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なんだってー!?
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全身が水色の少年が俺にしがみついて目を輝かせていた。
触れる体はしっとりとしていて少し冷たい。
着ている服も水色で、ギリシア神話に出てくる人のような恰好をしている。
この少年の体も、服も、全てが水で出来ているような感じだ。
ただ、その瞳だけはもっと蒼い。
瞳孔や白目がない、綺麗なラピスラズリのようだ。
水色の美少年、現るってか。
「ごめんなー。あ、そうだ。友達も一緒に来てんだ。紹介するよ」
抱き着いたままの精霊の頭を撫でながら後ろを振り返る。
ちょっと離れた位置で立つレオンが、ぱかーんと口を開けたまま……はっきり言ってしまえば間抜け面を曝していた。
「あの狼がレオン。あれでSランクの強さがあってな」
「……へぇ?」
俺に抱き着いたままで、精霊はレオンに目を向ける。
この精霊、水の中級精霊である。
精霊にも段階があり、低級、中級、大精霊、精霊王となる。
数はピラミッド型になり、下が低級、一番上が精霊王なのは皆わかるかと思う。
精霊王は一人、大精霊はちょびっと、中級はそこそこ、低級はいっぱい、って感じでな。
プレイヤーの中には『精霊使い』という職があった。
これは精霊を使役するものだが、低級から育てて使役するのだ。
そして精霊使いは人気があった。
なので、大精霊は使役するプレイヤーの数だけ多かったと思う。
今はどうなのか、知らないが。
「あー、レオンだ。宜しく」
「……やだ」
所在なさげながらもそう言ったレオンに、精霊がぷいっと顔を背ける。
唇を尖らせる姿は、ぶっちゃけて可愛い。
が、レオンはしょんぼりと肩を落としている。
「なんだよ、レオンだめか?」
「だって、アイツ僕と相性悪い」
「じゃあ火か?」
「そっち系、だからよろしくしない!」
そう言って俺の胸元に顔を擦りつけてくる。
苦笑いでレオンを振り返れば茫然としていた。
嫌がられたショックで、何を言われたのか判断出来ていないのだろう。
おい、Sランク。
そんなに無防備で、しかも頭の回転悪くてどうすんだよ。
「お前火の精霊とかのが相性いいってさ」
「……そうなのか?」
「みたいだぞ。良かったな。精霊と仲良くなりたいならそっち行けばいい」
「そうか!」
一転してぱぁあ、と顔を輝かせるレオンに笑いが込み上げてくる。
わかりやすすぎる。
尻尾もレオンの左右から顔を覗かせてるからな。
まあ、精霊との相性は自分でもそこそこあげられるんだけどな。
これはプレイヤーだけなのだろうか。
「……で、何してんだよ」
「クピドを堪能してる」
俺に抱き着く、というかしがみついている精霊は、ぐりぐりと俺の胸の間で顔を動かしている。
これ、なんて言うんだっけ……。
だいしゅきホールドだっけ。
重さは感じないが、動けないぞ。
精霊の背中をぽんぽんと叩いてやれば、顔を上げてにへーっと笑う。
次いで、じーっと俺を見上げてくる。
「ねぇ、あの狼とヤった?」
「ふぐっ、げっほ、ごほっ」
「お、おい。大丈夫か?」
どうした、と首を傾げたら小さな可愛らしい声でとんでもないことを聞かれた。
咽てしまったじゃないか。
顔を横に向けて咳き込んでいると、後ろからレオンに背中を擦られた。
心配そうに俺を見下ろすけど、お前のせいだから!
そしてどうしてそんなこと言い出したんだコイツ!
「ねぇ、ヤった?」
「な、ごほっ……なんで」
「だってクピドのじゃない魔力を感じるんだもん」
なんだってー!?
触れる体はしっとりとしていて少し冷たい。
着ている服も水色で、ギリシア神話に出てくる人のような恰好をしている。
この少年の体も、服も、全てが水で出来ているような感じだ。
ただ、その瞳だけはもっと蒼い。
瞳孔や白目がない、綺麗なラピスラズリのようだ。
水色の美少年、現るってか。
「ごめんなー。あ、そうだ。友達も一緒に来てんだ。紹介するよ」
抱き着いたままの精霊の頭を撫でながら後ろを振り返る。
ちょっと離れた位置で立つレオンが、ぱかーんと口を開けたまま……はっきり言ってしまえば間抜け面を曝していた。
「あの狼がレオン。あれでSランクの強さがあってな」
「……へぇ?」
俺に抱き着いたままで、精霊はレオンに目を向ける。
この精霊、水の中級精霊である。
精霊にも段階があり、低級、中級、大精霊、精霊王となる。
数はピラミッド型になり、下が低級、一番上が精霊王なのは皆わかるかと思う。
精霊王は一人、大精霊はちょびっと、中級はそこそこ、低級はいっぱい、って感じでな。
プレイヤーの中には『精霊使い』という職があった。
これは精霊を使役するものだが、低級から育てて使役するのだ。
そして精霊使いは人気があった。
なので、大精霊は使役するプレイヤーの数だけ多かったと思う。
今はどうなのか、知らないが。
「あー、レオンだ。宜しく」
「……やだ」
所在なさげながらもそう言ったレオンに、精霊がぷいっと顔を背ける。
唇を尖らせる姿は、ぶっちゃけて可愛い。
が、レオンはしょんぼりと肩を落としている。
「なんだよ、レオンだめか?」
「だって、アイツ僕と相性悪い」
「じゃあ火か?」
「そっち系、だからよろしくしない!」
そう言って俺の胸元に顔を擦りつけてくる。
苦笑いでレオンを振り返れば茫然としていた。
嫌がられたショックで、何を言われたのか判断出来ていないのだろう。
おい、Sランク。
そんなに無防備で、しかも頭の回転悪くてどうすんだよ。
「お前火の精霊とかのが相性いいってさ」
「……そうなのか?」
「みたいだぞ。良かったな。精霊と仲良くなりたいならそっち行けばいい」
「そうか!」
一転してぱぁあ、と顔を輝かせるレオンに笑いが込み上げてくる。
わかりやすすぎる。
尻尾もレオンの左右から顔を覗かせてるからな。
まあ、精霊との相性は自分でもそこそこあげられるんだけどな。
これはプレイヤーだけなのだろうか。
「……で、何してんだよ」
「クピドを堪能してる」
俺に抱き着く、というかしがみついている精霊は、ぐりぐりと俺の胸の間で顔を動かしている。
これ、なんて言うんだっけ……。
だいしゅきホールドだっけ。
重さは感じないが、動けないぞ。
精霊の背中をぽんぽんと叩いてやれば、顔を上げてにへーっと笑う。
次いで、じーっと俺を見上げてくる。
「ねぇ、あの狼とヤった?」
「ふぐっ、げっほ、ごほっ」
「お、おい。大丈夫か?」
どうした、と首を傾げたら小さな可愛らしい声でとんでもないことを聞かれた。
咽てしまったじゃないか。
顔を横に向けて咳き込んでいると、後ろからレオンに背中を擦られた。
心配そうに俺を見下ろすけど、お前のせいだから!
そしてどうしてそんなこと言い出したんだコイツ!
「ねぇ、ヤった?」
「な、ごほっ……なんで」
「だってクピドのじゃない魔力を感じるんだもん」
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