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《18》CEOアタック作戦
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「機材の手配出来ました。使い慣れてる奴で」
赴任初日に泊まらせてしまった応接室で待っていた牟礼部長に、神妙に報告した。
「尾崎さん……」牟礼部長は驚いて、呆れてしまっている。
「明日僕も、連帯責任で頭丸めたってことにします? コムの宣伝部の人に会うの初めてですし」元々坊主頭の新川さんが言った。
機材屋の向かいの「高速丸刈り500円」の床屋で坊主頭にしてしまった。一昨日の休みに自分で染めたばっかだから、金髪坊主になった。月末には名古屋の百貨店でアンキーやんなきゃなんないから、髪を切るだけでもNGだったんだけど。怒られちゃうかな、日本玩具の、宣伝部の人は大丈夫だろうけど、名古屋支店と、それから百貨店の人にも。でも、頭を丸めずにはいられなかったんだ。明日のCEOアタック作戦に全身全霊で臨むには、頭を丸めておくしかなかったんだ。名古屋に行く前に、金髪の安いヅラでも買っとけばいいよね、東急ハンズで。
「それで明日のことですけど」牟礼部長が説明を始めた。「CEOは毎朝、ホテルの周りをジョギングしてはるそうやから、その途中で直訴して、時間もらうようにしますから」
帰国子女の口から「直訴」って言葉が出るとは思わなかった。でもそうだよな。よし! 明日は全身全霊で、直訴するぞ!
俺と新川さんは、CEOが泊まってるホテルが見える児童公園で、朝陽が昇り始めるのを待って、準備を始めた。近隣住民は、明るければ何をしてるのか聞いてくれるけど、夜明け前だと、先ず警察に通報してしまうからだ。
平らな場所を選んで、気泡緩衝シート(プチプチ)を敷いて、ブルーシートを重ねて、さらに、い草カーペットを重ねた。その上に民芸調の長方形のこたつをセットした。前のベンチに、牟礼さんの部屋から運んできたプラズマテレビを置いた。こたつとテレビ、それからDVDプレーヤーを、同じ発電機につなぐ。テレビを置くのは初めてだけど、公園にこたつのある茶の間セットを組む仕事は何度も経験してる。企業の夜桜見物を請け負ってたんだ。末期のLASTはイベント屋っていうより、便利屋みたいな会社に成り下がってた。
CEOより先に警察官が来たりしたら面倒だなと思いながら待ってると、黒い巨大なソフトクリーム! 山田マネージャーは、早朝から頭も顔もちゃんと造り込んでいた。彼女の前をファッションショーの時のドイツ人モデル2人とCEOらしき人、それからジョギングウエアの牟礼さんが走ってる。
ニット帽を被ったCEOは日本人受けしそうな優しい顔立ちのドイツ人で、50歳って聞いてたけど、ずっと若く見える。
山田摩耶さんと2人のモデルにも、どてらを着て頂いて、こたつに入って頂いた。新川さんが、熱い紅茶と最中をお出しした。
最初に『セレブモーニング』のCOM関連の部分をプラズマテレビで見て頂いて、牟礼部長が、この番組が関東地方のローカル番組であることと、当日の番組平均視聴率が、2.5%だったことをドイツ語で御報告させて頂いたと、隣の新川さんが俺に教えてくれた。大学の第2外国語でドイツ語を履修したから、正しく話せはしないけど、何を言ってるかは大体分かるんだと。こんな奴ばっかなのかな、新卒で大手広告代理店に入社する奴って。でも、何でも分かる新川さんも、若作りドイツ人の表情は読めないって言ってる。
続けて、「火災現場」から生中継してるニュース番組を見て頂くんだけど、よりによって、それは全国ネットのニュースだった。しかも、当日の関東地方の番組平均視聴率が、18.1%もあって、1分51秒も露出してしまっていたんだ。最悪。
