アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

311 45階層 ナイトメア⑤

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 「民がみな笑顔だ。ショーンいい村だな」
 「はい父上。デニーホッパー村は俺たち自慢の村なんです」

父上と母上を連れてデニーホッパー村に帰ってきたんだ。

 「ショーン早く皆さんを紹介して」
 「はい母上。紹介します。3歳の俺を育ててくれたヨゼフ父さんです」
 「ヨゼフです。お内儀、アレ‥ショーン様には粗末な荒屋でお過ごしいただきました」
 「やめてくれよ父さん!そんな他人行儀なのは!」
 「そうですよ!ヨゼフさんにとってこの子はアレク、私にとってはショーン。どちらも一緒。ただの子どもにただの子煩悩な親なんですよ」
 「はい!おっしゃるとおりです」
 「じゃあ、あらためて父さん。俺を産んでくれたセーラ母上だよ」
 「お内儀、いやセーラさん、ショー‥アレクを産んでくれてありがとうございます」
 「はいヨゼフお父さん、頑張って産みましたよ」

 わははははは
 ふふふふふふ

 「母上、マリア母さんです」
 「マリア母さん、セーラ母上です。なんか変な紹介だなあ」
 「「ホントねー」」

 ふふふふふ
 フフフフフ

 「妹のスザンヌと弟のヨハンです。2人とも俺の大事な妹と弟です」
 「「こんにちは。お兄ちゃんのもう1人のお父さんとお母さん」」
 「「はいこんにちは
」」
 
 「アレクちゃん、早く、早く座ってもらって。さあさあご領主様どうぞこちらに」
 「ささ、ご領主様どうぞ」
 「もう!様は無しですよ。お互い息子の親なんですから」
 「そうですなあ」

 ワハハハハ
 わはははは

 楽しい宴が始まった。

 「父上、自慢のツクネです」
 「ああ、これはうまいな」
 「母上、父さんと母さんが丹精込めて作った芋と、芋から作った粉芋です」
 「これは甘くて美味しいわ」
 「お兄ちゃん私もあーん」

スザンヌが大きく口を開けて催促する。

 「スザンヌは弟もできたのに甘えん坊で困ったもんです」
 「あらショーンもしっかりお兄ちゃんなのね」
 「お兄ちゃん、僕も食べる。あーん」
 「私もあーん」
 「もうしょうがないなあ」

うん、これじゃあまるで雛鳥に餌をやる燕だよ
 
 「スザンヌは心優しい妹です。弟のヨハンは俺のシルフィのように水の精霊のディーディーちゃんが憑いたんです」
 「ショーン、人族で精霊付きはすごいことなんだぞ。ヨハン君も凄いな。お前のは母譲りだな」

わいわいと過ごす楽しい宴だった。
食後にはみんなで温泉に行った。俺は父上の背中も父さんの背中も流した。2人の父親と並んで湯船に浸かる。

 「ああ疲れが解れるよ」
 「気持ちいいな‥」

見上げれば、立ち上る湯気の間に満天の星がまたたく。

 「「「あ~気持ちいいなぁ」」」

自然と笑みが溢れる。また幸せがこみ上げてきた。家族みんなで温泉に入れるなんて思ってもいなかったよ。

お風呂のあとは隣に建てた村の宿泊施設に行ったんだ。

 「これはアレクが1日で建てたんです」
 「すごい土魔法の発言力だな!」
 「セーラお母さん、さっきの温泉も私たちの息子が造ったんてんすよ」
 「あらあら、私たちの息子が良いものを造ってくれたのね」

 「「「アレク(ショーン)」」」

そしたらね、そこにもみんなが来てくれた。

モンデール神父様、ディル師匠、シスターナターシャ、ホーク師匠のみんなが揃った。
誰もが中原中に名を轟かす凄い先生(師匠)たちだ。

 「「「ぼっちゃま!」」」
 「タマ!」
 「爺!」
 「ルキアさん!」
 
 メイドのタマ、マシュー爺、薬師のルキアさんまで来てくれたんだ。
そして大広間でいつまでもいつまでもみんなで語り合った。
幸せだなぁ。
俺は本当に人に恵まれているんだなあ。

 「うっ、うっ、あ、あじがどう、あじがどう‥‥」

辛い涙じゃない。幸せな涙だ。
涙はいつまでもいつまでも流れ続けたんだ。

「うっ、うっ、あ、あじがどう、あじがどう‥‥うわ~ん」

涙が止まらかったのはね‥‥‥
これが夢だってわかってるから。

45階階層主の白馬ナイトメアが見せてくれたどこまでも甘美でどこまでも幸せな夢……。

「ナイトメア‥‥(そういや東北のじいちゃんはなぜか白い馬を『あお』って呼んでたよな)‥‥うん、あおちゃん!良い夢を見せてくれてありがとう」
 「やっぱりわかったんだね!えーっとアレク。アレクは私と同じ匂いがするから余計親近感を持ってたんだよ!」
 「えっ?あおちゃん、最初にも言ったよね?同じ匂い?」
 「そうだよアレク。アレクは転生者だよね。転生者はね、独特な匂いがするんだよ。それも私と同じ日本人でしょ!アレクは日本人の匂いがするの」
 「えー!?あおちゃんも転生者だったのかよ!」
 「そうよ。私も日本人なの」
 「でもあおちゃんは馬だよね。日本人って?」
 「私ね、女神様から転生の打診を受けたとき、馬にしてくださいって頼んだの。だって馬が大好きだったし、生まれ変われるのなら今度は人の嫌な部分を見たくなかったから。だから生まれ変わったら馬にしてくださいってお願いしたの」
 「それであおちゃんは馬に?」
 「そうよ。だから私も今は幸せなの」
 「そっかぁ」
 「でもね、ダンジョンはめちゃくちゃ暇なんだけどね。ふふふ」

あおちゃんはクスクスじゃなかった、ヒヒーンって鳴いて笑ったんだ。

 「あとねアレク‥‥やっぱりナイショ。たぶん帰ったらわかるわ」
 「えっ?何を?」
 「ナイショよ。でも誰にも言ったらダメよ!」
 「??」


 「じゃあそろそろ起きてみんなと一緒に話をしようか」
 「あおちゃん!俺のこと‥‥」
 「ああ大丈夫よ。アレクと話をするときは2人の頭の中だけでの会話になるから」
 「それって精霊と話すのと同じでテレパシーみたいなもの?」
 「うーんそうなのかなぁ。私もよくわかんないけどアレクとする会話は他の人には聞こえないみたいだよ」
 「へぇーそうなんだね」
 「だいたい転生者だなんて人に言えるわけないよねー。理解してもらえないもん」
 「あおちゃんもだけどな」
 「本当よねー」
 「「わはははは(ヒヒーン)」」



 
 ナイトメアのあおちゃんが実体化した馬になるのはまだまだ先のお話。
そしてあおちゃんが終生アレクと共にあるのももっともっと先のお話。


――――――――――――――


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