1 / 6
はじまり
1
しおりを挟む
「おはようございます!」
元気な挨拶が飛び交う校内
成城高校
1年 B組 新川 結菜は
慣れない教室の窓際の席で
雲ひとつない空を見ながら
_____できるだけ目立たないように、穏やかに3年間過ごせますように_____
と何度も心の中で唱えた。
教室内では、すでにグループがいくつか出来上がってきていた。
皆、作り笑いをして、必死に自分の立ち位置を確保しようとしている。
中には、snsで入学前から知り合い、すでに仲の良い子たちもちらほらいる。
ガラ、、、
と扉が開いて教室がざわめく。
「ねぇね、あの人かっこよくない?」
「私狙っちゃおーかな」
「彼女とかいるのかな?」
あちこちで女子が入ってきた彼を見て微妙に聞こえる声で話している
彼は黒板で自分の席を確認すると、結菜の横に座った。
座る時に目が合った気がするが、結菜は何事もなかったのかのように、また視線を外に映した。
しばらくして
入学式で発表された、担任が教室に入ってきた。
短髪で、少し茶色かかった髪の毛、まだ二十代後半~三十代前半、少しわかめの先生という感じだ。
黒板に名前を書き自己紹介を始めた。
「奥田 隼と言います。
担任を持つのは2回目です!
教科は化学、
1年間よろしくお願いします!!」
教室内は拍手と黄色い声に包まれた。
それもそうだ
よくにいう爽やか系イケメンが担任になったんだから。
それから自己紹介をして、
あっという間に
休み時間になった。
「ねー、先生と颯くんどっちにしよう~」
「私は颯君派~」
「でも奥田先生もいいよね!!」
クラスの女子はさっきの彼、山田 颯と先生の話でもちきりだ。
まだ初日だというのに、カーストも出来上がりつつある。
結菜は教室内に目を映して、周りを観察した。
男子はそれぞれ周りの席の人と話している
女子はグループが2.3コ
一番はしゃいで周りの目を集めているのは
清水 美玖、斉藤 遥、藤原 花梨のグループだった。
_____あそこがトップかなぁ。。。
と考えていた時だった。
「ねぇ、」
スッと視界に颯が入り込んできた。
「………えっと、、、」
ちょっと教室の空気が変わった。
それもそうだ
冴えない結菜に今注目の的の颯が話しかけたんだ。
それに颯の周りにはたくさんの人が集まっていた、
結菜とは対照的すぎた。
「…あ、急にごめん。…よろしくね」
結菜の不安そうな顔を見て、申し訳なさそうに颯はそう言った。
「……よろしく、」
一応返すも、消え入りそうな声は、颯に届いているか微妙なところだった。
「ねぇ、何アレ。ただ席が隣ってだけで」
早速始まった。
_____もう最悪。
何で初日からこうなるかな。
頭の中では、嫌な妄想ばかりが広がる。
ガラ…
良いタイミングで先生が入ってきた。
「はーい、じゃあ今日は、少し配布するものが多いからそれ配ったら終了ねー」
何枚か、紙が配られ、
そこには校則や、部活動の紹介などが載っていたが、結菜はすぐにファイルにしまった。
早く帰りたかったからだ。
早くこの教室から出てしまいたかった。
帰りのHRが長く感じた。
そこまでレベルは高くないが進学の成城高校では、明日から丸一日テストだ。
このテストで、今後の分担授業のコースなどが決められる。
改めてテストの注意点や持ち物等を確認して、やっとHRが終わった。
結菜は帰りの号令と同時に席を離れた。
教室内では、
「B組のグループ作るから連絡先交換しよー」
と、みんなスマホを手にワイワイしていた。
校則で、朝のHR~帰りのHRまではスマホは禁止だ。
_____グループ入っとかないといろいろ面倒かな、、、
と考えつつも、足早に教室を出た。
2回ほど乗り換えをしてやっと見慣れた景色が窓に映り込む。
初めはキツキツだった車内も、座れるくらいにはなっていた。
「…はぁ、、、」
結菜は窓の外を眺めてため息をついた。
まだ初日なのに疲れた。
気がつくと最寄駅で急いで、電車を降りる。
-ふと後ろを見るといつもの姿。
-申し訳なさそうに頭を下げた。
結菜は見て見ぬ振りをして、足早に家へと向かった。
駅から徒歩10分程度、
住宅が建ち並ぶ角の小さな一軒家。
「……ただいま」
消え入りそうな声は、家に誰もいないことを確認しているようだった。
少し返事を待って、
ほっとため息をつき2階の自室に向かう。
「…………、つかれた」
ベットに倒れ込み、ベット横の窓にかかっているカーテンが揺れるのを下から眺める。
そのまま目を閉じるといつのにか眠ってしまっていた。
_____
『おかあさん』
結菜はいつも決まった夢をみる。
リビングに座りキッチンでご飯の準備をしている母を呼んでいる。
『どうしたの?』
ニコニコと優しそうな母は、結菜の大好物のシチューをテーブルに並べていた。
_____そう、ここまでは幸せなのに
もうみたくないと結菜は目をぎゅっと強く瞑った。
_____
「おい!!!!」
大きな声で目が覚める。
元気な挨拶が飛び交う校内
成城高校
1年 B組 新川 結菜は
慣れない教室の窓際の席で
雲ひとつない空を見ながら
_____できるだけ目立たないように、穏やかに3年間過ごせますように_____
と何度も心の中で唱えた。
教室内では、すでにグループがいくつか出来上がってきていた。
皆、作り笑いをして、必死に自分の立ち位置を確保しようとしている。
中には、snsで入学前から知り合い、すでに仲の良い子たちもちらほらいる。
ガラ、、、
と扉が開いて教室がざわめく。
「ねぇね、あの人かっこよくない?」
「私狙っちゃおーかな」
「彼女とかいるのかな?」
あちこちで女子が入ってきた彼を見て微妙に聞こえる声で話している
彼は黒板で自分の席を確認すると、結菜の横に座った。
座る時に目が合った気がするが、結菜は何事もなかったのかのように、また視線を外に映した。
しばらくして
入学式で発表された、担任が教室に入ってきた。
短髪で、少し茶色かかった髪の毛、まだ二十代後半~三十代前半、少しわかめの先生という感じだ。
黒板に名前を書き自己紹介を始めた。
「奥田 隼と言います。
担任を持つのは2回目です!
