逆転無罪〜Find the truth〜

hamyuki

文字の大きさ
3 / 7
エピソード1

3話 見えてきた突破口

しおりを挟む
 真は次の日、久々の休みで、由莉とデートをすることになっていた。

由莉は仕事が終わってからくるということで、単なる食事デートではあるが。

「ごめん。待った。」と由莉が申し訳なさそうな、嬉しそうなどちらともいえない感じでやってきた。

「大丈夫だよ。」と真は返事をした。


「真はそういえば、あの前言ってた難しい事件解決したの?」

「いや、してないよ。むしろ、解決からは程遠いよ。」

「そうなんだ。」

「由莉は仕事の調子は最近どうなの?」

「普通かな。まぁ可もなく不可もなくって感じ。」

「でも、なんか最近思うのは人生って偶然の積み重ねだよね。」

「急にどうしたの。」

「だって、俺と由莉って昔、バスの隣の席に座ってたからじゃん。」

「そうだけど。」

(真と由莉が回想する。)

真がバスを降りた直後、

「あの。これ忘れてますよ。」と由莉が真の財布を手に持って追いかけてきてくれた。

「あー、すみません。ありがとうございます。さっき隣に座っていた方ですよね。」

「はい。でも、最近はICカードとかあるから、現金で払う機会減ってしまうのでバス降りる時に気付かなかったりしますよね。」

「そうなんですよね。そういえば、あなたはここのバス停で降りる予定だったんですか?」

「いいえ。全然先のバス停で降りる予定でしたよ。でも大丈夫ですよ。また次のバス乗ればいいですし。」

「そんな。それは申し訳なさすぎます。お急ぎじゃないんですか?」

「そんなに急いでないですよ。だから気にしないでください。」

「そうなんですか。でも今度お礼したいので、ここに電話をしてもらえませんか。」
と真は名刺を差し出した。

「弁護士さんなんですか。すごい。」と由莉はびっくりした。

「まぁそうなんですけど、まだ一年目でまだまだ未熟者です。」

真と由莉は微笑んでいた。

現在の真と由莉にはこのような微笑みの数が減ってきているようにも思える。

真と由莉はフレンチレストランで食事を終えたあと、帰宅して、風呂に入り、そのまま就寝したが、その中でした会話はほとんど仕事に関する話ばかりだった。

次の日、事務所では麻実が西堂にずっと、恋愛に関する不平を言っていた。

「そもそも。恋愛っておかしいですよ。だって、見た目は大事じゃないとか言いますけど、女性はみんな外見に気を使うから自分も使わないといけなくなりますし、だからといって性格が合わないと性格がダメとか言いますし、そもそも外見も中身も価値基準の問題だと思うんですよね。」

「だって、私はこのメイクをした時が可愛いと思うのに、俺の好みじゃないとか、そんなの知るかって話ですよ。」

「しかも、俺は優しい人が好きだとか言いますけど、自分は大してそこまで優しくなかったりするし。なんでそんなお前に決めつけられないといけないんだよって話ですよ。」

真はこの延々と続く愚痴に呆れて、思わず

「そんなんだったら、麻実さんは恋愛しなかったらいいのに。」

と言ってしまった。

すると、麻実は
「私はね、なんやかんやでもう29歳なの、そろそろ結婚も考えないといけない年齢なの。」と強い口調で言った。


「麻実さん、恋愛には不平ばかり言ってますけど、結婚考えているんですね。」

「恋愛と結婚は別よ。恋愛は今の自分を楽しむためにするものなの。一方で結婚は将来の自分のためにするものなんだから。」

真は麻実が言ってることは矛盾してないかと思いつつ、
「へぇー。そうなんですね。僕的には恋愛の延長のまま結婚するなんてことよくあると思いますけど。」と返した。

「ところで、高城くん、強盗致傷事件について何か進展はあったかね。」
と西堂が真に尋ねた。

「いいえ。むしろ、進展というより後退しかない気がします。」

「どうしたんだ。」

「被害者は正面から襲われたと話しているんです。ですが、あの時間に被害者の正面の道から歩いて来れるのは竹田さんくらいしか考えれないですし、竹田さんよりも前にあの道を15分前に通った人物がいますが竹田さんはあの道には誰もいなかったと言っているので、おそらく違うでしょう。」

「竹田さんよりあとに通った人はいなかったのか?」

「それも見てみましたが、竹田さんよりあとに通った人物は竹田さんが通った7分後、つまり、8時34分なので、通報されたあとなんです。」

「なら、ダメか。」

「ですが、僕は次の月曜日に同時刻に現場に行ってみようと思います。何か手がかりが見つかるかもしれませんし。」

次の月曜日、真は麻実と一緒に事件が起きた時間帯と同じくらいに事件現場に行った。

「なんか、普通の一本道だね。」

「そうですね。前に僕がきた時から何も変わってもいないです。」

「そんな短時間で変わることなんかないでしょ。」

そんな会話をしていると、何かの音楽が聞こえてきた、

「何の音楽なんですかね?」と真が麻実にきくと、

「運動会でもやってるんじゃないの?」と麻実はいった。

「この辺に学校があるのか。」

しばらくすると、朝礼のようなものが始まった。

「朝から学生も大変ね。朝礼とかみんなで運動場に集まって長い話をきかされるやつでしょ。」と麻実はつまらなそうな顔で言った。

「いやー。麻実さんの話の方がよっぽど長いですよ。」と真が冗談ぽく言った。

「うるさいわね。」
と麻実は少し怒った感じで言う。

「うん。待てよ。」
と真は何かひらめいたような顔をした。

「どうしたのよ。」と麻実は不思議そうな顔をした。

「闇に隠された真実がみえてきた気がする。」と真は嬉しそうな顔で言った。

~続く~
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

処理中です...