アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

492 クロエの誕生日(前)

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 いつもの食卓にみんなが揃った。

 「早く食べようよ。お兄ちゃん!」

 「いや、まだだ。家族がまだあと1人足りないじゃん」

 「お兄ちゃんまさか‥‥」

 「ああアリサ。父ちゃんも揃ってのロイズ家だからな。
 お前が立派に復活ししたのと同じように、今日からわが家も再生するんだ」

 「「「‥‥」」」







 みんな‥‥なんとも微妙な雰囲気だな。ただ、断固拒否するとか嫌悪感いっぱいじゃないんだ。これはアリサの心境の変化が大きいんだろうな。


 ギギギギギーーーーーッ

 

 「よ、よお‥‥」

 おずおずと自分ん家に帰ってきた前皇帝‥‥俺はこのおっさんをこれからはオヤジって呼ばなきゃな。

 「‥‥」

 「‥‥」

 「旦那様お帰りなさいさね」

 「よぉオヤジ」

 「(オヤジかよアレク!)」

 「「「‥‥」」」

 なんとも微妙な雰囲気に変わりないかなって思ったけど……。

 クロエは違ったんだ。

 「父さま‥‥」

 ととととっ‥‥

 ひしっ!

 「クロエ‥‥」





















 「うわああぁぁぁーーーん父さまーーーっ!」

 膝をついた父親にしゃにむに抱きついて泣きじゃくるクロエ。

 「アリサ、お前はいつ変わるんだ?」

 「うっ‥‥」

 「おっさん。(ああ違った、俺もこの家の息子、長男だった)
 いや、オヤジ」

 「ん?なんだアレク」

 「アリサからオヤジに話があるぞ」

 「ア、アリサ‥‥」

 片膝立ちで泣きじゃくるクロエを抱いたオヤジも目が泳ぎまくっている。

 「うっ‥‥」

 アリサが自分の手をぐっと握り唇を噛んだ。

 「オヤジ、アリサも抱いてやれよ」

 「‥‥」

 「ほら、早く」

 「あ、ああ‥‥ア、アリサ‥‥」

 ゴクンっ






















 「と、父さま‥‥父さま、父さまーーっ!」

 「アリサ!」

 「うわあああぁぁぁーーん。父さまごめんなさい!父さまごめんなさい父さまごめんなさい‥‥」

 「アリサ!お前は何も悪くない。俺が、俺が悪かった。
 もっともっとお前たちと話をすればよかったんだ」

 「「うわあああぁぁぁーん‥‥」」

 「アリサ!クロエ!」

 見守るバブ婆ちゃんの目にも涙が溢れている。

 
 俺はデーツに近づき肘打ちをした。

 「(あとはお前だけだぞ次男のデーツ)」

 「クッ‥‥」

 「(デーツ、マリアンヌ先輩がな、また前みたく一緒に学校に通いたいってよ)」

 「(ウ、ウ、ウルサイ‼︎)」










 「さあみんな腹減っただろ。クロエの誕生日ご飯会をするぞ」

 「「ああ(うん!)」」






 
 「今日のメインはなローストビーフだぞ。どうだクロエ?」

 「やわらかくっておいしいよアレクお兄ちゃん!」

 「おいちいでちゅかクロエちゃん!」

 「お兄ちゃんまた赤ちゃん言葉になってるよ!恥ずかしいよ!」

 「すいません‥‥」

 「ウマッ‼︎」

 「なっデーツ。うまいだろ?」

 「ウ、ウマスギル‼︎」

 「どうだオヤジ?」

 「めちゃくちゃ美味いな」

 「だろ」

 「バブ婆ちゃんはどうだ?」

 「旨いさね!アレクこいつはお貴族様の食いもんかえ?」

 「いやいや違うよ」

 「オヤジこれなんかわかるか?」

 「オークだろ」

 「ああオークだ。じゃあどうしたと思う?」

 「どうしたってお前が狩ってきたんだろ?」

 「いいや。俺は解体しただけだよ」

 「じゃあどうしたんだ?」

 「わかんねぇかオヤジ?」

 「ま、まさか‥‥アリサか?」

 「ああアリサが1人
でオークを倒したんだ」

 「ほ、本当かアリサ」

 「うん。アレクお兄ちゃんに手伝ってもらったの」

 「う、うっ、うう‥‥グスッグスッ‥‥」

 アレクサンダー前皇帝が感極まって再び大泣きし出したんだ。

 「オヤジ‥‥いいおっさんの鼻水だらけの顔は見たくねぇわ!
