15 / 27
どうすっかな
しおりを挟む
外に出て、インベントリから小さな箱を取り出す。
これは現実にもあるタバコとほぼ変わらないものだ。
他にもキセルや葉巻もある。
水タバコもあったような気がする。
現実でもストレス発散にたまに吸っていた。
フィルター部分を口に挟み、指にファイヤーを点す。
店の邪魔にならないように、角の方へ移動して壁に凭れて煙を燻らせる。
肺に含め、ふーっと吐き出せば、一緒にもやもやも吐き出せるような気がする。
そうして数度煙を吐き出して、胸から下げているカードを取り出す。
これは冒険者カードだ。
俺の名前に、種族、ランクが書かれた簡素なカードだ。
名刺程のサイズで、メタリックなそれが太陽の光を反射する。
表記された名前はクピド。
そしてその後ろにかっこで囲われて灰色の文字で名前も記載されている。
そこには(マコト・キノシタ)とある。
門でこのカードを確認された時に、何も言われなかったし、俺も何も言わなかったのだが……俺の本名が書かれていたのだ。
この灰色表記は隠されているのだから、騎士も気付かなかったのだろう。
かくいう俺もカードを返された時に気付いたのだが。
今まで本名の記載はされていなかった。
灰色の文字でも、だ。
それが何故か表記されていて……それが示すのは何だろうと、煙混じりの溜め息が零れる。
種族は人間、ランクはS。
種族は言わずもがな、ランクは気が付いたらSだった。
まあ、素材採取だったり資金稼ぎに色々クエストをこなし続けてきたのだからそこはいい。
このランクは、初心者ならばFから、最高ランクはSSSだ。
NPCだとSSSランクは過去の英雄ぐらいしか存在していない。
現在存在している最高はSSランクだっただろうか。
これがプレイヤーならば、魔王を倒したり、イベントボスを討伐しているとSSSランクになれた。
俺はそこまで討伐に意識を持って行かなかったので、Sランクで止まっている。
夜会う予定のレオンもSランクだったはずだ。
俺は一応Sランクとはいえ、ソロではA程度だろう。
素材集めに狩りに行くことも多かったが、フレンドとパーティーを組んで行ってたからな。
このSランクもそうやって得たものだし。
これから狩りに行くのならば、ソロになってしまうのだろうか。
それともNPCでも声を掛ければパーティーを組んでもらえるのだろうか。
素材集め、どうすっかな。
「ここに居たのね」
「あ、終わった?」
ぼーっと空を見上げていたらジュリエーヌさんに声を掛けられた。
唇に挟んでいたタバコも、いつの間にかフィルターのすぐそばまで灰になっていて指に挟んだら落ちてしまった。
指でフィルターを摘まみ、根本から葉を落とす。
火種混じりのそれを靴で踏み潰して、フィルターはズボンのポケットへと仕舞う。
「アンタが使うものなのよ? もう少し興味を持ちなさいな」
「だからシンプルなので、って言ってんじゃん。聞いてくんなかったのはそっちだろー」
頬に手を当てて困ったように首を傾げるジュリエーヌさんに肩を竦めて答える。
仕方のない子ねぇ、と薄く笑うジュエリーヌさんに促されるまま店に戻り、カウンターへと向かう。
そこには数枚の下着のセットが置かれていた。
「こちらで宜しかったでしょうか? ご希望のシンプルなものです。ご試着していかれますか?」
「あー……うん。一枚着てくわ」
「え゛?」
「ん?」
ジュリエーヌさんから濁ったような声が聞こえた。
顔を向ければ信じられない、といった表情で、更にちょっと頬が赤い。
なんだ?
これは現実にもあるタバコとほぼ変わらないものだ。
他にもキセルや葉巻もある。
水タバコもあったような気がする。
現実でもストレス発散にたまに吸っていた。
フィルター部分を口に挟み、指にファイヤーを点す。
店の邪魔にならないように、角の方へ移動して壁に凭れて煙を燻らせる。
肺に含め、ふーっと吐き出せば、一緒にもやもやも吐き出せるような気がする。
そうして数度煙を吐き出して、胸から下げているカードを取り出す。
これは冒険者カードだ。
俺の名前に、種族、ランクが書かれた簡素なカードだ。
名刺程のサイズで、メタリックなそれが太陽の光を反射する。
表記された名前はクピド。
そしてその後ろにかっこで囲われて灰色の文字で名前も記載されている。
そこには(マコト・キノシタ)とある。
門でこのカードを確認された時に、何も言われなかったし、俺も何も言わなかったのだが……俺の本名が書かれていたのだ。
この灰色表記は隠されているのだから、騎士も気付かなかったのだろう。
かくいう俺もカードを返された時に気付いたのだが。
今まで本名の記載はされていなかった。
灰色の文字でも、だ。
それが何故か表記されていて……それが示すのは何だろうと、煙混じりの溜め息が零れる。
種族は人間、ランクはS。
種族は言わずもがな、ランクは気が付いたらSだった。
まあ、素材採取だったり資金稼ぎに色々クエストをこなし続けてきたのだからそこはいい。
このランクは、初心者ならばFから、最高ランクはSSSだ。
NPCだとSSSランクは過去の英雄ぐらいしか存在していない。
現在存在している最高はSSランクだっただろうか。
これがプレイヤーならば、魔王を倒したり、イベントボスを討伐しているとSSSランクになれた。
俺はそこまで討伐に意識を持って行かなかったので、Sランクで止まっている。
夜会う予定のレオンもSランクだったはずだ。
俺は一応Sランクとはいえ、ソロではA程度だろう。
素材集めに狩りに行くことも多かったが、フレンドとパーティーを組んで行ってたからな。
このSランクもそうやって得たものだし。
これから狩りに行くのならば、ソロになってしまうのだろうか。
それともNPCでも声を掛ければパーティーを組んでもらえるのだろうか。
素材集め、どうすっかな。
「ここに居たのね」
「あ、終わった?」
ぼーっと空を見上げていたらジュリエーヌさんに声を掛けられた。
唇に挟んでいたタバコも、いつの間にかフィルターのすぐそばまで灰になっていて指に挟んだら落ちてしまった。
指でフィルターを摘まみ、根本から葉を落とす。
火種混じりのそれを靴で踏み潰して、フィルターはズボンのポケットへと仕舞う。
「アンタが使うものなのよ? もう少し興味を持ちなさいな」
「だからシンプルなので、って言ってんじゃん。聞いてくんなかったのはそっちだろー」
頬に手を当てて困ったように首を傾げるジュリエーヌさんに肩を竦めて答える。
仕方のない子ねぇ、と薄く笑うジュエリーヌさんに促されるまま店に戻り、カウンターへと向かう。
そこには数枚の下着のセットが置かれていた。
「こちらで宜しかったでしょうか? ご希望のシンプルなものです。ご試着していかれますか?」
「あー……うん。一枚着てくわ」
「え゛?」
「ん?」
ジュリエーヌさんから濁ったような声が聞こえた。
顔を向ければ信じられない、といった表情で、更にちょっと頬が赤い。
なんだ?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる