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8.密猟者の痕跡
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1ヶ月後、警備隊の怪我人が復帰してきたので、いよいよニンフの泉へ行くことになった。
いきなり復帰は危ないので、体力を戻すためのトレーニングをしたりしていて、時間が掛かってしまった。
その間に捕まえた密猟者は、いずれも単独で、泉を汚染した組織の尻尾は掴めていない。
警備隊の精鋭たちで、司教含めて10人で森の奥まで行くこととなった。
今までも希少な資材を取りに行くため、魔術師を伴って森に入ることはあったのだが、ニンフの泉は簡単には辿り着けない場所にあると言う。
必ず、二人で行動することと、危険な場合は人命を優先することとした。
森の中では時間の感覚が狂う。さっきまで明るかったのに、急に暗くなった。アトラ司教が、光魔法で警備隊の周りを照らす。どこからともなく、蛍のような光る虫が寄ってきて、辺りを照らした。
「川の音がしますね…下に降りないとならないようです。足元が悪いので、私とレオナルドさんだけで行ってきます」
いつの間にか、近くにはいつぞやの猪の魔獣。警備隊はザッと構えたが、「この子が連れてってくれます」と司教が言った。
「みなさんの警護も、この子の仲間がしてくれますので、刺激しないようにしてください」
気がつけば、周りに無数の気配がする。警備隊員は、ごくりと喉を鳴らし、頷いた。
「乗ってください」
ルキーニとオレは、猪に捕まり、下に下にと獣道を降りて行った。
これは人間には来れないよな、と思う。
小さな滝の前で、背中から降ろされた。ルキーニが照らすと、滝の奥に道がある。
濡れないように光魔法で道を作り、中に入ると、黒い靄のかかったコウモリの群れがバサバサと飛び掛かってきた。
コウモリに、白い鳥と黒い鳥が飛び掛る。そこをルキーニが一斉に浄化の光を当てる。コウモリたちは、パラパラと地面に落ちていった。
進んだ先にあった泉は、弱く光輝いていたが、黒い靄に包まれていた。レオナルドには見えないが、光っているのはニンフで、横たわってぐったりしているという。
ルキーニは浄化の光を直に泉に送り、鳥に届けさせた浄化の石にも、更に力を込めると、泉に投げ込む。白い鳥が、泉から、黒い石を拾い、ルキーニの元に運んだ。
「これか…」
「何だ?」
「密猟者が使った、汚染の石です。浄化ではなく、汚染。黒魔術を使って作ったんでしょう。この泉には、弱った魔獣が来ます。そこで汚染されると、弱って死ぬか、暴れて外に飛び出すかなんでしょう。ほら、よく見ると、死骸がたくさんあります」
「うわっ」
「本来、泉が正常ならば、食物連鎖の輪に入るように、ここから川へと流れ、淘汰され、土に還るはずです。こうして、弱らせて、死体を回収するのが目的だったんでしょう。死体も魔術の貴重な資材ですから」
「こんな所まで、なかなか来れないと思うが…」
「ふむ。確証がほしいですね。先輩、今回の浄化は失敗したと仲間の皆さんに告げてください」
「まさか…」
「そうです。密猟者と密通している者が居るかもしれません」
「仲間を疑うのは嫌だが…可能性は高いな」
残された警備隊員たちは、大人しく待っていた。侯爵家お墨付きの、屈強な男たちだ。段々と状況にも慣れたようだった。
レオナルドと司教が戻ると、泉には辿り着けなかったと隊員に告げた。野宿は危険だし、ここで切り上げると。
森から出ると、もう朝方だった。まだ夜中だと思っていたから、時間感覚の違いに、改めて、森の恐ろしさを感じたのだった。
今後の動きとして、もう1度チャレンジするが、新月に向けて、アトラ司教の力が弱くなるため、次の決行は満月の夜と警備隊に告げた。
いきなり復帰は危ないので、体力を戻すためのトレーニングをしたりしていて、時間が掛かってしまった。
その間に捕まえた密猟者は、いずれも単独で、泉を汚染した組織の尻尾は掴めていない。
警備隊の精鋭たちで、司教含めて10人で森の奥まで行くこととなった。
今までも希少な資材を取りに行くため、魔術師を伴って森に入ることはあったのだが、ニンフの泉は簡単には辿り着けない場所にあると言う。
必ず、二人で行動することと、危険な場合は人命を優先することとした。
森の中では時間の感覚が狂う。さっきまで明るかったのに、急に暗くなった。アトラ司教が、光魔法で警備隊の周りを照らす。どこからともなく、蛍のような光る虫が寄ってきて、辺りを照らした。
「川の音がしますね…下に降りないとならないようです。足元が悪いので、私とレオナルドさんだけで行ってきます」
いつの間にか、近くにはいつぞやの猪の魔獣。警備隊はザッと構えたが、「この子が連れてってくれます」と司教が言った。
「みなさんの警護も、この子の仲間がしてくれますので、刺激しないようにしてください」
気がつけば、周りに無数の気配がする。警備隊員は、ごくりと喉を鳴らし、頷いた。
「乗ってください」
ルキーニとオレは、猪に捕まり、下に下にと獣道を降りて行った。
これは人間には来れないよな、と思う。
小さな滝の前で、背中から降ろされた。ルキーニが照らすと、滝の奥に道がある。
濡れないように光魔法で道を作り、中に入ると、黒い靄のかかったコウモリの群れがバサバサと飛び掛かってきた。
コウモリに、白い鳥と黒い鳥が飛び掛る。そこをルキーニが一斉に浄化の光を当てる。コウモリたちは、パラパラと地面に落ちていった。
進んだ先にあった泉は、弱く光輝いていたが、黒い靄に包まれていた。レオナルドには見えないが、光っているのはニンフで、横たわってぐったりしているという。
ルキーニは浄化の光を直に泉に送り、鳥に届けさせた浄化の石にも、更に力を込めると、泉に投げ込む。白い鳥が、泉から、黒い石を拾い、ルキーニの元に運んだ。
「これか…」
「何だ?」
「密猟者が使った、汚染の石です。浄化ではなく、汚染。黒魔術を使って作ったんでしょう。この泉には、弱った魔獣が来ます。そこで汚染されると、弱って死ぬか、暴れて外に飛び出すかなんでしょう。ほら、よく見ると、死骸がたくさんあります」
「うわっ」
「本来、泉が正常ならば、食物連鎖の輪に入るように、ここから川へと流れ、淘汰され、土に還るはずです。こうして、弱らせて、死体を回収するのが目的だったんでしょう。死体も魔術の貴重な資材ですから」
「こんな所まで、なかなか来れないと思うが…」
「ふむ。確証がほしいですね。先輩、今回の浄化は失敗したと仲間の皆さんに告げてください」
「まさか…」
「そうです。密猟者と密通している者が居るかもしれません」
「仲間を疑うのは嫌だが…可能性は高いな」
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レオナルドと司教が戻ると、泉には辿り着けなかったと隊員に告げた。野宿は危険だし、ここで切り上げると。
森から出ると、もう朝方だった。まだ夜中だと思っていたから、時間感覚の違いに、改めて、森の恐ろしさを感じたのだった。
今後の動きとして、もう1度チャレンジするが、新月に向けて、アトラ司教の力が弱くなるため、次の決行は満月の夜と警備隊に告げた。
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