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16話
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ロロの「猫の手」ポーズに感心しているうちに、具材の下ごしらえが終わった。
たこ焼き器に油をひき、生地を流し込むと──
「Wow!!」
ロロが目を輝かせる。
金色の髪が揺れて、やたら絵になるのがずるい。
「はい、ここからは具を入れて……」
俺が説明しかけたその時、ロロがチョコを手に取った。
「え、それ先に入れるの!?」
思わず声が出たが、ロロは気にせずコロッとチョコを窪みに落とす。
「……まぁ、実験だしな」
東雲が淡々と他の窪みにこんにゃくを投入。
真顔でやるから余計にシュールだ。
キムチ入り、納豆入り、チョコ入り……カオスなラインナップが埋まっていく。
竹串で器用にひっくり返すのは東雲だ。
ロロがやろうとすると、必ずどこか崩れて中身が飛び出す。
「ムズカシイ!!」
ムゥっと唇を尖らせる顔は、小さな子供そのものだった。
癇癪を起こす寸前にも見えて、初めては皆そうなんだよ、と笑ってしまう。
「ほら、こうやって──」
東雲が後ろからロロの手を包み、ゆっくり串を回す。
窪みに沿う様に、竹串を動かすとたこ焼きが動いた。
そして、そのまま上下をひっくり返すように回すと、クルンと丸みを帯びた面が出てくる。
ロロが東雲を振り返りながら、ロロが「できた!」と嬉しそうに笑うのに、東雲も小さく笑った。
(お前らな……そういう距離感、ほんと目の毒なんだよ)
香ばしい匂いが漂い、表面がこんがりしてきたところで、皿に盛り付ける。
「じゃ、味見してみようか」
そう声を掛けると、ロロは迷わずチョコ入りを選んだ。
熱いからな、と声を掛ける前に、ぱくっとかじってしまう。
全部口の中に入れなかっただけ良かったかもしれない。
熱いたこ焼きをハフハフさせる姿に、ほんわかしながら、俺もたこ焼きを齧った。
「……あまい!あちゅい!オイシ!」
その感想に、大体の味が想像できて、思わず笑ってしまう。
東雲はこんにゃく入りを口に運び、無言で噛み続ける。
「どう?」と聞くと、「……食感は悪くない」とだけ返すあたりが熊っぽい。
もっとしっかり感想を寄越せ、熊!
俺はキムチ入りを食べてみたが──うん、これは普通に美味い。
ただ、横でロロが東雲の皿に乗ったたこ焼きを欲しいと言っているのに、味の感想はどこかへ吹っ飛んだ。
(……まだあるんだから、そんな東雲の皿の欲しがらなくても…)
そんな気持ちをごまかすように、もう一個、熱いたこ焼きを頬張った。
一通り食べ終えたところで、俺が何気なく言った。
「もうさ、闇鍋たこ焼きってのはどうだ?何味か分からないやつ」
するとロロが、ぱっと顔を輝かせる。
「ヤミナベ!ヤミナベ!」
……響きだけで気に入ったらしい。意味は多分分かってない。
東雲はというと、「その方が楽だしな」とだけ言って、無造作に具材を混ぜていく。
こんにゃく、納豆、チョコ、キムチ……何をどこに入れたか、もう誰も分からない。
竹串を持つ東雲の手元をロロが覗き込み、「それチョコ?」なんて笑っているが、東雲は答えない。
焼きあがる頃には、表面は全部こんがりきつね色。
見た目じゃ中身がまったく分からない、正真正銘の闇鍋たこ焼きが完成した。
出来立ては熱いからと、うちわでパタパタ仰ぐロロの可愛さに癒されながら、続きも焼いていく。
「じゃあ──せーので食べようぜ」
皿を手に取った瞬間、変な緊張感が走る。
俺は無難そうなのを選び、ロロは迷わず一番大きいのをつまみ上げた。
東雲は適当に手前のを取っている。
「せーの!」
一斉に口へ。
……ん?
俺の口の中で、ふわっとチョコの甘さと納豆のねばりが混ざった。
(おい、これ作ったやつ誰だ!!)
