゆく。
イズミはショットガンで倒すと、ベリアはライトを片手にグールを風魔法で1箇所にまとめると火魔法で焼却する。
ナイフを使う迄も無いらしい。

グールの出現数が減ってきたタイミングで、イズミは次の一手を提案した。

「ベリア、屋敷内も偵察しておこう」

「本気か?証拠品になりそうなドロップ品は十分にあるのに」

「原因の究明もまだだし、深夜の屋敷内がどんな感じなのかも知っておいた方が良いと思ったのだが」

「それは、そうだけど」

「決まりだな。マスタング、屋敷内に入るから、何かあれば連絡を頼む」

屋敷の外に待機するマスタングに指示を出すと、イズミは行く手を阻むグールを処理しつつ屋敷へと入り込んだ。

玄関ホールをショットガンに括り付けたライトで照らすが、グールの姿は確認出来ない。
それどころか、何事も無かったかのような静寂に包まれていた。

「静かだし冷えるし、気味悪ぃな」

ベリアはライトで階段を照らしながら、腰に下げたナイフに手をかける。
イズミが食堂だろう部屋に近付き探索をしていると、ベリアが無言でイズミの服を引っ張って来た。

「どうした?」

突然引っ張っられたイズミが聞くと、ベリアが小声で言った。

「二階に、誰か居た」

イズミが階段を確認したが、既に移動されてしまったようだ。
後を追う形でショットガンを構えつつ二階へ登ると、ベリアが発見したのかライトで相手を照らす。

「見つけた…待て!」

まるで自分達が追いかけて来るのを待っているかのように、何かは移動してゆく。
イズミは間が悪いのか、確認出来ていない。

「ベリア、どんな姿をしてたんだ?俺は見えなかったんだ」

「白装束みたいな、礼服っぽかった」

「…お化け?」

ベリアに追いついたイズミは、白装束の何かが入っていったと言う部屋の扉に左手を伸ばした。
勢い良く扉を開けると、素早くショットガンを構えて部屋内に入りクリアリングをするが、部屋内には誰も居なかった。

執務室のように見える部屋には、本棚や執務机がある。
埃を被っているが、物取りも入っていないのか荒らされた痕跡は見当たらない。

「誰も…居ないな」

ショットガンを降ろしたイズミは執務机に近付くと、机の上に1通の手紙を見つけた。
封は切られていない。

「い、イズミ…」

ベリアが指を指す先を見ると、白装束の何かが本棚の前に姿を見せていたのだ。
イズミはショットガンに手を伸ばしたが、白装束の何かは全く動じ無い。

少しの間睨み合いのような状態になったが、相手がゆっくりを右手をイズミの方へと伸ばした。
伸ばした先には、手紙がある。

「この手紙を、誰かに渡して欲しいのか?」

白装束の何かは左手に持っていた何かを床に落とすと、深々とお辞儀をして消えてしまった。
感想 25

あなたにおすすめの小説

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

この状況には、訳がある

兎田りん
ファンタジー
 どうしてこんなことになったのか…    ファルムファス・メロディアスは頭を抱えていた。  居なくてもいい場所に、しなくてもいい装いをしている事の居心地の悪さといったら!  俺の関係ない所でやってくれ!  ファルムファスの握りしめた拳の行方はどこに ○更新状況○ 2023/2/15投稿開始 毎週水曜20時頃次回投稿の予定