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溺愛編
心の内1
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ヴィオに拒絶されたセラフィンはゆっくりと指を抜き去ると先ほどまでの情熱的な姿が嘘のように、身を起こして静かな瞳でヴィオをただ見つめてきた。
ヴィオはパニックになり思わず拒否してしまったことで、セラフィンから失望をされたと思い込み、蕩け始めた心は冷たく凍りついた。そして今度はただただ恐ろしくなった。太い眉を切なげに寄せてぎゅっと目を瞑るとヴィオはぶつかるようにセラフィンの胸に縋って、泣きじゃくりながら首をふるふるとふり、謝り始めた。
「だめ……、じゃない。駄目じゃない! つ、番になりたいのは本当だよ。ちょっと怖かっただけ……。先生、お、お願い。嫌いにならないで」
「ヴィオ」
嗜めるような声色で呼ばれ、セラフィンが痛めた腕すら使いヴィオの背に回していつものように優しく抱きしめ返してくれることにほっとする。もはや甘いフェロモンの香りも霧散して、窓から吹き込む風も天蓋を揺らし二人の熱い気持ちを冷ましていくようだ。
「ちゃんと話をして。俺はお前が本当はどうしたいのか知りたいんだ」
その言葉になおさらぽろぽろと涙が零れ落ちる。セラフィンの熱い胸が濡れるほどの顔を擦りつけもっともっと強く抱き着く。
「番になって、ずっと先生の傍にいたい……。だって番になれたら、ずっと先生のお傍にいられるでしょう? 誰にだって、引き離されないでしょう?」
「そうだな」
「で、でもっ、僕すぐにお母さんになんてきっとなれない。僕、お母さんのこと何にも知らないし……。ううっ。父さんにも先生のことちゃんとお話できてないよ。か、勝手に番になったら……。これからどうなっていくのかわからなくて怖い。兄さんたちと相談したいけど、どこにいるのかもわからないよ。グスッ 僕が先生の傍に本当にいてもいいのか分からない。これからドリの里がどうなっちゃうのかもわからなくて……、カイ兄さん……、あの時みんな怪我してた……、きっとすごく怒られたはずだよ。兄さん、家族と離れて軍でずっと、一人で頑張ってきたのに……。ぼ、僕がカイ兄さんと番にならなかったから、みんなが困るんだ。でも、でも僕っ……。どうしても先生と……。ゴホッ」
興奮して泣きじゃくり、支離滅裂にまくし立て、そして咳き込んでえずいてまた泣いて。ヴィオは中央に出てきてから心にたまりこんでいた自分の思いを一つ一つすべて吐き出していく。矛盾と混乱があるのもむしろ、それはまごうことなき真実だろう。
「う、嘘なの。勉強沢山したいから中央にきたなんて嘘だよ。先生のお傍にいられるお仕事につければいいって思っただけ。ただ先生の傍にいたかっただけなんだ……。僕は噓つき……。自分勝手で、みんな僕のせいで……。先生も怪我した。ごめんなさい」
(やっと、本心を話した……)
ヴィオはパニックになり思わず拒否してしまったことで、セラフィンから失望をされたと思い込み、蕩け始めた心は冷たく凍りついた。そして今度はただただ恐ろしくなった。太い眉を切なげに寄せてぎゅっと目を瞑るとヴィオはぶつかるようにセラフィンの胸に縋って、泣きじゃくりながら首をふるふるとふり、謝り始めた。
「だめ……、じゃない。駄目じゃない! つ、番になりたいのは本当だよ。ちょっと怖かっただけ……。先生、お、お願い。嫌いにならないで」
「ヴィオ」
嗜めるような声色で呼ばれ、セラフィンが痛めた腕すら使いヴィオの背に回していつものように優しく抱きしめ返してくれることにほっとする。もはや甘いフェロモンの香りも霧散して、窓から吹き込む風も天蓋を揺らし二人の熱い気持ちを冷ましていくようだ。
「ちゃんと話をして。俺はお前が本当はどうしたいのか知りたいんだ」
その言葉になおさらぽろぽろと涙が零れ落ちる。セラフィンの熱い胸が濡れるほどの顔を擦りつけもっともっと強く抱き着く。
「番になって、ずっと先生の傍にいたい……。だって番になれたら、ずっと先生のお傍にいられるでしょう? 誰にだって、引き離されないでしょう?」
「そうだな」
「で、でもっ、僕すぐにお母さんになんてきっとなれない。僕、お母さんのこと何にも知らないし……。ううっ。父さんにも先生のことちゃんとお話できてないよ。か、勝手に番になったら……。これからどうなっていくのかわからなくて怖い。兄さんたちと相談したいけど、どこにいるのかもわからないよ。グスッ 僕が先生の傍に本当にいてもいいのか分からない。これからドリの里がどうなっちゃうのかもわからなくて……、カイ兄さん……、あの時みんな怪我してた……、きっとすごく怒られたはずだよ。兄さん、家族と離れて軍でずっと、一人で頑張ってきたのに……。ぼ、僕がカイ兄さんと番にならなかったから、みんなが困るんだ。でも、でも僕っ……。どうしても先生と……。ゴホッ」
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「う、嘘なの。勉強沢山したいから中央にきたなんて嘘だよ。先生のお傍にいられるお仕事につければいいって思っただけ。ただ先生の傍にいたかっただけなんだ……。僕は噓つき……。自分勝手で、みんな僕のせいで……。先生も怪我した。ごめんなさい」
(やっと、本心を話した……)
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