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⑥本篇あり バイト先の気になるイケメンに助けてもらう話
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昨晩風雨が強かった。バイト先の窓掃除を頼まれた頑張り屋の受君。Ωだが女性ばかりの職場で彼が一番長身だ。頼りにされるのは嬉しい。窓ふき掃除を買って出た。ぺっちょりとくっついた葉っぱにあと少しで手が届く。背伸びをしたら脚立に載った足元がぐらっと揺れる
「ひゃあ」
受君、運動神経がそこそこいい。くるりと受け身を取り、地面に着地しようと試みた。まさか箒を投げ捨て、誰かが突っ込んでくるとは読めなかった
空中でその相手と目があう。
見知った顔に驚いた。彼は向かいのカフェのイケメン店員さんだった。焦った顔で受けに向かって必死に腕を伸ばしてくる
「「危ない!」」
行きかう人も、店から見守る仲間も思わず目を覆いかける。だが次の瞬間、動体視力も体幹もずば抜けている攻君が、ペアダンスのリフトが如く、落ちてくる受君を抱きかかえた。脇から胸へと腕を回して半回転。受の長い脚が優雅にくるんっと宙を舞う。周囲から歓声と拍手が自然と沸いた
派手な音を立てて倒れた脚立の音にも驚いて、受君すぐには声が出なかった。気がついたら見た目よりずっと逞しい、攻の身体の上に寝そべるように抱きしめられていた。
受が頬を寄せた胸板は逞しく温かい。なんだか心惹かれる香りもする。今更ながら驚きと興奮が襲ってきて、心臓がドキドキと喧しい。
目を潤ませ呆然としていたら、彼が背中を起こし、はーっと安堵の息をつく。
「怪我はない?」
そっと覗き込まれた目が優しい。
穏やかな声に罪悪感が沸き起こった。かなりの衝撃があったが、受君は痛くもかゆくもない。その代わり彼がかなり痛い思いをしたはずなのに、真っ先に自分を気遣ってくれた
「俺のせいで……。ごめんなさい」
双方の店の中から仲間たちがわらわらと出てきた。二人それぞれに声をかけてくるが、二人はしばし互いの目を見つめ合ったまま動けないでいる。
(ごめん、なのに。ずっとこうしていたい)
受君は自然とそう願ってしまった。まるでずっと求めていた相手今やっと
出会えたようなそんな不思議な感覚にとらわれる。
これまで彼とは挨拶程度の会話は何度もしたことがあるし、向かいの店から目があえば、人懐っこく爽やかに手を振ってくれた。
だけど自分の身を省みずに助けてくれるほど、受のことをを気にかけてくれているとは思いもよらなかった。
「ありがとう」
「君が無事でよかった」
駄目押しの様に乱れた前髪を直されて、彼の丁寧な手つきにうっとりとしてしまった。
「ほら、戻るよ」
仲間に促されてしぶしぶ立ち上がったが、攻君は腰に回した腕を離さない。それどころか受君の視界が、急にぎゅんっと上がり、足元が宙にふわっと浮いた。
「姫抱っこっ!」
攻めはいつも通り涼し気な目元で受君を抱き上げて歩く。
「頭を打っているといけない。休んで様子を見た方がいい」
「歩けますから。大丈夫です。貴方が守ってくれたから、俺、怪我してないです」
「君はいつでも頑張りすぎだと思う。それに打ち身は甘く見ない方がいい」
囁き合っている姿はまるで
二人だけの世界だったと、そういう風に周りからは見えていたらしい。
のちに二人がいい雰囲気になっていく予感が、このときすでに周囲の目には明らかだった。
「だってさあ、彼に抱き上げられた時、受君の身体の預け方が姫抱っこのプロって感じだった。推せる二人と思った」なんて謎に褒められた
