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第二章 皇女様の飛空艇
お出迎え
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それは強烈なサーチライトの光であった。続いて飛空艇の金属的な動力音が聞こえた。
湖岸に居た者たちは目を細めて飛空艇を見上げた。クロード達はその光の主が飛空艇ミカサだとすぐに気が付いた。
ミカサはこの集団のすぐ近くの砂浜にゆっくりと着陸した。
カーゴドアがスライドして、数人の男たちが下りてきた。
カタリーナとテールズ伯の前まで無言で来ると
「姉上、もうお出かけか?」
と黒い影の一人が声を発した。テールズ伯と同じような台詞だった。
「そうですわ。後はよろしく。ヨハン」
とカタリーナが事もなげに応えた。
「え? 国王陛下?!」
と驚きの声を上げたのはソフィアだった。その言葉で一瞬でその場に緊張が走った。
クロード達はどう対処していいのか迷って身動きが出来なくなった。予想外の出来事であった。
降りてきてカタリーナに声を掛けたのは紛れもなく現スエンビーア王国の国王ヨハン三世であった。
ヨハン三世は声の主に視線を移すと
「おや? その声はモルタリア帝国のソフィア皇女殿下ではないかな?」
とすぐに声の主がソフィアである事に気が付いた。
――しまった! 思わず声を出してしまった!――
「は、はい。でも何故、陛下がここに?」
ソフィアは思わず声をあげた事を後悔していた。
「姉上の見送りもしないでは、冷たい弟と後で詰られかねないのでね」
とヨハン三世は笑って言った。
「これは全てあなたの指図ですか?」
とカタリーナがヨハン三世をにらみながら言った。今回の亡命はヨハン三世には伝えてはいなかった。
「何の事ですかな? 姉上……おや? そこに居るのはテールズ卿ではないか?」
とヨハン三世はテールズ伯を横目で見ながら言った。
「はっ! 左様でございます。ポルタ・プロバンスでございます」
とテールズ伯は慌てたように頭を下げた。
「卿も我が姉上の見送りか?」
とヨハン三世は聞いた。それは優しい口調であった。諭すような強さを持った口調だった。
「はっ! さ、左様でございます」
とテールズ伯は焦りながら同じ言葉を口にした。
彼もこの場にヨハン三世が現れるとは思ってもいなかったようだ。
「流石、忠義の臣よのぉ」
とヨハン三世は感心したようにテールズ伯を褒めた。まだ譲位されて日の浅い二十代半ばの若い国王であったが、その言葉には既に国王としての威厳が感じられるほど重みがあった。
――ヨハン様ってこんな雰囲気の人だった?――
とソフィアはかつて知ったるヨハン三世の姿を思い出して、その大きな違いに驚きを隠せなかった。
「卿よ。姉上には余がフランドワープの別荘に行かれることを勧めたのだ。まさかこんな夜更けに旅立たれるとは思わなんだがな。早めにお迎えに上がったのが功を奏したようだのぉ」
とテールズ伯に声を掛けた。
「は!」
「ところで姉上。テールズ伯の忠義は姉上が一番よくお分かりかと存じます。卿も姉上と同じ事を考えておりましたな。卿を責めないでやって欲しい」
とヨハン三世はカタリーナに向き直るとそう言ってテールズ伯を擁護した。
「それは判っておる。憎たらしいほど我が意を汲んでくれていた。本当に憎たらしいほどに」
とカタリーナは苦笑いをしながら言った。
「それにしてもヨハンよ。流石だ。あなたには全てお見通しだったか……これから良い王となるであろう。我が自慢の弟である」
とカタリーナはヨハン三世を頼もし気に見つめながら、肩の力を抜いて言った。
湖岸に居た者たちは目を細めて飛空艇を見上げた。クロード達はその光の主が飛空艇ミカサだとすぐに気が付いた。
ミカサはこの集団のすぐ近くの砂浜にゆっくりと着陸した。
カーゴドアがスライドして、数人の男たちが下りてきた。
カタリーナとテールズ伯の前まで無言で来ると
「姉上、もうお出かけか?」
と黒い影の一人が声を発した。テールズ伯と同じような台詞だった。
「そうですわ。後はよろしく。ヨハン」
とカタリーナが事もなげに応えた。
「え? 国王陛下?!」
と驚きの声を上げたのはソフィアだった。その言葉で一瞬でその場に緊張が走った。
クロード達はどう対処していいのか迷って身動きが出来なくなった。予想外の出来事であった。
降りてきてカタリーナに声を掛けたのは紛れもなく現スエンビーア王国の国王ヨハン三世であった。
ヨハン三世は声の主に視線を移すと
「おや? その声はモルタリア帝国のソフィア皇女殿下ではないかな?」
とすぐに声の主がソフィアである事に気が付いた。
――しまった! 思わず声を出してしまった!――
「は、はい。でも何故、陛下がここに?」
ソフィアは思わず声をあげた事を後悔していた。
「姉上の見送りもしないでは、冷たい弟と後で詰られかねないのでね」
とヨハン三世は笑って言った。
「これは全てあなたの指図ですか?」
とカタリーナがヨハン三世をにらみながら言った。今回の亡命はヨハン三世には伝えてはいなかった。
「何の事ですかな? 姉上……おや? そこに居るのはテールズ卿ではないか?」
とヨハン三世はテールズ伯を横目で見ながら言った。
「はっ! 左様でございます。ポルタ・プロバンスでございます」
とテールズ伯は慌てたように頭を下げた。
「卿も我が姉上の見送りか?」
とヨハン三世は聞いた。それは優しい口調であった。諭すような強さを持った口調だった。
「はっ! さ、左様でございます」
とテールズ伯は焦りながら同じ言葉を口にした。
彼もこの場にヨハン三世が現れるとは思ってもいなかったようだ。
「流石、忠義の臣よのぉ」
とヨハン三世は感心したようにテールズ伯を褒めた。まだ譲位されて日の浅い二十代半ばの若い国王であったが、その言葉には既に国王としての威厳が感じられるほど重みがあった。
――ヨハン様ってこんな雰囲気の人だった?――
とソフィアはかつて知ったるヨハン三世の姿を思い出して、その大きな違いに驚きを隠せなかった。
「卿よ。姉上には余がフランドワープの別荘に行かれることを勧めたのだ。まさかこんな夜更けに旅立たれるとは思わなんだがな。早めにお迎えに上がったのが功を奏したようだのぉ」
とテールズ伯に声を掛けた。
「は!」
「ところで姉上。テールズ伯の忠義は姉上が一番よくお分かりかと存じます。卿も姉上と同じ事を考えておりましたな。卿を責めないでやって欲しい」
とヨハン三世はカタリーナに向き直るとそう言ってテールズ伯を擁護した。
「それは判っておる。憎たらしいほど我が意を汲んでくれていた。本当に憎たらしいほどに」
とカタリーナは苦笑いをしながら言った。
「それにしてもヨハンよ。流石だ。あなたには全てお見通しだったか……これから良い王となるであろう。我が自慢の弟である」
とカタリーナはヨハン三世を頼もし気に見つめながら、肩の力を抜いて言った。
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