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第二章 皇女様の飛空艇
ヨハン三世
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「姉上に鍛えられましたからね」
と表情を緩めた。さっきまでの険しい表情は消え、純朴な単なる弟としてヨハン三世は応えた。
そしてまた表情を改めて
「姉上が後顧の憂いを断ち切るために二度とこの国に戻らないと、お決めになったのはすぐに分かりました。本当に姉上らしい決断だ」
とヨハン三世は優しそうな笑みを浮かべてカタリーナの前に歩み出た。
そしてカタリーナの手を取ると
「私は不肖の弟だ。国王になっても姉上一人守れない。最後の最後まで姉上のお手を煩わさせる」
と呟いた。
カタリーナは国民からの信頼が無くなって譲位したのではなかった。若干の財政の緊張は生んでいたが、国内の経済が滞る程ではなかった。
間違いなくまだ国民は即位したばかりの現国王よりも前女王を支持していた。支持していたのは国民だけではなく、カタリーナの退位を素直に受け入れられない貴族も多くいた。
カタリーナはその状況を憂いていた。このままでは国を二分する派閥争いになりかねないと。それだけはどんな手を使ってでも阻止しないとならない。
なので『絶対にこの国には戻る事は無い』という姿勢を見せるために彼女は『亡命』という選択肢を選んだ。
テールズ伯も同じ考えで危惧していた。そこでカタリーナ支持派の貴族が動く前に、一番の支持派である自分自身がカタリーナを幽閉する事で、彼女を護ろうと考えたのだった。
カタリーナもそれにすぐ気が付き、『ここに至っては』テールズ伯の言う通りにするつもりになっていた。オリバイエ公国への亡命は諦めかけていた。
「余の我がままで王位をそなたに譲ったまでの事。謝るのは余の方である。ヨハンが気に病むことはありません」
カタリーナはヨハン三世の瞳をまっすぐに見つめてきっぱりと言った。
「左様でしたな。それでは姉上の最後の我がままに付き合いましょう。私もフランドワープに参ります。シバよ。ここまで来たらよろしく頼む」
「はっ! 心得ました」
とヨハン三世の護衛の兵に紛れてこの状況を見ていたシバが、一歩前に出て応えた。
「そなたも止めよ! そなたにそういう態度を取られると、バカにされているような気になって仕方ない」
とヨハン三世は顔をしかめながら言った。
「一応、大人だからねぇ……ったく、フェリーといいヨハンといい……ぶつぶつ……」
とシバは頭を掻きながら脱力していた。ここでも冒険者に礼儀を教えようと、シバは無駄なあがきを試みていた。シバの隣でアキトが笑いを押さえるのに苦労していた。シバは変なところでクソ真面目である。
この世界でシバやアキトが王族に敬語を使う必要はないし、立場は対等である。それはこの世界でシバたちが一番強力な武器と知識と力を持っている事をこの世界の王族であれば誰もが知っていたからだった。それに加え個々に彼らの力を必要とする事が各国に多々存在していたからでもある。
故にシバたちを一つの勢力として各国の王族たちも、自分たちと同格として接していた。
「それでは卿も一緒にこの戦艦に乗るがよい」
とヨハン三世はテールズ伯に声をかけた。
その瞬間
「いえ、これは飛空艇です。戦艦ではありません」
とシバはきっぱりとそれだけは否定した。
「左様でしたな、シバ殿。陛下には私から後ほどご忠告させていただきます」
とテールズ伯はさばさばした表情でそういうと、ヨハン三世と飛空艇に向かった。
テールズ伯の腹心の部下たちもその後に続いた。
と表情を緩めた。さっきまでの険しい表情は消え、純朴な単なる弟としてヨハン三世は応えた。
そしてまた表情を改めて
「姉上が後顧の憂いを断ち切るために二度とこの国に戻らないと、お決めになったのはすぐに分かりました。本当に姉上らしい決断だ」
とヨハン三世は優しそうな笑みを浮かべてカタリーナの前に歩み出た。
そしてカタリーナの手を取ると
「私は不肖の弟だ。国王になっても姉上一人守れない。最後の最後まで姉上のお手を煩わさせる」
と呟いた。
カタリーナは国民からの信頼が無くなって譲位したのではなかった。若干の財政の緊張は生んでいたが、国内の経済が滞る程ではなかった。
間違いなくまだ国民は即位したばかりの現国王よりも前女王を支持していた。支持していたのは国民だけではなく、カタリーナの退位を素直に受け入れられない貴族も多くいた。
カタリーナはその状況を憂いていた。このままでは国を二分する派閥争いになりかねないと。それだけはどんな手を使ってでも阻止しないとならない。
なので『絶対にこの国には戻る事は無い』という姿勢を見せるために彼女は『亡命』という選択肢を選んだ。
テールズ伯も同じ考えで危惧していた。そこでカタリーナ支持派の貴族が動く前に、一番の支持派である自分自身がカタリーナを幽閉する事で、彼女を護ろうと考えたのだった。
カタリーナもそれにすぐ気が付き、『ここに至っては』テールズ伯の言う通りにするつもりになっていた。オリバイエ公国への亡命は諦めかけていた。
「余の我がままで王位をそなたに譲ったまでの事。謝るのは余の方である。ヨハンが気に病むことはありません」
カタリーナはヨハン三世の瞳をまっすぐに見つめてきっぱりと言った。
「左様でしたな。それでは姉上の最後の我がままに付き合いましょう。私もフランドワープに参ります。シバよ。ここまで来たらよろしく頼む」
「はっ! 心得ました」
とヨハン三世の護衛の兵に紛れてこの状況を見ていたシバが、一歩前に出て応えた。
「そなたも止めよ! そなたにそういう態度を取られると、バカにされているような気になって仕方ない」
とヨハン三世は顔をしかめながら言った。
「一応、大人だからねぇ……ったく、フェリーといいヨハンといい……ぶつぶつ……」
とシバは頭を掻きながら脱力していた。ここでも冒険者に礼儀を教えようと、シバは無駄なあがきを試みていた。シバの隣でアキトが笑いを押さえるのに苦労していた。シバは変なところでクソ真面目である。
この世界でシバやアキトが王族に敬語を使う必要はないし、立場は対等である。それはこの世界でシバたちが一番強力な武器と知識と力を持っている事をこの世界の王族であれば誰もが知っていたからだった。それに加え個々に彼らの力を必要とする事が各国に多々存在していたからでもある。
故にシバたちを一つの勢力として各国の王族たちも、自分たちと同格として接していた。
「それでは卿も一緒にこの戦艦に乗るがよい」
とヨハン三世はテールズ伯に声をかけた。
その瞬間
「いえ、これは飛空艇です。戦艦ではありません」
とシバはきっぱりとそれだけは否定した。
「左様でしたな、シバ殿。陛下には私から後ほどご忠告させていただきます」
とテールズ伯はさばさばした表情でそういうと、ヨハン三世と飛空艇に向かった。
テールズ伯の腹心の部下たちもその後に続いた。
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