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南ノ神 朱雀
伍,朱雀ノ神技
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戦いに惚けている朱空だが、きちんと仕事はし、それなりに力も強いようで、青藍より時間はかからなかった。
青藍の時と同様、私たちは一番広い屋上に呼び出された。
朱空は今までと同じ格好に橙色と朱色の羽を羽織っている。
「よく来たな。知っていると思うが、神技を披露する。ほら、座れ座れ」
私たちは言われるがままに座り、朱空を見守った。
朱空は翼を実体化させ、ばさっと広げた。
(本来の姿がこれなので出さなければ神技は出来ない)
「我の力を持ってここに新たなる真実を示せ」
朱空の文句に札がふわりと浮き上がる。
札ら青藍の時のような柔らかい光ではなく、業火を思わせる力強い光を纏っている。
私は今度は見逃さまいとひしと見つめた。
「ここにある我が力、我が聖なる羽を持ってここに真実を導け」
朱空は自らの羽を1枚引き抜いた。それは朱空が手を離すと札の中心、光が溢れている穴のようなところに吸い込まれた。
その瞬間、ぱっと火の粉が散るように穴から赤い光が吹き出す。
次に朱空は小刀を取り出し、すっと手首に当てた。
「ここに我が朱雀の血を持って、ここに嘘を祓え」
朱空は眉一つ動かさず、小刀を引き、浅く手首に傷をつけた。血がつうっと溢れ出す。
朱空は傍にあった清潔な白い布を傷口にあて、血を染み込ませた。みるみるうちに赤い模様が広がっていく。
赤く染まった布は朱空の手によって光の穴に放り込まれた。
穴は今度は黄色い火の粉を吹いた。
札が纏っている光は今や艶やかな朱色になり、輝いていた。
そこまで確認すると朱空は私たちにはわからない(どうやら千雨は分かるらしい)言葉で文句を唱え始めた。
いよいよ文句の熱があがり、力が高まった、と思うとふっ、とそれまでの覇気と神々しい光は消え、一気に静まり返った。
目をしばしばさせ、朱空を見ると、朱空は笑顔で振り返った。
「できだぜ。まさかこんなに力を使うとは思っていなかったよ」
こちらに歩いてきて用紙を渡した朱空の額にはうっすらと汗が滲んでいた。どこか疲労も感じられる。
そんなことにはとっくに気がついていたであろう獣たちはせっせかと準備をしていた。
「ほらほら朱空、水だよ飲みな!」
「暑いでしょ?氷つくったから冷やしてね」
「椅子持ってきてやったぞ。疲れているのだったら座れ」
完全に召使いですよね貴方達。
私はつかつかと椅子に座り、水を飲み、氷で体を冷やしている朱空に歩み寄った。
しばしじっと朱空を見る。
「ありがとう。貴方最低だけど感謝するわ!」
すっと軽く頬に口付けをする。
「じゃ、じゃあね!先に部屋に戻ってる!」
ぽかん、としている朱空をよそに私は颯爽と部屋に戻った。
そんな訳で私は朱空がみるみるうちに赤く染まっていくのも、千雪が二又をぶんぶん振るのも、千雨がぴんっと尾をたてるのも、千凪が爆笑するのも見れなかったのだった。
青藍の時と同様、私たちは一番広い屋上に呼び出された。
朱空は今までと同じ格好に橙色と朱色の羽を羽織っている。
「よく来たな。知っていると思うが、神技を披露する。ほら、座れ座れ」
私たちは言われるがままに座り、朱空を見守った。
朱空は翼を実体化させ、ばさっと広げた。
(本来の姿がこれなので出さなければ神技は出来ない)
「我の力を持ってここに新たなる真実を示せ」
朱空の文句に札がふわりと浮き上がる。
札ら青藍の時のような柔らかい光ではなく、業火を思わせる力強い光を纏っている。
私は今度は見逃さまいとひしと見つめた。
「ここにある我が力、我が聖なる羽を持ってここに真実を導け」
朱空は自らの羽を1枚引き抜いた。それは朱空が手を離すと札の中心、光が溢れている穴のようなところに吸い込まれた。
その瞬間、ぱっと火の粉が散るように穴から赤い光が吹き出す。
次に朱空は小刀を取り出し、すっと手首に当てた。
「ここに我が朱雀の血を持って、ここに嘘を祓え」
朱空は眉一つ動かさず、小刀を引き、浅く手首に傷をつけた。血がつうっと溢れ出す。
朱空は傍にあった清潔な白い布を傷口にあて、血を染み込ませた。みるみるうちに赤い模様が広がっていく。
赤く染まった布は朱空の手によって光の穴に放り込まれた。
穴は今度は黄色い火の粉を吹いた。
札が纏っている光は今や艶やかな朱色になり、輝いていた。
そこまで確認すると朱空は私たちにはわからない(どうやら千雨は分かるらしい)言葉で文句を唱え始めた。
いよいよ文句の熱があがり、力が高まった、と思うとふっ、とそれまでの覇気と神々しい光は消え、一気に静まり返った。
目をしばしばさせ、朱空を見ると、朱空は笑顔で振り返った。
「できだぜ。まさかこんなに力を使うとは思っていなかったよ」
こちらに歩いてきて用紙を渡した朱空の額にはうっすらと汗が滲んでいた。どこか疲労も感じられる。
そんなことにはとっくに気がついていたであろう獣たちはせっせかと準備をしていた。
「ほらほら朱空、水だよ飲みな!」
「暑いでしょ?氷つくったから冷やしてね」
「椅子持ってきてやったぞ。疲れているのだったら座れ」
完全に召使いですよね貴方達。
私はつかつかと椅子に座り、水を飲み、氷で体を冷やしている朱空に歩み寄った。
しばしじっと朱空を見る。
「ありがとう。貴方最低だけど感謝するわ!」
すっと軽く頬に口付けをする。
「じゃ、じゃあね!先に部屋に戻ってる!」
ぽかん、としている朱空をよそに私は颯爽と部屋に戻った。
そんな訳で私は朱空がみるみるうちに赤く染まっていくのも、千雪が二又をぶんぶん振るのも、千雨がぴんっと尾をたてるのも、千凪が爆笑するのも見れなかったのだった。
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