教室の悪魔

ひまり

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はじまり

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その日結菜は、なんに対しても集中できなかった。


心臓が苦しくて、指先が震えた。


_____こんなに怖かったっけ?


大勢の人に悪意を向けられることがとても怖く感じた。


なにも口にする気にならず、昼食の時間も、ぼーっと校内を彷徨いていた。


どこかに止まると、誰かの視線がある気がして、とりあえず校内を歩き回った。


_____なんでこうなったんだっけ?


_____私、何か悪いことしたのかな?


考えても正解はきっとないと分かりながらも、頭の中からそれを消すことはできなかった。


「あ!!!やっと見つけた!!」



結菜は自分に声をかけられた気がして声の方を振り返った。


そこには奥田先生が、息を切らしてこちらに走ってくる姿があった。


_____正直、話したくない。



逃げようと背を向けるも、その時にはもう腕を掴まれていた。


「はぁっ、、、はぁっ、、、」


何か話したそうにしながら息を整えていた。


「……どうしたんですか?」



「いや、様子がおかしかったから、大丈夫かなと思って、、、みんなにどこにいるか聞いたんだけど、みんな知らないって言ってたから、、、探し回ったんだぞ」


肩で息をしながら彼はそう言った。


結菜には言葉の意図がわからなかった。


なんで自分を探していたのか、よりも、"みんなに聞いた"と言うことが怖かった。


コレを火種に何か起こらなければ良いけど。。。。


キーンコーンカーンコーン…



「…ぁ、、、」


予鈴がなってしまった。

後5分で、5限が始まる。


「お前、なんか食べたか?」


「……はい。大丈夫です」


結菜はとりあえず彼から離れたかった。



「……そうか、とりあえず教室戻ろう」


「1人で戻れるんで、、、大丈夫です。」


「……そうか。わかった、じゃあ、気をつけて戻れよ」


思ったよりあっさりしていて結菜はホッとした。



この日の授業は、どれも自己紹介や、レクリエーションばかりだった。


何度も自己紹介をするのは苦痛だったが、この先の学校生活のことで不安が大きかった結菜にとって、授業が進まないのは嬉しいことでもあった。




なんだかんだで1日が終わった。



結菜は、今日は誰にも引き止められまいと、号令とほぼ同時に、教室を出た。


その姿をみて、くすくすと笑い声が聞こえた気がしたが、聞こえないふりをしてそのまま学校を出た。


学校を出てもなんだか視線が怖くて落ち着かなかった結菜は、イヤホンを取り出し、音楽に集中することにした。


_____家についても、また。。。。


そう、家についたところで、落ち着く場所は、結菜にはなかった。


ひとり孤独の中にいるような気がして、ぎゅっと目を閉じる。


「~~駅」


その言葉でハッと我に帰った結菜は急いで電車を降りた。



「………」


-その人は、何かいいたげにこちらを見ていた。


結菜は、いつものように見て見ぬ振りをして家へ急いだ。




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