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エピソード1
3話 見えてきた突破口
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真は次の日、久々の休みで、由莉とデートをすることになっていた。
由莉は仕事が終わってからくるということで、単なる食事デートではあるが。
「ごめん。待った。」と由莉が申し訳なさそうな、嬉しそうなどちらともいえない感じでやってきた。
「大丈夫だよ。」と真は返事をした。
「真はそういえば、あの前言ってた難しい事件解決したの?」
「いや、してないよ。むしろ、解決からは程遠いよ。」
「そうなんだ。」
「由莉は仕事の調子は最近どうなの?」
「普通かな。まぁ可もなく不可もなくって感じ。」
「でも、なんか最近思うのは人生って偶然の積み重ねだよね。」
「急にどうしたの。」
「だって、俺と由莉って昔、バスの隣の席に座ってたからじゃん。」
「そうだけど。」
(真と由莉が回想する。)
真がバスを降りた直後、
「あの。これ忘れてますよ。」と由莉が真の財布を手に持って追いかけてきてくれた。
「あー、すみません。ありがとうございます。さっき隣に座っていた方ですよね。」
「はい。でも、最近はICカードとかあるから、現金で払う機会減ってしまうのでバス降りる時に気付かなかったりしますよね。」
「そうなんですよね。そういえば、あなたはここのバス停で降りる予定だったんですか?」
「いいえ。全然先のバス停で降りる予定でしたよ。でも大丈夫ですよ。また次のバス乗ればいいですし。」
「そんな。それは申し訳なさすぎます。お急ぎじゃないんですか?」
「そんなに急いでないですよ。だから気にしないでください。」
「そうなんですか。でも今度お礼したいので、ここに電話をしてもらえませんか。」
と真は名刺を差し出した。
「弁護士さんなんですか。すごい。」と由莉はびっくりした。
「まぁそうなんですけど、まだ一年目でまだまだ未熟者です。」
真と由莉は微笑んでいた。
現在の真と由莉にはこのような微笑みの数が減ってきているようにも思える。
真と由莉はフレンチレストランで食事を終えたあと、帰宅して、風呂に入り、そのまま就寝したが、その中でした会話はほとんど仕事に関する話ばかりだった。
次の日、事務所では麻実が西堂にずっと、恋愛に関する不平を言っていた。
「そもそも。恋愛っておかしいですよ。だって、見た目は大事じゃないとか言いますけど、女性はみんな外見に気を使うから自分も使わないといけなくなりますし、だからといって性格が合わないと性格がダメとか言いますし、そもそも外見も中身も価値基準の問題だと思うんですよね。」
「だって、私はこのメイクをした時が可愛いと思うのに、俺の好みじゃないとか、そんなの知るかって話ですよ。」
「しかも、俺は優しい人が好きだとか言いますけど、自分は大してそこまで優しくなかったりするし。なんでそんなお前に決めつけられないといけないんだよって話ですよ。」
真はこの延々と続く愚痴に呆れて、思わず
「そんなんだったら、麻実さんは恋愛しなかったらいいのに。」
と言ってしまった。
すると、麻実は
「私はね、なんやかんやでもう29歳なの、そろそろ結婚も考えないといけない年齢なの。」と強い口調で言った。
「麻実さん、恋愛には不平ばかり言ってますけど、結婚考えているんですね。」
「恋愛と結婚は別よ。恋愛は今の自分を楽しむためにするものなの。一方で結婚は将来の自分のためにするものなんだから。」
真は麻実が言ってることは矛盾してないかと思いつつ、
「へぇー。そうなんですね。僕的には恋愛の延長のまま結婚するなんてことよくあると思いますけど。」と返した。
「ところで、高城くん、強盗致傷事件について何か進展はあったかね。」
と西堂が真に尋ねた。
「いいえ。むしろ、進展というより後退しかない気がします。」
「どうしたんだ。」
「被害者は正面から襲われたと話しているんです。ですが、あの時間に被害者の正面の道から歩いて来れるのは竹田さんくらいしか考えれないですし、竹田さんよりも前にあの道を15分前に通った人物がいますが竹田さんはあの道には誰もいなかったと言っているので、おそらく違うでしょう。」
「竹田さんよりあとに通った人はいなかったのか?」
「それも見てみましたが、竹田さんよりあとに通った人物は竹田さんが通った7分後、つまり、8時34分なので、通報されたあとなんです。」
「なら、ダメか。」
「ですが、僕は次の月曜日に同時刻に現場に行ってみようと思います。何か手がかりが見つかるかもしれませんし。」
次の月曜日、真は麻実と一緒に事件が起きた時間帯と同じくらいに事件現場に行った。
「なんか、普通の一本道だね。」
「そうですね。前に僕がきた時から何も変わってもいないです。」
「そんな短時間で変わることなんかないでしょ。」
そんな会話をしていると、何かの音楽が聞こえてきた、
「何の音楽なんですかね?」と真が麻実にきくと、
「運動会でもやってるんじゃないの?」と麻実はいった。
「この辺に学校があるのか。」
しばらくすると、朝礼のようなものが始まった。
「朝から学生も大変ね。朝礼とかみんなで運動場に集まって長い話をきかされるやつでしょ。」と麻実はつまらなそうな顔で言った。
「いやー。麻実さんの話の方がよっぽど長いですよ。」と真が冗談ぽく言った。
「うるさいわね。」
と麻実は少し怒った感じで言う。
「うん。待てよ。」
と真は何かひらめいたような顔をした。
「どうしたのよ。」と麻実は不思議そうな顔をした。
「闇に隠された真実がみえてきた気がする。」と真は嬉しそうな顔で言った。
~続く~
由莉は仕事が終わってからくるということで、単なる食事デートではあるが。
「ごめん。待った。」と由莉が申し訳なさそうな、嬉しそうなどちらともいえない感じでやってきた。
「大丈夫だよ。」と真は返事をした。
「真はそういえば、あの前言ってた難しい事件解決したの?」
「いや、してないよ。むしろ、解決からは程遠いよ。」
「そうなんだ。」
「由莉は仕事の調子は最近どうなの?」
「普通かな。まぁ可もなく不可もなくって感じ。」
「でも、なんか最近思うのは人生って偶然の積み重ねだよね。」
「急にどうしたの。」
「だって、俺と由莉って昔、バスの隣の席に座ってたからじゃん。」
「そうだけど。」
(真と由莉が回想する。)
真がバスを降りた直後、
「あの。これ忘れてますよ。」と由莉が真の財布を手に持って追いかけてきてくれた。
「あー、すみません。ありがとうございます。さっき隣に座っていた方ですよね。」
「はい。でも、最近はICカードとかあるから、現金で払う機会減ってしまうのでバス降りる時に気付かなかったりしますよね。」
「そうなんですよね。そういえば、あなたはここのバス停で降りる予定だったんですか?」
「いいえ。全然先のバス停で降りる予定でしたよ。でも大丈夫ですよ。また次のバス乗ればいいですし。」
「そんな。それは申し訳なさすぎます。お急ぎじゃないんですか?」
「そんなに急いでないですよ。だから気にしないでください。」
「そうなんですか。でも今度お礼したいので、ここに電話をしてもらえませんか。」
と真は名刺を差し出した。
「弁護士さんなんですか。すごい。」と由莉はびっくりした。
「まぁそうなんですけど、まだ一年目でまだまだ未熟者です。」
真と由莉は微笑んでいた。
現在の真と由莉にはこのような微笑みの数が減ってきているようにも思える。
真と由莉はフレンチレストランで食事を終えたあと、帰宅して、風呂に入り、そのまま就寝したが、その中でした会話はほとんど仕事に関する話ばかりだった。
次の日、事務所では麻実が西堂にずっと、恋愛に関する不平を言っていた。
「そもそも。恋愛っておかしいですよ。だって、見た目は大事じゃないとか言いますけど、女性はみんな外見に気を使うから自分も使わないといけなくなりますし、だからといって性格が合わないと性格がダメとか言いますし、そもそも外見も中身も価値基準の問題だと思うんですよね。」
「だって、私はこのメイクをした時が可愛いと思うのに、俺の好みじゃないとか、そんなの知るかって話ですよ。」
「しかも、俺は優しい人が好きだとか言いますけど、自分は大してそこまで優しくなかったりするし。なんでそんなお前に決めつけられないといけないんだよって話ですよ。」
真はこの延々と続く愚痴に呆れて、思わず
「そんなんだったら、麻実さんは恋愛しなかったらいいのに。」
と言ってしまった。
すると、麻実は
「私はね、なんやかんやでもう29歳なの、そろそろ結婚も考えないといけない年齢なの。」と強い口調で言った。
「麻実さん、恋愛には不平ばかり言ってますけど、結婚考えているんですね。」
「恋愛と結婚は別よ。恋愛は今の自分を楽しむためにするものなの。一方で結婚は将来の自分のためにするものなんだから。」
真は麻実が言ってることは矛盾してないかと思いつつ、
「へぇー。そうなんですね。僕的には恋愛の延長のまま結婚するなんてことよくあると思いますけど。」と返した。
「ところで、高城くん、強盗致傷事件について何か進展はあったかね。」
と西堂が真に尋ねた。
「いいえ。むしろ、進展というより後退しかない気がします。」
「どうしたんだ。」
「被害者は正面から襲われたと話しているんです。ですが、あの時間に被害者の正面の道から歩いて来れるのは竹田さんくらいしか考えれないですし、竹田さんよりも前にあの道を15分前に通った人物がいますが竹田さんはあの道には誰もいなかったと言っているので、おそらく違うでしょう。」
「竹田さんよりあとに通った人はいなかったのか?」
「それも見てみましたが、竹田さんよりあとに通った人物は竹田さんが通った7分後、つまり、8時34分なので、通報されたあとなんです。」
「なら、ダメか。」
「ですが、僕は次の月曜日に同時刻に現場に行ってみようと思います。何か手がかりが見つかるかもしれませんし。」
次の月曜日、真は麻実と一緒に事件が起きた時間帯と同じくらいに事件現場に行った。
「なんか、普通の一本道だね。」
「そうですね。前に僕がきた時から何も変わってもいないです。」
「そんな短時間で変わることなんかないでしょ。」
そんな会話をしていると、何かの音楽が聞こえてきた、
「何の音楽なんですかね?」と真が麻実にきくと、
「運動会でもやってるんじゃないの?」と麻実はいった。
「この辺に学校があるのか。」
しばらくすると、朝礼のようなものが始まった。
「朝から学生も大変ね。朝礼とかみんなで運動場に集まって長い話をきかされるやつでしょ。」と麻実はつまらなそうな顔で言った。
「いやー。麻実さんの話の方がよっぽど長いですよ。」と真が冗談ぽく言った。
「うるさいわね。」
と麻実は少し怒った感じで言う。
「うん。待てよ。」
と真は何かひらめいたような顔をした。
「どうしたのよ。」と麻実は不思議そうな顔をした。
「闇に隠された真実がみえてきた気がする。」と真は嬉しそうな顔で言った。
~続く~
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