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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)
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(昨日の夜はお祭り一日目で柚希がへとへとになって、すぐ寝てしまったから触れられなかったしなあ。今日はどうしても抱き合いたい。早くベッドを大きなものに買いなおさないと『カズ、熟睡できないからお前、下の布団で寝て』って冷たく言われるからなあ。柚希がゆっくり眠れないのは申し訳ないけど、僕としては抱きしめたまま眠りたい。本当は今週末ベッドを見に行きたかったけど。もはや通販でもいいか……)
王子を護る騎士のていを装いつつ、和哉は周りと柚希の間の壁になるように立って、お菓子を配り始めた。
自分のことを慕ってくれる小さな子供を見るにつけ、素直に可愛いなあと思う。そしてまたぞろ、柚希への独占欲が頭をよぎる。
(あーあ。こないだの発情期で柚希を孕ませたかったなあ。後から柚希、薬飲んじゃったからなあ。男のΩは発情期じゃないと妊娠することはないから、また次の機会を狙わないと。僕の子供を孕んだら、柚希もっと僕に頼ってくれるようになるかな? それとも小さな頃の僕をかまい倒したみたいに、子供に夢中になっちゃうかな。それもちょっと、妬けるな)
と考えながらも交際期間のような時間を柚希との間に持てずに番ったので、これから甘い甘い恋人同士としての時間をもっと増やして愛を育みあいたいとも思う。
たまに柚希の方を見ると、目元も頬も緩まり、愛が溢れるのを隠し切れない『恋する人』の顔になった彼が他の誰でもなく自分を見つめてくれる愉悦は堪らない。
「カズさん。ねえってば。あっちのフォトコーナーいってみんなで写真撮りましょう?」
柚希の反応にばかりうつつを抜かしていたら、和哉の後ろからぞろぞろとついてきていた女子高生プリンセスの一人が和哉の腕を引っ張り気味に何か訴えてきた。
「早く~、こっちきてくださいよお」
和哉のSNSにも良く反応をくれる子だったが、特に個人的に親しくしているわけではない。あからさまな好意を向けられることには慣れていたので普段通りの愛想の良さで微笑むと、反対側からも別の女の子に腕を取られた。
「表彰式はじまる前に一緒に写真お願いします!」
和哉の胸の前で顔を突き合わせた姫二人の、あからさまな牽制のしあい。
和哉が番持ちのαであることなど見た目からわかるはずもなく、正面にいる兄の、襟で隠れた美しい首筋に和哉が刻んだ永遠に消えぬ痕も、誰の目にも触れていない。
それが時々無性に苦しくなる。
誰の目から見ても兄が自分のものだと分かればいいのに。
そして自分の心も生涯兄に捧げていると気づかれればいいのに。
ちらりと兄に目線をやると、傷ついたような辛そうなような、そんな初めての反応を見せている。顔を曇らせちょっと寂しそうにしている柚希に申し訳ない気持ちと共にぞくぞくっとする快感も同時に覚えた。
(柚希が、妬いている? こんな子たち相手に?)
柚希と目が合うと本人も戸惑ったように目線を漂わせる。
(柚希、そんな顔されたら、たまらないよ)
ずっと幼いころから追い求め、掴み、わが腕の中に抱きしめた兄が見せた、初めての独占欲。
(柚希安心して。僕は君以外の人にはこれっぽっちも心を動かされないんだから。でも、嬉しいよ、君がそんな瞳で僕を見つめてくれたこと、これまでなかったから。すごく、すごく……)
和哉は腹の底から湧き上がり背筋を駆けのぼるぞくり、とした感覚に浸りながら口元に込み上げてくる嗤いを押さえられず、大きな掌でそっと隠した。
王子を護る騎士のていを装いつつ、和哉は周りと柚希の間の壁になるように立って、お菓子を配り始めた。
自分のことを慕ってくれる小さな子供を見るにつけ、素直に可愛いなあと思う。そしてまたぞろ、柚希への独占欲が頭をよぎる。
(あーあ。こないだの発情期で柚希を孕ませたかったなあ。後から柚希、薬飲んじゃったからなあ。男のΩは発情期じゃないと妊娠することはないから、また次の機会を狙わないと。僕の子供を孕んだら、柚希もっと僕に頼ってくれるようになるかな? それとも小さな頃の僕をかまい倒したみたいに、子供に夢中になっちゃうかな。それもちょっと、妬けるな)
と考えながらも交際期間のような時間を柚希との間に持てずに番ったので、これから甘い甘い恋人同士としての時間をもっと増やして愛を育みあいたいとも思う。
たまに柚希の方を見ると、目元も頬も緩まり、愛が溢れるのを隠し切れない『恋する人』の顔になった彼が他の誰でもなく自分を見つめてくれる愉悦は堪らない。
「カズさん。ねえってば。あっちのフォトコーナーいってみんなで写真撮りましょう?」
柚希の反応にばかりうつつを抜かしていたら、和哉の後ろからぞろぞろとついてきていた女子高生プリンセスの一人が和哉の腕を引っ張り気味に何か訴えてきた。
「早く~、こっちきてくださいよお」
和哉のSNSにも良く反応をくれる子だったが、特に個人的に親しくしているわけではない。あからさまな好意を向けられることには慣れていたので普段通りの愛想の良さで微笑むと、反対側からも別の女の子に腕を取られた。
「表彰式はじまる前に一緒に写真お願いします!」
和哉の胸の前で顔を突き合わせた姫二人の、あからさまな牽制のしあい。
和哉が番持ちのαであることなど見た目からわかるはずもなく、正面にいる兄の、襟で隠れた美しい首筋に和哉が刻んだ永遠に消えぬ痕も、誰の目にも触れていない。
それが時々無性に苦しくなる。
誰の目から見ても兄が自分のものだと分かればいいのに。
そして自分の心も生涯兄に捧げていると気づかれればいいのに。
ちらりと兄に目線をやると、傷ついたような辛そうなような、そんな初めての反応を見せている。顔を曇らせちょっと寂しそうにしている柚希に申し訳ない気持ちと共にぞくぞくっとする快感も同時に覚えた。
(柚希が、妬いている? こんな子たち相手に?)
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(柚希安心して。僕は君以外の人にはこれっぽっちも心を動かされないんだから。でも、嬉しいよ、君がそんな瞳で僕を見つめてくれたこと、これまでなかったから。すごく、すごく……)
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