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13話
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黒板の前に立つ俺を囲むように、椅子を半円形に並べて座る調理班のメンバーたち。
ざわざわと意見を出し合う声の中でも、やっぱり目が行くのはあの2人──東雲とロロだ。
……で、司会しながら気づいたんだよ。
横で見てるときは意識してなかったけど、あいつら、距離近くないか?
東雲はロロの反応にちゃんと気づいて、分かってなさそうな時はさらっと説明してやってるし、ロロの言葉にはちゃんと耳を傾ける。
しかも、時々……ほんの少しだけ笑う。
(いやいや、だからって俺がトゥンクするわけじゃないけどさ…)
「クレープ、ホットケーキ、チョコバナナ……」
黒板に書き足すたび、メンバーの声が弾む。
「 chocolat banane?」
(今、バナヌって言ったな)
ロロが首を傾げた瞬間、東雲がすっと顔を近づける。
その動きがあまりにも自然で、まるでキスでもするみたいな距離感に、息が詰まりそうになる。
黒髪がロロの金髪にふっと触れた。
ロロは耳を傾け、東雲の声だけを拾っている。
ほんの一瞬、教室のざわめきが遠くなった気がした。
(……おい、それ、俺のときはそんな距離で話さねぇだろ)
ロロが「チョコバナヌ!」と笑うと、東雲の口元もふっと緩む。
……なんだよ、それ。ずるくないか?
「あと、わたあめもできるかな」
「かき氷もいいよな」
「ベビーカステラ!」
甘い香りがしてきそうなメニューが並ぶ中、俺はふと思い出してロロに聞いてみた。
「ロロは、何かやってみたいのある?」
「タイヤキ! タイヤキしたい!」
ぱあっと顔が輝くロロ。何人かが笑い、東雲が肩を揺らして苦笑する。
ロロはキョトンと周りを見渡していた。
「たい焼きは……ちょっと無理かな」
「どして?」
「専用の機械がいるんだ」
そう言うと、東雲はまたロロの方へ顔を寄せ、さらさらとフランス語を口にする。
意味はわからないのに、滑らかな響きが妙に耳に残る。
ロロは「タイヤキ…ムリ、わかった」と少し残念そうに笑った。
(……やっぱずるいよな。日本語だとそっけないくせに、フランス語だとやたら話すんだから)
そのやり取りが、自分たちだけの世界みたいで少し妬ましい。
しかもだ。
次に出た「たこ焼き」の言葉に、ロロがパッと立ち上がった瞬間──東雲の、もふっとした黒髪がロロの肩にかかった。
普通、そんな距離に人がいたらちょっとは避けるもんだろ。
なのに東雲は微動だにしない。
まぁロロが気にしてないのは制服の上からだし、興奮してて気付いてないのかもっていうので、まだ分かるんだけどさ。
その落ち着きっぷりが逆に存在感を放っていて、見ているこっちが妙にそわそわしてくる。
(動かざること山のごとし……いや、熊のごとしか)
よく考えたら、俺も東雲の隣に座ったとき、肩や腕が軽く当たることはあっても、払いのけられたことなんてなかった。
人を寄せつけないくせに、意外とこういうの平気なタイプなのかもしれない。
(……それって、俺にも同じ距離ってことだよな?
それとも──ロロだけ特別?)
答えはもちろん出ないまま、俺は黒板にチョークを走らせ続けた。
ざわざわと意見を出し合う声の中でも、やっぱり目が行くのはあの2人──東雲とロロだ。
……で、司会しながら気づいたんだよ。
横で見てるときは意識してなかったけど、あいつら、距離近くないか?
東雲はロロの反応にちゃんと気づいて、分かってなさそうな時はさらっと説明してやってるし、ロロの言葉にはちゃんと耳を傾ける。
しかも、時々……ほんの少しだけ笑う。
(いやいや、だからって俺がトゥンクするわけじゃないけどさ…)
「クレープ、ホットケーキ、チョコバナナ……」
黒板に書き足すたび、メンバーの声が弾む。
「 chocolat banane?」
(今、バナヌって言ったな)
ロロが首を傾げた瞬間、東雲がすっと顔を近づける。
その動きがあまりにも自然で、まるでキスでもするみたいな距離感に、息が詰まりそうになる。
黒髪がロロの金髪にふっと触れた。
ロロは耳を傾け、東雲の声だけを拾っている。
ほんの一瞬、教室のざわめきが遠くなった気がした。
(……おい、それ、俺のときはそんな距離で話さねぇだろ)
ロロが「チョコバナヌ!」と笑うと、東雲の口元もふっと緩む。
……なんだよ、それ。ずるくないか?
「あと、わたあめもできるかな」
「かき氷もいいよな」
「ベビーカステラ!」
甘い香りがしてきそうなメニューが並ぶ中、俺はふと思い出してロロに聞いてみた。
「ロロは、何かやってみたいのある?」
「タイヤキ! タイヤキしたい!」
ぱあっと顔が輝くロロ。何人かが笑い、東雲が肩を揺らして苦笑する。
ロロはキョトンと周りを見渡していた。
「たい焼きは……ちょっと無理かな」
「どして?」
「専用の機械がいるんだ」
そう言うと、東雲はまたロロの方へ顔を寄せ、さらさらとフランス語を口にする。
意味はわからないのに、滑らかな響きが妙に耳に残る。
ロロは「タイヤキ…ムリ、わかった」と少し残念そうに笑った。
(……やっぱずるいよな。日本語だとそっけないくせに、フランス語だとやたら話すんだから)
そのやり取りが、自分たちだけの世界みたいで少し妬ましい。
しかもだ。
次に出た「たこ焼き」の言葉に、ロロがパッと立ち上がった瞬間──東雲の、もふっとした黒髪がロロの肩にかかった。
普通、そんな距離に人がいたらちょっとは避けるもんだろ。
なのに東雲は微動だにしない。
まぁロロが気にしてないのは制服の上からだし、興奮してて気付いてないのかもっていうので、まだ分かるんだけどさ。
その落ち着きっぷりが逆に存在感を放っていて、見ているこっちが妙にそわそわしてくる。
(動かざること山のごとし……いや、熊のごとしか)
よく考えたら、俺も東雲の隣に座ったとき、肩や腕が軽く当たることはあっても、払いのけられたことなんてなかった。
人を寄せつけないくせに、意外とこういうの平気なタイプなのかもしれない。
(……それって、俺にも同じ距離ってことだよな?
それとも──ロロだけ特別?)
答えはもちろん出ないまま、俺は黒板にチョークを走らせ続けた。
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