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第2章 幼年編
140 海水浴とBBQ
しおりを挟むこの日はお楽しみの海水浴だ。
この日ばかりは勉強はナシ。漁村の先の砂浜へみんなで歩いて行った。
キャー
キャー
キャー
水をかけあったり、泳いだり。
浜辺の海は、とにかく最高だった。
水着姿の女子はみんな可愛かった。
(なぜか水着は現代日本のそれと変わらなかった)
ナタリー寮長のビキニの水着姿は‥‥‥ハイルだけでなく俺も鼻血が出そうだった。
「アレクどうしたの?」
「顔が赤いわよ?」
「べ、べ、別に赤くねーし‥‥」
「フフ。なに照れてるのよ!」
「照れてねーし‥‥」
いつもバカを言い合うくらい仲良くなったアリシアとキャロルのかわいい水着姿。
アリシアのビキニ姿にもキャロルのセパレート姿にも照れて、まともに視線を合わせられない俺だった。
(やっぱり女子のほうがマセてるんだよな)
見てはいけないモノもあった。
レベッカ寮長のハイレグ水着だ。これは違った意味で目の毒だった。
あー楽しいなー。
俺は平泳ぎやクロールをして楽しく泳いだ。
なんかでっかいイカがたくさんいた。
「こうか?こうか?」
バタバタバタバタ
「ああいいぞ、うまいぞ」
バタバタバタバタ
「こうか?こうか?」
両手を持って相方のバタ足を促す。
そう、寮の相方ハイルは泳げなかった。
もちろん海を見るのも、中に入るのも初めてだという。
ただセンスは良いみたいで、ものの5分もしない内に浮かんで犬掻きをし始めた。
キャー
キャー
キャー
その後は、みんなとボール投げをしたりして遊んだ。
うわぁーん!
チクショー、最高だぜー!
なぜか泣きながら遊ぶハイルがいた。
「おーい?ハイル何処だ?おーい?」
「ハイルくーん?」
あれ?さっきまでいたハイルがいない。
「おーい?おーい?」
しばらくして、ぷかーと浮上するハイル。
「おい!しっかりしろ!」
「レベッカ寮長!ハイル君が!」
沈むボールを追いかけて、ハイルは溺れてしまった。
(本人曰く、あまりの楽しさに息をするのを忘れていたらしい)
「まっ!たいへんよ!息をしてないわ!」
レベッカ寮長が言う。
(えっ?マジ?ヤバいんじゃね?)
ガバッ!
ちゅーーー!
ハイルを抱えた寮長が呼吸をしないハイルをマウストゥーマウスで息を吹き込む。
(えっ?でも寮長吸ってない?)
「んん‥」
しばらくして蘇生を果たしたハイルがいた。
「ああ、みんな。俺溺れたんだな」
「そうよ、危なかったんだからね!」
アリシアとキャロルが声をかける。
「なんかね、俺、天使が見えたよ‥」
「「「天使‥‥」」」
なんとも言えない空気感が漂った。
「アレク‥‥何があった?」
「いや、知らない方がお前のためだ‥‥」
「ご馳走さまっ!」
レベッカ寮長が呟いた。
「えっ?何?」
ハイルが周囲を見渡す中、みんなが下を向いていた。
「「さーみんなーお昼ご飯よー!」」
レベッカ寮長とナタリー寮長の2人が寮生たちを呼ぶ。
ふだんは1日2食なんだが、こうもしっかり遊ぶとさすがに腹も減る。
「「「腹減ったー」」」
砂浜に作られた簡易テントには、お楽しみのBBQが用意されていた。
大小さまざまな魚や、海老、貝。鍋もある。
そこには予想以上に美味しそうな魚貝類が並んでいた。
年配の方々を中心に、漁村のみなさん総出の歓待だ。
食事の前に、漁村のお爺さん村長が挨拶をした。
「今年もみんなで来てくれてありがとう。寂しくなったこの村も、学園のみんなが来てくれる夏は、賑やかだったころを思い出せるんじゃよ。どうかお腹いっぱい食べておくれ」
「「「いただきまーす」」」
「「うまっ!」」
「「おいしーい!」」
塩中心の味付けだが、なんと魚醤もあった。魚醤は魚から作られた醤油みたいなものだ。田舎の爺ちゃんが好みだったので俺にも馴染みの調味料が魚醤だ。
うん、この世界にきて、塩以外に初めて出会う調味料だよ。
シンプルに塩も美味しいが、どの魚も貝も少し魚醤を垂らして炙ればそのおいしさはさらに美味しくなった。村の名産という魚の干物や、海藻や魚のアラで煮て魚醤で味付けをした漁師汁もたまらなくおいしかった。
「アレク君、こっちに来たら?」
「はーい」
レベッカ寮長やナタリー寮長と一緒に、楽しく話しながらのBBQ。
やっぱり夏はいいな。
最初に挨拶をした村長さんや村のお年寄りも中に入って、食べて歓談する楽しいひとときだ。
「アレク君、この漁村ね、海の魔獣のせいで寂れちゃったのよ。それでも昔、私やお兄ちゃんがアレク君くらいのときはまだ賑やかだった名残りもあったのよ」
「そうなんじゃよ。こいつが村をダメにした魔獣キーサッキーなんじゃ」
こう言いながら、村長さんがキーサッキーという名の海の魔獣をBBQ台にどーんと乗せて焼き始めた。
「見た目が悪いんじゃよこのキーサッキーは。ワシは決して見た目ほど不味くはないと思うんじゃがの。みんな食べたがらず、結局駆除出来ずに増えすぎて魚も獲れなくなって村も廃ってしまったがの」
(さっきたくさん泳いでたやつ?)
俺の記憶にある「それ」の数倍はあるキーサッキーを焼きながら村長さんが言った。
「レベッカ寮長、これが魔獣キーサッキーなんですよね?」
「そうよ。クネクネして気持ち悪いわよねー」
そう言いながらクネクネしだすレベッカ寮長。
(いやいや寮長の方が怖いよ!)
「あーん!?」
レベッカ寮長の形相が瞬時に魔獣に変わった。
(えっ!?また俺、口に出してた?)
「ゴホ、ゴホッ。寮長、なな、なんでキーサッキーって言うんですか?」
「アレク君今何か言ったかしら?」
「言ってません!」
「‥まあいいわ。それはね、鳴き声がキーキー言うのよね、この子たち。サッキーは頭の先が尖ってるでしょ。『キーキー鳴く先の尖った魔獣』って言う意味なのよ」
(やっぱり!こいつはデカい剣先イカだわ)
「レベッカ寮長、ナタリー寮長、村長さん。魔獣、ひょっとしたらなんとかできるかもしれません」
「「「えっ?」」」
「ちょっと待っててください」
そう言った俺は合宿所にアレを取りに戻った。そう、粉芋と一緒に、誰かのお土産にと、ついでに持ってきたマヨネーズだ。
剣先イカとマヨネーズといったら、作れるものは2つある。
1つは大人の居酒屋の定番メニュー。もう1つはミートチョッパーで作る俺の爺ちゃんの故郷の味だ。ともに美味しい最強のアレだよ。
次回 イカす村おこし
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