腐女子の俺が逝く! ゲームから出られなくなった俺は趣味を堪能するはずが……あれあれ?

冬生羚那

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考えたいこと

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 その後はジュリエーヌさんと別れ、別の下着屋でとある物を注文し、俺は食材や調味料などを揃えていく。
 別れ際に後日店に行くことは約束させられたけど。
 なんか、服作ってくれるらしい。
 やったね!

 家に自分用のものは少ないが、一応は揃っているからそこまで買う必要はない。
 ああ、そうだ。
 それよりもこれからもこの世界で過ごすなら、ちょっと考えたいことがある。
 それは野営のことだ。

 今までならポータルや転移で短縮出来たが、俺のポータルは今家に帰ることしか出来ない。
 試しに現在地を登録してみようとしたがダメだった。
 ということは、この先野営する可能性があるのだ。
 今までなら眠れば一瞬だったが、昨日は普通に眠った状態になっていた。
 となると、寝袋を考えないとキツい。
 今までは安いものでペラッペラの寝袋だったけど、この先どこへ行くかもわからないからな。
 そしてテントの簡易結界だけで魔物を避ける事が出来るのかも検証しないといけない。
 じゃないと俺が死ぬからな。

 料理も今までなら余裕があったが、どうなるか……。
 出来上がった料理だけで間に合うのだろうか。
 気軽に狩りに行けないのだから、節制するべきかもしれない。
 外でも料理が出来るように色々揃えるべきだろうか。
 現実よりも金銭に余裕があると言っても、無くなるものだ。
 クエストも受けて狩りに行くにしても、野営からは逃れられない。

 俺は金物屋に移動し、外で使う鍋やカセットコンロを一式購入することにした。
 他にもちょっとお高い寝袋などを買っていたら、手持ちの金がドンドン減って行った。
 当たり前だけどな。

 悩みつつ買い物をしていたら電子音が耳に届いた。
 空中には小さな窓が開き、そこには『レオン』の文字が見えた。
 道の端に寄り、「コールオン」と呟く。

「今どこだ?」

 挨拶もないのかよ。
 そう思いながら苦笑いを浮かべ、自分の場所を確認する。
 俺が居たのは西区の入り口だった。

「今西区だな。レオンはどこだ?」
「俺はいつものとこだ」

 いつものとこ、と言われどこだったかと首を捻る。
 レオンと会えるのは、冒険者ギルドか常宿にしている北区近くの宿屋だったな、と思い出す。

「ああ、鴉亭……だっけ? そっち?」
「おお」
「んじゃあそっち向かうわ」
「おう」

 簡素な通信が終わり窓を消す。
 手にしていた荷物をインベントリに仕舞い、噴水広場の方へと体を向ける。

 鴉亭は高級でもない宿屋だ。
 宿屋は大体が食堂も経営していて、この鴉亭は美味いと評判だった。
 俺のインベントリにもそこの弁当が残っている。

 辿り着いたそこは、賑わっていた。
 日も落ち始め茜色に空が染まり始めている時間だ。
 足を踏み入れれば、宿屋の看板娘が元気いっぱい「いらっしゃいませー!」と迎えてくれた。
 席に案内しようと近づく彼女に手を上げて制し、きょろりと店内を見回せば、見知った獣頭がこちらを見て手を上げてくれた。

 レオンは狼の獣人である。
 二足歩行する獣タイプで、しかしその手は人間のように指に掌がある。
 この手で大剣を握り、揮うのだ。
 なので、肉球がない。
 これには、ちょっとばかし残念に思った。
 仲良くなったら肉球ぷにらせて欲しかったからね!
 まあ、尻尾も触りたいんだけど、そこはあれです。
 良くある『二人きりの時にしか触らせない』ってやつさ。
 これはあれよ、獣人×人間っていうカップリングでね、盗み聞きしたあれです。
 犯罪って言うなよ。
 込み上げる好奇心には勝てなかったんだよ。

 ……そういえば、今まで誘導してきたカップルはどうなったんだろう。
 レオンはこの街の花屋の線の細いお兄ちゃんとくっ付いてたはず。
 どうにかして聞き出そう。

「お待たせ」
「おう。食うものは適当に頼んだからな」
「何飲むかなー」

 レオンの座るテーブルは丸くて四つ椅子が添えられていた。
 レオンと向き合う椅子に腰かけ、壁に並ぶメニュー表に顔を向ける。
 その間にも、テーブルにレオンが頼んだらしい料理が並んでいく。

「あ、すいません」
「はい!」
「エール一つ」
「はーい!」

 テーブルに皿を乗せていたおねーちゃんに注文し、レオンに目を向ければ傾けていたジョッキがテーブルに置かれる所だった。
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