異世界無宿

ゆきねる

文字の大きさ
415 / 625
第二十四章 暴走を止めろ

第四百四話 アンデッドの対処術

しおりを挟む
「アーリア、まず教会に頼むとなると、どんな手続きが必要になるんだ?」

「そうね…基本的には通常のお布施とは別ね。先ずは教会に話をして、武器や装備に聖属性の加護を付与出来る者に取次いでもらうの。付与が必要な期間が長ければ長い程、付与する装備が多ければ多い程、必要な金額は増えてゆくわね」

「付与出来る者の数は?」

「少ないわね。付与出来るのは老若男女問わず御子と呼ばれていて、大体は教会の本部に居るから必要に応じて現地へ派遣される流れよ」

アーリアの説明を聞いたベリアは、その対応をアーリアは出来ないのかと聞いた。

「ベリアさん、光魔法はともかく聖魔法の付与は教会の秘術であり、魔術師協会でも使える者は限られてるの。それに魔術師協会と光の教会との取り決めで、魔術師協会に所属する者で聖魔法の付与が出来る場合は、使用する際に事前連絡をする事になってるの」

「じゃあ、事前連絡をすればアーリアも使えるのか?」

「出来なくは無いけど、付与出来る時間が本職より短いの…上手く出来ても半日が限界よ」

「それは…少し心許ないな」

「聖魔法の適性無しで半日も付与出来れば、上出来なのよ?」

ベリアとアーリアのやり取りを聞いたイズミは、マスタングに確認を取った。

「マスタング、今の話を聞いた上でアンデッド対策をどう考える?俺なら調査に御子が帯同する前提で、戦闘の際に都度聖魔法の付与を頼むのが良いと思ったが」

「それではマスターの武器が知られてしまいます。聖魔法の分析が出来れば、武器への付与をする条件や必要素材が分かるかもしれません」

「アーリアに見せてもらうにしても事前連絡が必要なら、教会の御子の付与を見てからでも遅くはなさそうだな」

話を終えたアーリアは転移魔法で自分の拠点へ帰ったので、2人は他の人のアンデッド対策を聞こうとなり屋敷へ向かった。
向かった先はグラテミアの部屋である。

「アンデッド類への対策?あまり参考にはならないわよ」

グラテミアは運良く休憩時間との事で、手短に話を聞かせてもらう。

「この前の戦闘でも倒せはしましたが、直ぐに復活して動いて来たので」

「消滅させられなかったって事ね、アンデッド系はそこが厄介なのよね」

「そこで後学の為にも、グラテミアさんの取る対策を知りたくてですね」

「簡単よ。光属性の魔石を取り込んで…つまり食べて、使う魔法に光属性を纏わせるの。ラミア族を含め一部の魔族は、それでアンデッド対策が出来る。ほんの少し纏わせるだけで、簡単な魔法でも消滅させられるわよ」

一部の魔族は魔石を食べたり取り込んだりする事で、その魔石に蓄えられた魔力分を使う魔法に上乗せしたり、属性の上乗せをする要領で纏わせるらしい。

「これが出来ればアンデッドは子供でも消滅させる事が容易なのだけど、人間族や獣人族の方には難しいわね。魔道具を介して似たような事はしてるけど」

「…確かに」

魔石を食べる使用方法と魔道具の使用方法の関係性は似ているのだ。
夜に使っていたパトライトもどきが、それに該当するだろう。
魔道具の作り手は考えた末に、魔族の魔石運用と似た利用方法に辿り着いたとなると、中々に面白い話である。

「人の身でそれをやるのは現実的じゃないから、素直に第三者に頼むのが良いと思うわ」

「そうします。お時間を頂きありがとう御座いました」

「そう言えばベリアさん、Sランク昇格の議論が出ているようね…ここまで来ると進むも地獄、引くも地獄みたいなもの。貴方が辞退しようとも貴族が絡むとそうはいかない…悩むくらいなら開き直った方が良いわよ、悩めばそこに付け込む者が現れるから」

「…分かりました、ご忠告感謝します」

2人はグラテミアにお礼を言うと、部屋を出て食堂で打ち合わせをする。

食堂で食事中の従者達とは少し離れた席に座ると、ベリアは溶けるようにテーブルに上半身を突っ伏した。

「Sランク冒険者って憧れの存在だったけど、思ってたのと全然違う」

「理想と現実にはギャップがあるものさ。どうせならSランクになって、元パーティーのメンバーを驚かせてやろうぜ。色々あってSランクになったぞ、って」

「色々の内訳が複雑過ぎるだろ」

「それも何かの縁ってやつよ」

2人がまったりと寛いでいると、そっとテーブルにチーズケーキが載せられる。
見ると料理長が差し入れとして持って来てくれたのだ。

「ありがとう御座います」

「いえいえ、私に出来る事は料理だけですから」

チーズケーキの断面を見ると、前回食べた時よりも綺麗になっている。
かなり研究をしたのだろう。

一口食べると、濃厚なチーズと滑らかな口当たりが癖になる美味しさだった。

「とても美味しいです。チーズも濃厚で一口の満足感がとても良いです」

「そう言って頂けますと、作った甲斐があります」

ふとベリアの方を見ると、既に完食して紅茶を飲んでいる。
幸せそうな表情をしているので、少しは悩みが晴れたと思いたい。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

彼に勇者は似合わない!

プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。 ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。 そこは豪華絢爛な王宮。 第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。 元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。 発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。 元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。 協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。 それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。 これは社会不適合者が歩む成長の物語。

不死身のボッカ

暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。 小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。 逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。 割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。 ※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。 ※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。 ※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。 ※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

龍と旅する。

水無月
ファンタジー
治安が良くない島々や国を龍と旅する物語。 主人公たちが探すのは「龍の卵」。だがそれを狙うのは彼らだけではなく、「龍狩り」や貴族とも争うことになる。 出会いと別れを繰り返して、ロッドとレリスは大海原を渡る。 ・海龍 ロッド……最強。頼りになる。こいつ一人でいいんじゃないかと思われるが、とある理由からレリスと行動している。威厳のある話し方をするが、中身は幼い男の子。 ・人間 レリス……男性。人間基準で言えば強いが、あくまで人間の枠組みの中でのこと。お人好し。 ※注意 〇喧嘩しまくりの異種族同士ですが、彼らはお互いを家族だと認識しています。家族愛です。 〇レリスが生まれ持った性質のせいで「龍の卵」なみに狙われる時があります。徐々に巻き込まれヒロインみたいになります。 〇上記のふたつが無理な方はお気を付けください。表紙と挿絵は手描きです。

処理中です...