ロロはというと──
「アマイ……しょっぱい?これ、オイシ?」
なんだその三拍子。顔がきょとんとしてて可愛いのが余計に腹立つ。
東雲は黙々と噛み、飲み込み、「……チョコとキムチは合わないな」とだけ言う。
その落ち着きっぷり、闇鍋向いてるタイプだな、こいつ。
結局、他の皆にも食べてもらい、誰が何を引き当てるかで盛り上がった。
ロロは東雲の皿から一つ奪って、また熱そうにハフハフしている。
「え、いいんじゃない?闇鍋たこ焼き!」
「めっちゃ面白いよね!味はあれだけど、盛り上がるし!」
「でも、流石にネーミングが悪くない…?」
こうして“何味か分からないたこ焼き”は、文化祭でクラスの目玉になったのだった。
たこ焼き器に油をひき、生地を流し込むと──
「Wow!!」
ロロが目を輝かせる。
金色の髪が揺れて、やたら絵になるのがずるい。
「はい、ここからは具を入れて……」
俺が説明しかけたその時、ロロがチョコを手に取った。
「え、それ先に入れるの!?」
思わず声が出たが、ロロは気にせずコロッとチョコを窪みに落とす。
「……まぁ、実験だしな」
東雲が淡々と他の窪みにこんにゃくを投入。
真顔でやるから余計にシュールだ。
キムチ入り、納豆入り、チョコ入り……カオスなラインナップが埋まっていく。
竹串で器用にひっくり返すのは東雲だ。
ロロがやろうとすると、必ずどこか崩れて中身が飛び出す。
「ムズカシイ!!」
ムゥっと唇を尖らせる顔は、小さな子供そのものだった。
癇癪を起こす寸前にも見えて、初めては皆そうなんだよ、と笑ってしまう。
「ほら、こうやって──」
東雲が後ろからロロの手を包み、ゆっくり串を回す。
窪みに沿う様に、竹串を動かすとたこ焼きが動いた。
そして、そのまま上下をひっくり返すように回すと、クルンと丸みを帯びた面が出てくる。
ロロが東雲を振り返りながら、ロロが「できた!」と嬉しそうに笑うのに、東雲も小さく笑った。
(お前らな……そういう距離感、ほんと目の毒なんだよ)
香ばしい匂いが漂い、表面がこんがりしてきたところで、皿に盛り付ける。
「じゃ、味見してみようか」
そう声を掛けると、ロロは迷わずチョコ入りを選んだ。
熱いからな、と声を掛ける前に、ぱくっとかじってしまう。
全部口の中に入れなかっただけ良かったかもしれない。
熱いたこ焼きをハフハフさせる姿に、ほんわかしながら、俺もたこ焼きを齧った。
「……あまい!あちゅい!オイシ!」
その感想に、大体の味が想像できて、思わず笑ってしまう。
東雲はこんにゃく入りを口に運び、無言で噛み続ける。
「どう?」と聞くと、「……食感は悪くない」とだけ返すあたりが熊っぽい。
もっとしっかり感想を寄越せ、熊!
俺はキムチ入りを食べてみたが──うん、これは普通に美味い。
ただ、横でロロが東雲の皿に乗ったたこ焼きを欲しいと言っているのに、味の感想はどこかへ吹っ飛んだ。
(……まだあるんだから、そんな東雲の皿の欲しがらなくても…)
そんな気持ちをごまかすように、もう一個、熱いたこ焼きを頬張った。
一通り食べ終えたところで、俺が何気なく言った。
「もうさ、闇鍋たこ焼きってのはどうだ?何味か分からないやつ」
するとロロが、ぱっと顔を輝かせる。
「ヤミナベ!ヤミナベ!」
……響きだけで気に入ったらしい。意味は多分分かってない。
東雲はというと、「その方が楽だしな」とだけ言って、無造作に具材を混ぜていく。
こんにゃく、納豆、チョコ、キムチ……何をどこに入れたか、もう誰も分からない。
竹串を持つ東雲の手元をロロが覗き込み、「それチョコ?」なんて笑っているが、東雲は答えない。
焼きあがる頃には、表面は全部こんがりきつね色。
見た目じゃ中身がまったく分からない、正真正銘の闇鍋たこ焼きが完成した。
出来立ては熱いからと、うちわでパタパタ仰ぐロロの可愛さに癒されながら、続きも焼いていく。
「じゃあ──せーので食べようぜ」
皿を手に取った瞬間、変な緊張感が走る。
俺は無難そうなのを選び、ロロは迷わず一番大きいのをつまみ上げた。
東雲は適当に手前のを取っている。
「せーの!」
一斉に口へ。
……ん?
俺の口の中で、ふわっとチョコの甘さと納豆のねばりが混ざった。
(おい、これ作ったやつ誰だ!!)
ロロはというと──
「アマイ……しょっぱい?これ、オイシ?」
なんだその三拍子。顔がきょとんとしてて可愛いのが余計に腹立つ。
東雲は黙々と噛み、飲み込み、「……チョコとキムチは合わないな」とだけ言う。
その落ち着きっぷり、闇鍋向いてるタイプだな、こいつ。
結局、他の皆にも食べてもらい、誰が何を引き当てるかで盛り上がった。
ロロは東雲の皿から一つ奪って、また熱そうにハフハフしている。
「え、いいんじゃない?闇鍋たこ焼き!」
「めっちゃ面白いよね!味はあれだけど、盛り上がるし!」
「でも、流石にネーミングが悪くない…?」
こうして“何味か分からないたこ焼き”は、文化祭でクラスの目玉になったのだった。
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