教科は化学、
1年間よろしくお願いします!!」
教室内は拍手と黄色い声に包まれた。
それもそうだ
よくにいう爽やか系イケメンが担任になったんだから。
それから自己紹介をして、
あっという間に
休み時間になった。
「ねー、先生と颯くんどっちにしよう~」
「私は颯君派~」
「でも奥田先生もいいよね!!」
クラスの女子はさっきの彼、山田 颯と先生の話でもちきりだ。
まだ初日だというのに、カーストも出来上がりつつある。
結菜は教室内に目を映して、周りを観察した。
男子はそれぞれ周りの席の人と話している
女子はグループが2.3コ
一番はしゃいで周りの目を集めているのは
清水 美玖、斉藤 遥、藤原 花梨のグループだった。
_____あそこがトップかなぁ。。。
と考えていた時だった。
「ねぇ、」
スッと視界に颯が入り込んできた。
「………えっと、、、」
ちょっと教室の空気が変わった。
それもそうだ
冴えない結菜に今注目の的の颯が話しかけたんだ。
それに颯の周りにはたくさんの人が集まっていた、
結菜とは対照的すぎた。
「…あ、急にごめん。…よろしくね」
結菜の不安そうな顔を見て、申し訳なさそうに颯はそう言った。
「……よろしく、」
一応返すも、消え入りそうな声は、颯に届いているか微妙なところだった。
「ねぇ、何アレ。ただ席が隣ってだけで」
早速始まった。
_____もう最悪。
何で初日からこうなるかな。
頭の中では、嫌な妄想ばかりが広がる。
ガラ…
良いタイミングで先生が入ってきた。
「はーい、じゃあ今日は、少し配布するものが多いからそれ配ったら終了ねー」
何枚か、紙が配られ、
そこには校則や、部活動の紹介などが載っていたが、結菜はすぐにファイルにしまった。
早く帰りたかったからだ。
早くこの教室から出てしまいたかった。
帰りのHRが長く感じた。
そこまでレベルは高くないが進学の成城高校では、明日から丸一日テストだ。
このテストで、今後の分担授業のコースなどが決められる。
改めてテストの注意点や持ち物等を確認して、やっとHRが終わった。
結菜は帰りの号令と同時に席を離れた。
教室内では、
「B組のグループ作るから連絡先交換しよー」
と、みんなスマホを手にワイワイしていた。
校則で、朝のHR~帰りのHRまではスマホは禁止だ。
_____グループ入っとかないといろいろ面倒かな、、、
と考えつつも、足早に教室を出た。
2回ほど乗り換えをしてやっと見慣れた景色が窓に映り込む。
初めはキツキツだった車内も、座れるくらいにはなっていた。
「…はぁ、、、」
結菜は窓の外を眺めてため息をついた。
まだ初日なのに疲れた。
気がつくと最寄駅で急いで、電車を降りる。
-ふと後ろを見るといつもの姿。
-申し訳なさそうに頭を下げた。
結菜は見て見ぬ振りをして、足早に家へと向かった。
駅から徒歩10分程度、
住宅が建ち並ぶ角の小さな一軒家。
「……ただいま」
消え入りそうな声は、家に誰もいないことを確認しているようだった。
少し返事を待って、
ほっとため息をつき2階の自室に向かう。
「…………、つかれた」
ベットに倒れ込み、ベット横の窓にかかっているカーテンが揺れるのを下から眺める。
そのまま目を閉じるといつのにか眠ってしまっていた。
_____
『おかあさん』
結菜はいつも決まった夢をみる。
リビングに座りキッチンでご飯の準備をしている母を呼んでいる。
『どうしたの?』
ニコニコと優しそうな母は、結菜の大好物のシチューをテーブルに並べていた。
_____そう、ここまでは幸せなのに
もうみたくないと結菜は目をぎゅっと強く瞑った。
_____
「おい!!!!」
大きな声で目が覚める。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる