皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

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第三章 嘆きの迷宮

階層制限

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コーネルはソフィアの戦闘レベルがこの中では一番高い事を認識していた。その上、近頃はソフィアが腕試しをしたがっている事に薄々気が付き始めていた。なので、できればなるべく危険性が低いクエストを選びたかった。

 もっともソフィアの能力がチートであることを知っていたとしても、炎竜の巣窟に飛び込む事は反対したであろう。なんと言ってもソフィアは皇女殿下なのである。

「そうだな。やっとオイラもシルバーになったんだしな。腕試しはしたいけど、流石にね」

「それを言うなら『まだまだシルバーだしな』だろ? 油断大敵だぞ」
とブラウンが言い直した。

「なんだよぉ。お前もさっき俺と同じ事言っていただろう?!」
とクロードは不満げな表情を見せたが、

「炎竜相手では話が違う」
というブラウンのひとことにクロードは何の反論もしなかった。彼もそれなりに自覚していたようだった。

「ダンジョンですかぁ……ゴブリン以外が良いのですけど」
とマリアが渋い表情で会話の中に入ってきた。
彼女は相当強力な魔力がありながら、このパーティでは付与師と言う位置づけだった。既に白魔導士のフローラと魔導戦士のブラウンが居たので自らその役割を担った。もちろん彼女の第一の役目はソフィアの命を守る事なので、前衛よりも付与士のような後衛のポジションの方がその目的に合致していたといえる。

「ゴブリンは苦手?」
とクロードが聞いた。

「いえ。嫌いなだけです。目の前に居たらひねりつぶしたくなりますが、そもそも視野にも入れたくないです」
とマリアはまるでゴキブリを見るかの如く、嫌悪に満ちた冷たい視線でクロードを見た。

「止めて……そんな目で見ないで。オイラはゴブリンじゃないから……」
と慌てたように哀願した。

「あ、失礼しました。あなたをそういう目で見た訳ではありません」
とマリアは頭を下げた。しかし今この場で全員マリアがゴブリンが大嫌いだという事を、認識させる事は成功した。

「シルバー級から入れるダンジョンは……おっ! そうだ! クロード! いつものダンジョンの三十階層から先に行けるじゃん!」
とブラウンが思い出したように声をあげた。

「え? あ、そうかぁ……そうだった。やっと行けるのかぁ」
とクロードは嬉しそうな表情を見せた。
今までは三十階層までしか彼らは入場する事を許されていなかった。それは強制力のないギルドの自主規制みたいなものだったが、このギルドに所属するパーティでそれを破ってまで進む冒険者は居なかった。

 彼らがこれまでメインに活動していたダンジョンは『嘆きの迷宮』と呼ばれているダンジョンだった。それはダンジョンにしては珍しく、大都市であるこの帝都デークハーゲンの近郊に存在した。

 このダンジョンは珍しいだけでなく、探索者に精神的・肉体的な苦痛や困難をもたらす非常に難易度の高いダンジョンとしても有名であった。故に新人クラス冒険者の生存率を高めるため、ギルドの自主規制で無謀な挑戦を押し止めていた。

「あそこは精神的にくるから、ダンジョン攻略初心者の三人には最初厳しいかも……」
とフローラが新しく入ったソフィア・コーネル・マリアの三人に視線を送った。

「かもねぇ……俺たちも最初は何度も心が折れかけたからなぁ……色んな意味で……」
とブラウンも同じ事を思っていた。

「そうなの?」
とソフィアは少し不安げな表情を見せてクロードに聞いた。

「うん。僕たちはもう慣れたけど、初めて経験した時は分かっていても精神的にきつかったよ……色んな意味で」
とクロードも同じような事を言ったが、

「ま、とにかく、僕たちがこうしてここに居るという事は、三人も大丈夫! 慣れる事が出来るという事だよ」
と最後は自信ありげに言い切った。
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