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2.何でお前が?
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朝の向かえに行かなくてよくなり、剣術科の朝練に最後まで参加できるようになった。ルーティーンが変わると、何だか物足りないような、変な気分だ。
同級生たちの戸惑う空気を感じる。
「レオナルド様ー!」
休み時間を持て余し、廊下を目的もなく歩いていると、一番声を掛けられたくないやつが声を掛けてきた。キョロキョロと辺りを気にしながら。大方、オレもこいつも一人の時を狙って話し掛けてきたんだろう。
オレはともかく、ルキーニはいつも人に囲まれているから、よく一人になれたなと思う。
オレの胸あたりまでしか身長がないから、あざとく見上げてくる顔は確かにかわいい。大きな青く澄んだ瞳に、ツヤツヤの肌、濃い金髪の巻き毛。我が国が信仰する女神の絵に描かれている天使を彷彿とさせる。
「何だ」
「あの、単刀直入にお聞きします。ローレンス様と婚約破棄されたのですか?」
「……そうだ」
よかったなと嫌味を言いそうになったのをぐっとこらえて、ルキーニから視線を逸らす。
何でこいつはこんなにまっすぐな目で見てこれるんだ…?お前のせいで婚約破棄したのに。
「あの、あの…」
ルキーニが頬を染める様は、恥じらう乙女のようだ。
「それじゃあ、、、僕にもチャンスがあるってことですか?!」
チャンスもなにも、両思いだろうに。何故オレに聞きにくる?それともあれか、ローレンスはまだ告白もしていないうちから、こいつに操を立てて婚約破棄までしたのか?嘘だろ。しかも、それをわざわざオレに確認しにくるとは嫌味なのか?嫌がらせか?
頭に疑問が駆け巡りながら、真剣な眼差しのルキーニを凝視する。
「チャンスも何も、両想いだろ」
「!!え!!!そうなんですか?!!!」
「そうだろ。どう見たって。そういうことだろ」
「え!えーーーーー!!!そんな、そうだったんですか?!それでいつも僕を見てたんですか…?」
「そんなこと、オレが言わないとわからないのか?」
「そうだったんだ…」
感動に打ち震えるルキーニは、目が潤み長いまつげをまたたかせ、光の魔力が漏れ出して少し身体が光っている。そんなに嬉しいのか。そうだよな。平民が、第三王子に見初められたんだからな。
オレは人と話すのが苦手だ。こいつともこんなに話した事はない。話しかけられた事はあったと思うが、ローレンスとルキーニが話している時に、適当に相槌を打った程度の会話だろう。
おもむろに、ルキーニはオレの手を両手で握った。
「僕、嬉しいです!釣り合いが取れる立場になれるようにがんばります…!!」
「ああ、今のままじゃ周りの目が厳しいかもしれないな」
「そうですね!堂々と隣に並べるように、精進します!!!」
その日オレは、キラキラと輝くルキーニに圧倒され、完全に敗北したと感じたのだった。
ローレンスとはお互いに会いに行かなければ接点は無い。
何の波風もなく卒業し、オレは家に戻った。王都の騎士団からの打診もあったが断った。王都の騎士と言えば花形ではあるが、特に未練は無い。婚約破棄したのにコネと思われるのも癪だ。
家族の勧めもあり、領地内の危険地域に指定されている魔獣の森を有する街の警備隊で働くことにした。
警備隊長は、父の弟にあたる。これもコネみたいなもんだが、叔父は贔屓はしない性格だし、オレも甘えるつもりはない。
オレは深く物事を考えるのが苦手だ。剣術や身体を鍛える事だけは、どうしたらもっと強くなれるのかと考えるのは楽しいが、人間の感情の駆け引き、特に恋愛に関しては、心底苦手だ。
婚約者が居たから、そのことに頭を悩まされなくて良かったのが、卒業と共にやれいい人は居ないのかだの、見合いだのの話しが湧いてくるようになってしまった。
次男だから、後継者を求められる立場でも無いが、戦士は多い方がいい。婚姻相手は男で無くてもいいのだ。
男兄弟、男子校育ち、加えて口下手なオレに、女子との婚活。荷が重い。
しかもずっと男が婚約者だったから、女子にそういう目を向けるのも向けられるのも違和感がある。
じゃあ男がと思ってもそんな気にもなれず、ローレンスに拘っているのかと言われればそうでもないし。ローレンスみたいな人が好みなのかと言われても、ピンと来ない。自分がよくわからない。
母に叱責されながら、身分は問わないと言われれば、使用人の一部から熱い視線。
心惹かれる相手が居るわけでもなく、誰でもいいのに誰でもいいわけじゃないという境地に居る。
みんな、どうやって相手を決めてるんだ?想い想われて結婚なんて、そんなの奇跡みたいなもんじゃないか。
いっそ、政略結婚でいいからどうしても結婚しないとならない相手が現れてほしい。
もう婚活なんて面倒なこと、考えたくない。
いや、結婚なんてする必要ないだろ。元々は男が婚約者で後継者だって必要無かったんだから。
20歳になり、ローレンスが結婚したと王都に勤める弟から聞いた。ルキーニの卒業とともに婚姻したんだろう。相手は平民だったが、貴族籍に入れて名前を改名したそうだ。
侯爵家として結婚式に呼ばれていたが、父母が代表で出席し、オレは行かなかった。
婚約破棄された後に、話しかけてきた、ルキーニを思い出す。きっと、結婚式でもあんな風に光り輝いてたんだろうな。
めでたしめでたしだ。
同級生たちの戸惑う空気を感じる。
「レオナルド様ー!」
休み時間を持て余し、廊下を目的もなく歩いていると、一番声を掛けられたくないやつが声を掛けてきた。キョロキョロと辺りを気にしながら。大方、オレもこいつも一人の時を狙って話し掛けてきたんだろう。
オレはともかく、ルキーニはいつも人に囲まれているから、よく一人になれたなと思う。
オレの胸あたりまでしか身長がないから、あざとく見上げてくる顔は確かにかわいい。大きな青く澄んだ瞳に、ツヤツヤの肌、濃い金髪の巻き毛。我が国が信仰する女神の絵に描かれている天使を彷彿とさせる。
「何だ」
「あの、単刀直入にお聞きします。ローレンス様と婚約破棄されたのですか?」
「……そうだ」
よかったなと嫌味を言いそうになったのをぐっとこらえて、ルキーニから視線を逸らす。
何でこいつはこんなにまっすぐな目で見てこれるんだ…?お前のせいで婚約破棄したのに。
「あの、あの…」
ルキーニが頬を染める様は、恥じらう乙女のようだ。
「それじゃあ、、、僕にもチャンスがあるってことですか?!」
チャンスもなにも、両思いだろうに。何故オレに聞きにくる?それともあれか、ローレンスはまだ告白もしていないうちから、こいつに操を立てて婚約破棄までしたのか?嘘だろ。しかも、それをわざわざオレに確認しにくるとは嫌味なのか?嫌がらせか?
頭に疑問が駆け巡りながら、真剣な眼差しのルキーニを凝視する。
「チャンスも何も、両想いだろ」
「!!え!!!そうなんですか?!!!」
「そうだろ。どう見たって。そういうことだろ」
「え!えーーーーー!!!そんな、そうだったんですか?!それでいつも僕を見てたんですか…?」
「そんなこと、オレが言わないとわからないのか?」
「そうだったんだ…」
感動に打ち震えるルキーニは、目が潤み長いまつげをまたたかせ、光の魔力が漏れ出して少し身体が光っている。そんなに嬉しいのか。そうだよな。平民が、第三王子に見初められたんだからな。
オレは人と話すのが苦手だ。こいつともこんなに話した事はない。話しかけられた事はあったと思うが、ローレンスとルキーニが話している時に、適当に相槌を打った程度の会話だろう。
おもむろに、ルキーニはオレの手を両手で握った。
「僕、嬉しいです!釣り合いが取れる立場になれるようにがんばります…!!」
「ああ、今のままじゃ周りの目が厳しいかもしれないな」
「そうですね!堂々と隣に並べるように、精進します!!!」
その日オレは、キラキラと輝くルキーニに圧倒され、完全に敗北したと感じたのだった。
ローレンスとはお互いに会いに行かなければ接点は無い。
何の波風もなく卒業し、オレは家に戻った。王都の騎士団からの打診もあったが断った。王都の騎士と言えば花形ではあるが、特に未練は無い。婚約破棄したのにコネと思われるのも癪だ。
家族の勧めもあり、領地内の危険地域に指定されている魔獣の森を有する街の警備隊で働くことにした。
警備隊長は、父の弟にあたる。これもコネみたいなもんだが、叔父は贔屓はしない性格だし、オレも甘えるつもりはない。
オレは深く物事を考えるのが苦手だ。剣術や身体を鍛える事だけは、どうしたらもっと強くなれるのかと考えるのは楽しいが、人間の感情の駆け引き、特に恋愛に関しては、心底苦手だ。
婚約者が居たから、そのことに頭を悩まされなくて良かったのが、卒業と共にやれいい人は居ないのかだの、見合いだのの話しが湧いてくるようになってしまった。
次男だから、後継者を求められる立場でも無いが、戦士は多い方がいい。婚姻相手は男で無くてもいいのだ。
男兄弟、男子校育ち、加えて口下手なオレに、女子との婚活。荷が重い。
しかもずっと男が婚約者だったから、女子にそういう目を向けるのも向けられるのも違和感がある。
じゃあ男がと思ってもそんな気にもなれず、ローレンスに拘っているのかと言われればそうでもないし。ローレンスみたいな人が好みなのかと言われても、ピンと来ない。自分がよくわからない。
母に叱責されながら、身分は問わないと言われれば、使用人の一部から熱い視線。
心惹かれる相手が居るわけでもなく、誰でもいいのに誰でもいいわけじゃないという境地に居る。
みんな、どうやって相手を決めてるんだ?想い想われて結婚なんて、そんなの奇跡みたいなもんじゃないか。
いっそ、政略結婚でいいからどうしても結婚しないとならない相手が現れてほしい。
もう婚活なんて面倒なこと、考えたくない。
いや、結婚なんてする必要ないだろ。元々は男が婚約者で後継者だって必要無かったんだから。
20歳になり、ローレンスが結婚したと王都に勤める弟から聞いた。ルキーニの卒業とともに婚姻したんだろう。相手は平民だったが、貴族籍に入れて名前を改名したそうだ。
侯爵家として結婚式に呼ばれていたが、父母が代表で出席し、オレは行かなかった。
婚約破棄された後に、話しかけてきた、ルキーニを思い出す。きっと、結婚式でもあんな風に光り輝いてたんだろうな。
めでたしめでたしだ。
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