はい、そうです。敗走です

幽零

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王国着いたら指名手配

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「お?あれなんだ?橋?」

「……多分城壁だな。という事は」

「あらあら~、着きましたわね~」

『巨人の森』を抜けて、しばらく歩いていたら壁のようなものが見えてきた。トキシーが着いたというのを鑑みるに、きっと王国へついたのだろう。


「あ、なんか並んでるね」

「国ならば検閲ぐらいするだろうな」

「検閲?」

「あぁ、俺たちの村と違ってここは『国』だ。多くの人が暮らしているからな、怪しいやつは入れないんだろう……」

そこまでいうと、フォルトは首を回してトキシーを見る。

「あらあら~、わたくしを見てどうなさったのですか?」

「……くれぐれも余計な事するなよ」




「旅の商人です。ここに流れてきまして、ほら認識証はこちらに」

「……うむ、通ってよし。次」

槍を持った兵士が、キビキビと検閲している。

「……ん?見慣れない格好をしているな」

「こんちわー、村から来ました~」

「村……?」

ゴチンとゲンコツでハイサルを黙らせると、フォルトが取り繕う。

「すまんな、俺たちが来た村から『勇者候補』として出るように言われたんだが」

「……『勇者候補』……?」

兵士が怪訝な顔を浮かべるので、フォルトも眉を顰める。

「……ん?ここは王国じゃないのか?」

「いや、確かにそうだが……『勇者候補』って何のことだ?」



「………んえ?」



……なんか雲行きが怪しくなってきた。

「そんなもの募集していないぞ。確かに魔物やその他の脅威はあるが……」

「ところでお前たち、どっから来たんだ」

「『巨人の森』からだが?」

「きょっ、巨人の森!?あそこを抜けてきたのか!?」

兵士がどよめくし、後ろに並んでいる人たちもザワザワし始めた。

「あの森は、伝承だと口減しの為に子供を置き去りにする森だぞ……?」

「……ん?」

未だピンとこないハイサルはさておき、フォルトは色々と勘付いたらしい。顔を手で押さえている。

「ハァ~……」

「ん?どうしたフォル兄」

「その、何だ。お前、本当に追放されてたみたいだ」

「…………うっそぉ」

道中で冗談気味に追放とか口走っていたら、本当に口減しの為の追放だったらしい。

「ま、いっか。生きてるし、外にも興味あったし~」

「……そういうところは図太いなお前……」

ハイサルとフォルトが何とも言えない空気感の会話をしていると、門番の兵士がトキシーに気がつく。

「……って、おい。そこの女……」

「お前!!指名手配のネクロマンサーじゃないか!!」

「……あらあら~」

「……んえ?」

トキシーは特に暴れず、弁明もせず、反論もせず、いつも通り微笑んでいた。

「バレてしまいました~」

「お前たち!!こんな危険人物をここまで護衛してきたのか!?さては、この女の仲間か!?」

「いやっ俺たちはたまたま出会っただけで……」

フォルトが反論する前に、トキシーはハイサルの背後から抱きつき、恍惚に微笑む。

「わたくし達は仲間ですよね~?」

「ん?そうだよ?」

未だに状況を良く理解していないハイサルが口走ったせいで、兵士の血相が変わる。

「ひっとらえろぉぉぉぉ!!!」

「お前ぇぇぇぇ!!」

兵士の義憤の叫びと、フォルトの悲痛な方の叫びが重なる。


「ええぃ!指名手配犯達め!!逃すなぁぁ!!」


フォルトは弾かれるように動いた。持っていた巨人の棍棒を捨てて、両手でハイサルとトキシーを抱えると走り始める。


「ッッ!?何だあの男!?」

「まるまる二人抱えて走ってるぞ!?」

「しかも速い!?」



王国に着いたら、『勇者候補』など真っ赤な嘘で。気がついたら指名手配犯の仲間として終われる始末。

「あらあら~、楽しい逃走劇ですわね~」

「置いてくぞ指名手配犯」

「フォル兄もっと速くー」

「捨てていくぞお前」



一息つけると思ったら、息が上がるハメに。







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