竜帝の猛愛

蒼葉

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 本来ならば儀式の間で行うものも、緊急事態であるが故に封印柱の前で行う。

 竜帝の正装をまとい、継承の祝詞を唄う。

 竜玉は竜帝の血を持つ蒼月に反応するかの如く輝き出し、白蘭の全身に光を広げた後、一筋の線を描いて蒼月の元へと届いた。

 光が全て集まり終わると、美しい虹色の玉が目の前に現れる。
 すると、光は歓喜するかの様に蒼月を包み込み、契約の儀式を開始した。

 父の力と白蘭の力で守られた竜玉。

 守るべき主人を再び取り戻した竜玉は強く強く護りの加護ともう一つの加護を今代の竜帝に与えた。





 光が収束すると竜玉は消えていた。
 代わりに、蒼月の額に竜帝の印が刻まれている。

「無事、終わりましたね」

 ホッと溜息を吐く赤竜。
 本来なら竜帝から次代の竜帝へと竜玉は継承の儀式で譲渡される。
 しかし、蒼月は竜帝への儀式も出来なければ竜玉の継承も出来なかった。

「白蘭のおかげだ。これで今まで以上に国を護れる」

「では・・・」

嗚呼あぁみなを起こそう」

 そう呟くと竜玉の浄化の光を解放した。
 竜玉から放たれた光は竜帝国全土を覆い、民に降り注ぐ。

「全員、目覚めたか見て参ります」

 青竜がすぐ様数人の侍従達を引き連れて駆けて行った。
 残る三人の目線は、やはり白蘭へ。

「やっぱり駄目かぁ」

 さすがの黄竜も落ち込む。

「もう一度、見逃している文献が残っていないか書庫で調べてみます」

「俺も手伝う」

 赤竜は手を挙げた黄竜と共に早足で城へ向かった。
 後に残された蒼月は封印柱を撫でる。
 頑丈な封印柱それは自分達を阻む邪魔でしかない。
 新たに手に入れた竜帝の力で解呪を試みるが、弾かれる。
 もう一度。
 弾かれる。
 もう一度。
 弾かれる。

「白蘭・・・」

 苛立ちの奥にある哀しみが声に乗る。

「白蘭・・・目を覚ましてくれ・・・」

 『お願いだ』と、縋り付いてそう呟く。

「戻って来てくれ・・・」

 幼い時以上の想いで叫ぶ。

 瞬間。

 竜玉のもう一つの加護が発動した。

 
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