彼の腕の中は殊の外心地よくて、胸のドキドキは収まる気配がない。受君が赤面した顔を両手で隠すと、攻君は小さく「可愛いな」と呟いて休憩室まで彼を意気揚々と運んでいった。 終💛
本編はラブコメオメガバース作品。「くんか、くんか Sweet」です。
「ひゃあ」
受君、運動神経がそこそこいい。くるりと受け身を取り、地面に着地しようと試みた。まさか箒を投げ捨て、誰かが突っ込んでくるとは読めなかった
空中でその相手と目があう。
見知った顔に驚いた。彼は向かいのカフェのイケメン店員さんだった。焦った顔で受けに向かって必死に腕を伸ばしてくる
「「危ない!」」
行きかう人も、店から見守る仲間も思わず目を覆いかける。だが次の瞬間、動体視力も体幹もずば抜けている攻君が、ペアダンスのリフトが如く、落ちてくる受君を抱きかかえた。脇から胸へと腕を回して半回転。受の長い脚が優雅にくるんっと宙を舞う。周囲から歓声と拍手が自然と沸いた
派手な音を立てて倒れた脚立の音にも驚いて、受君すぐには声が出なかった。気がついたら見た目よりずっと逞しい、攻の身体の上に寝そべるように抱きしめられていた。
受が頬を寄せた胸板は逞しく温かい。なんだか心惹かれる香りもする。今更ながら驚きと興奮が襲ってきて、心臓がドキドキと喧しい。
目を潤ませ呆然としていたら、彼が背中を起こし、はーっと安堵の息をつく。
「怪我はない?」
そっと覗き込まれた目が優しい。
穏やかな声に罪悪感が沸き起こった。かなりの衝撃があったが、受君は痛くもかゆくもない。その代わり彼がかなり痛い思いをしたはずなのに、真っ先に自分を気遣ってくれた
「俺のせいで……。ごめんなさい」
双方の店の中から仲間たちがわらわらと出てきた。二人それぞれに声をかけてくるが、二人はしばし互いの目を見つめ合ったまま動けないでいる。
(ごめん、なのに。ずっとこうしていたい)
受君は自然とそう願ってしまった。まるでずっと求めていた相手今やっと
出会えたようなそんな不思議な感覚にとらわれる。
これまで彼とは挨拶程度の会話は何度もしたことがあるし、向かいの店から目があえば、人懐っこく爽やかに手を振ってくれた。
だけど自分の身を省みずに助けてくれるほど、受のことをを気にかけてくれているとは思いもよらなかった。
「ありがとう」
「君が無事でよかった」
駄目押しの様に乱れた前髪を直されて、彼の丁寧な手つきにうっとりとしてしまった。
「ほら、戻るよ」
仲間に促されてしぶしぶ立ち上がったが、攻君は腰に回した腕を離さない。それどころか受君の視界が、急にぎゅんっと上がり、足元が宙にふわっと浮いた。
「姫抱っこっ!」
攻めはいつも通り涼し気な目元で受君を抱き上げて歩く。
「頭を打っているといけない。休んで様子を見た方がいい」
「歩けますから。大丈夫です。貴方が守ってくれたから、俺、怪我してないです」
「君はいつでも頑張りすぎだと思う。それに打ち身は甘く見ない方がいい」
囁き合っている姿はまるで
二人だけの世界だったと、そういう風に周りからは見えていたらしい。
のちに二人がいい雰囲気になっていく予感が、このときすでに周囲の目には明らかだった。
「だってさあ、彼に抱き上げられた時、受君の身体の預け方が姫抱っこのプロって感じだった。推せる二人と思った」なんて謎に褒められた
彼の腕の中は殊の外心地よくて、胸のドキドキは収まる気配がない。受君が赤面した顔を両手で隠すと、攻君は小さく「可愛いな」と呟いて休憩室まで彼を意気揚々と運んでいった。 終💛
本編はラブコメオメガバース作品。「くんか、くんか Sweet」です。
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