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第二部 ありがとう、おめでとう よろしくね
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朝日が眩しくて目が覚めたら、天使もかくやというほど光沢すら帯びた真っ白な顔に黒々と長い睫毛を伏せて、柚希が穏やかな顔つきで眠っていて、枕元には大きな緑色に赤いリボンの柄が入ったいかにもクリスマスらしいプレゼントが置かれていた。
「……きちゃったな、サンタさん」
柚希がぐっすり眠っているのを見てぱらぱらっと黒髪がちる綺麗な額や滑らかな頬に触れてみた。白い額が目前に晒されたから、和哉は乾燥でややかさついた唇を押し当てる。
「柚希……。きっと僕の為に遅くまで起きてたんだね。ごめんね」
その刺激で「んっ」っと鼻にかかった艶めかしい吐息を柚希がついたから、思わず自分の下半身を見おろすが幸いにしてそこに汚れは見当たらなかった。
代わりにやや身をよじって、んんっと伸びをして布団をもぞもぞと蹴とばしかけたから捲ってやると、柚希のライトグレーのスェットの下腹部がややテントのように張っているのを見とがめて和哉は思わず小さな声で呻いてしまった。
(ううっ、まさか……。柚にい。これって……)
あどけなくも艶っぽくもある、美しい柚希の顔を凝視しながら、本能が赴くままにそこに手を伸ばしそうになり、ためらってぎゅっと握って、ただ上に載せるだけならとか手を出したり引っ込めたりしてモゾついていたら、ぱちっと起き抜けからいきなり綺麗な柚希の瞳が開いて目が合った。
「うあああ!」
「あああ、なになになに??? カズ???」
「お、おはよう……」
柚希も少し自分の身体の異変に気がついたのか、布団の中でちょっともぞもぞしながら出ては来ず、頬を染めている感じがまた初々しくて可愛らしい。
こちらもつられて反応してしまいそうになるから、一緒に寝るのはほどほどにしなければと和哉は思った。ちょっと立って落ち着いたのか、柚希がぺたりと足をついて座ったまま枕元を確認して、それから和哉の顔を見てそれはもう愛らしく微笑んできた。
「カズ。サンタさん来たね?」
優しく微笑まれたその貌は、なんだか母の和香が乗り移ったかのような慈愛に満ちていて、ふいに……。自分ではどうしようもなく胸が震えて、和哉の瞳から涙がぽろっと零れ落ちていた。
「カズ!」
反射的に柚希は和哉を抱き寄せて、自分の胸に顔を押し当ててその背をとんとんっと優しく摩ってくれる。
「どうした? 哀しいの?」
「分からない……。なんだろう」
「思い出しちゃった? お母さんのこと」
「うん……。少し」
「俺も思い出しちゃった。父さんたまにこうして俺のこと抱き上げてさ」
和哉のことを膝に乗っけようとしてくれたが重たくて後ろ向きに寝転がってしまった柚希は、和哉を抱きしめながら吐息をついた。
「柚希はいい子だね、って言ってくれたな。あんまり覚えてないけどそれだけは覚えてる」
「……柚にいは、いい人だよ」
和哉の言葉にくっと喉を詰まらせた柚希が小さく震えたので、和哉は身を起こして自分が今度は柚希を上から抱きしめるような姿勢をとって胸の中に柚希の頭を抱き込んだ。
「ありがとう……。カズもいい子だよ。サンタさんもきっと知ってるよ。カズは頑張り屋ですごく心が優しい子だって」
少しだけ涙声に聞こえた柚希の声。真っ白な朝日に照らされた二人はそのまま父が起こしに来るまでそうして世界に二人きりでいるような、だが互いの温みだけで満たされてるようなそんな充足感に包まれてクリスマスの朝を迎えたのだった。
「……きちゃったな、サンタさん」
柚希がぐっすり眠っているのを見てぱらぱらっと黒髪がちる綺麗な額や滑らかな頬に触れてみた。白い額が目前に晒されたから、和哉は乾燥でややかさついた唇を押し当てる。
「柚希……。きっと僕の為に遅くまで起きてたんだね。ごめんね」
その刺激で「んっ」っと鼻にかかった艶めかしい吐息を柚希がついたから、思わず自分の下半身を見おろすが幸いにしてそこに汚れは見当たらなかった。
代わりにやや身をよじって、んんっと伸びをして布団をもぞもぞと蹴とばしかけたから捲ってやると、柚希のライトグレーのスェットの下腹部がややテントのように張っているのを見とがめて和哉は思わず小さな声で呻いてしまった。
(ううっ、まさか……。柚にい。これって……)
あどけなくも艶っぽくもある、美しい柚希の顔を凝視しながら、本能が赴くままにそこに手を伸ばしそうになり、ためらってぎゅっと握って、ただ上に載せるだけならとか手を出したり引っ込めたりしてモゾついていたら、ぱちっと起き抜けからいきなり綺麗な柚希の瞳が開いて目が合った。
「うあああ!」
「あああ、なになになに??? カズ???」
「お、おはよう……」
柚希も少し自分の身体の異変に気がついたのか、布団の中でちょっともぞもぞしながら出ては来ず、頬を染めている感じがまた初々しくて可愛らしい。
こちらもつられて反応してしまいそうになるから、一緒に寝るのはほどほどにしなければと和哉は思った。ちょっと立って落ち着いたのか、柚希がぺたりと足をついて座ったまま枕元を確認して、それから和哉の顔を見てそれはもう愛らしく微笑んできた。
「カズ。サンタさん来たね?」
優しく微笑まれたその貌は、なんだか母の和香が乗り移ったかのような慈愛に満ちていて、ふいに……。自分ではどうしようもなく胸が震えて、和哉の瞳から涙がぽろっと零れ落ちていた。
「カズ!」
反射的に柚希は和哉を抱き寄せて、自分の胸に顔を押し当ててその背をとんとんっと優しく摩ってくれる。
「どうした? 哀しいの?」
「分からない……。なんだろう」
「思い出しちゃった? お母さんのこと」
「うん……。少し」
「俺も思い出しちゃった。父さんたまにこうして俺のこと抱き上げてさ」
和哉のことを膝に乗っけようとしてくれたが重たくて後ろ向きに寝転がってしまった柚希は、和哉を抱きしめながら吐息をついた。
「柚希はいい子だね、って言ってくれたな。あんまり覚えてないけどそれだけは覚えてる」
「……柚にいは、いい人だよ」
和哉の言葉にくっと喉を詰まらせた柚希が小さく震えたので、和哉は身を起こして自分が今度は柚希を上から抱きしめるような姿勢をとって胸の中に柚希の頭を抱き込んだ。
「ありがとう……。カズもいい子だよ。サンタさんもきっと知ってるよ。カズは頑張り屋ですごく心が優しい子だって」
少しだけ涙声に聞こえた柚希の声。真っ白な朝日に照らされた二人はそのまま父が起こしに来るまでそうして世界に二人きりでいるような、だが互いの温みだけで満たされてるようなそんな充足感に包まれてクリスマスの朝を迎えたのだった。
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