 アリサと手を繋いでみろよ。びっくりするから」

 「アリサ‥‥手を繋いでくれるか?」

 「うん」

 オヤジが恐る恐るアリサの手を握ったんだ。

 「!!」

 「なっオヤジ」

 コクンコクンコクン

 オヤジが大きく頷いた。
 
 「アリサ‥‥お、お前は‥‥」

 「アリサは毎日毎晩ちゃんと修練してるんだぞ」

 「よく‥‥よくがんばったなアリサ。えらいぞ!」

 「父さま‥‥」

 「オヤジ、アリサは弓の修練も始めたんだぞ。こっちもけっこういい筋してるよ。

 アリサの強力な火魔法に弓、剣のコンビネーションがうまくはまればあと2、3年もすれば学園1位になれるだろ?」

 「ああ‥‥なれる」

 「長男の俺が次の春、そこの次男のデーツが目が覚めれば再来年、その次はアリサ、そして最後はクロエ。わが家から4人が1位になるぞ。
 長い帝国の歴史でも兄弟全員が未成年者で爵位、そうそうないだろ?」

 「あ、ああ‥‥ありがとう‥‥アレク‥‥ううっ‥‥」

 「だからーいいおっさんが泣くなって。ほら鼻拭けよ」

 ブーーーーーッッッ!

 「うわっ!ばっちい!俺の服に鼻水つけるなよー!」

 わははははは
 フフフフフフ
 あははははは
 ワハハハハハ


 「(でもなアレク、デーツとアリサはわかるがなんでそこにクロエが入るんだ?)」

 「(もうすぐわかるよオヤジ。クロエは3人の中で最強になるぞ)」

 「(?)」







 「クロエちゃんお口の端にソースがついて
まちゅよ」

 ぺろっ

 「もう!アレクお兄ちゃんやめてよー」

 わはははは
 キャッキャ


 みんなが笑顔で食べて話す食事会は大成功だったよ。







 「じゃあ食事会の最後はデザートだ」

 「「やったーデザートだー!」」

 「「お兄ちゃん今日は何?」」

 「今日は特別なホールケーキだぞ!」

 「「特別?」」

 「ああ。誕生日だけに食べられるのがこのホールケーキなんだ」

 俺は冷蔵庫で冷やしておいたデコレーションケーキをテーブルに置いた。

 「「「うわあぁぁぁ!」」」

 誕生日に合わせてホールケーキを作ったんだ。生クリームたっぷりのケーキを。

 「アレクお兄ちゃん、なんかすごいね!このけぇき?」

 「ああクロエ。お前の誕生日だからな。アリサの誕生日にも作るからな」

 「うん!ありがとうお兄ちゃん!」

 「さて‥‥誕生日ケーキには食べる前に決まりごとがあるんだよ」

 「「「決まり事?」」」

 「ケーキの上にはこの日の主役の年の数だけ蝋燭が乗るんだよ。 
 今日はクロエの4歳の誕生日だから4本の蝋燭な。でこの蝋燭に火をつけてからみんなで歌を歌う。ああ今日は初めてだから俺が1人で歌うな。
 それから‥‥クロエが4本の火を一息でフーッと消せばOKなんだよ」

 「ふーん。なんか面白そうねクロエ」

 「うんアリサお姉ちゃん!」

 「アリサの誕生日には蝋燭は12本だよ」

 「うん!」

 「アレク、それは王国のお貴族様の風習かい?」

 「いやバブ婆ちゃん。これは大昔の風習だったらしいよ」

 「へぇー」

 「じ、じゃあ火をつけるな」

 ホールケーキに蝋燭を4本挿して俺が指先から火を灯す。
 蝋燭は芯を太く作った特製蝋燭なんだ。

 「じゃあ歌うぞ」

 「お兄ちゃんが歌を歌ってくるのね」

 「「楽しみねー」」


 「ゴホン。えーっとクロエに捧ぐバースデーソング‥‥聴いてください」

 「アレク、やめたほうがいいわよ!絶対やめたほうがいいって!」

 シルフィがなぜか不思議なことを言ってるけど気にしない気にしない。

 「では‥‥」

















 











 「はーび婆ぁあスでえぇいクロエェえーーーーー歯ぁーピばあ素出でえぇいクロエぇーーーーー‥」










 「「「悪魔が来たのか!」」」

 「「やめてーー!」」

 「バブーシュカ!しっかりしてバブーシュカ!眠ったら死ぬわよ!」



























 「ほらみろアレク。ばーか」


―――――――――――――――


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