「えー、今入ったニュースです。横浜市のファッションショーの会場で、火災が発生している模様です。別の取材で近くに居合わせた取材班と、中継がつながっています」と、ニュースキャスターが、横から渡された原稿を読み上げた。
煙が収まったCOM横浜店の前に消防車が止まっていて、取材班のディレクターらしい男がマイクを向けているのは、パーティードレスの牟礼歌音ちゃんだった。山田マネージャーに出入禁止宣告を受けた直後だろうから、ちょっと涙目でやや頬が紅潮してんだけど、それが、艶々で若々しい女の子に見せている。
「センスのいい女優さんが、よくコムのお洋服着てはるやないですか。ハリウッドの女優さんとか。東京のお店で売れてしもたお洋服でも、ここのお店にあったりするんですよ。それに……」
デイレクターの質問の音声はよく聞き取れなかったが、歌音ちゃんは、モデル立ちして、カメラ目線で滑舌よくゆっくりと語っている。マイクを離さない両手に、COMのイミテーションのジュエリーが煌いている。
スタジオに切り替わって、ニュースキャスターは、火災ではなくドライアイスの煙だったと2回訂正して、内閣支持率がどうのこうのというニュースを伝え始めた。
続けて、俺が昨日撮影した大々混雑しちゃってるCOM横浜店の様子を見て頂いた。牟礼さんも新川さんも大量に買い込んで、レジ前の行列に並んでいる。婦人服のブランドなんだけど、プレゼント用ってことで、ネクタイとタオルハンカチとニット帽とマフラーも置いてある。小柄な新川さんは、可愛い系の男の子が着たら似合いそうなトレーナーとかシャツも買っていた。新川さんが買った品物を見せてもらってから、俺も買っときゃよかったなと後悔したんだけど。安いんだよね、実はかなり。例えば、クリスマスツリー柄のネクタイが3150円、シルクじゃなくてポリエステルで中国製だったりすんだけど、これ締めて、スーツにスーパーエージェンシーの社員章なんかをピカッと光らせてクリスマスに出社したりしたら、それこそ、ハリウッド映画だよなあ。契約社員の俺には、社員章も、ボーナスも支給されねえんだけどね。
「いくら使った?」こたつで最中を食べながらCEOがドイツ語で聞いてきた。
「モデルの御二人の出演料の他に、2万円、151ユーロです」ジョギングウエアが寒々しい牟礼部長が答えた。
「151ユーロ? 女優……、君のギャラも入れて?」
「ヤー」山田マネージャーを気にしながら牟礼部長は答えた。イエスって意味だろう。新川さんに同時通訳してもらわなくても、伝わった。
「ヤッスイ。サッスガ、マヤサン」と日本語で言ったCEOは、山田摩耶マネージャーを握手で称えた。どてらを羽織ったら、場末のシャッター商店街のスナックの大ママみたいになってしまってた山田マネージャーは、ドイツ語で、
「また頑張りましょう」と、ジョギングウエアのままで立ちっ放しの女部長に声を掛けて、「次は慎重にやろな」と大阪弁で付け足して、巨大な黒いソフトクリームを前方に傾けた。
やった! 嬉し泣きしそうな顔で御辞儀を返した牟礼歌音部長、新川さんもとってもいい顔してる。
こたつで暑くなったのか、CEOが、ニット帽を脱いだ。綺麗なブロンドの、ボーズカット? だったんだよ。で、髪の色も髪型も全く同じ日本人の俺に微笑んでくれた。恐縮です。
プラズマテレビは、まだ昨日の大々混雑大盛況の模様を映していた。
「コム、ガ、コム」CEOが言った。
一瞬唖然とした牟礼歌音部長は、腹を抱えて、腹が痛そうに、バカ笑いを始めて、
「コムが、混む」と大阪弁で言って、「面白すぎるう!」とドイツ語で叫んだ。
新入社員の新川さんも、同じようにバカ笑いを始めた。どっちがより面白がってるか、CEOのダジャレにバカ受けしたかを競い合っているようでもある。大ママは声を出しての作り笑いって感じで、モデル2人はキョトンとしてるけど、CEOはかなり悦に入っている。
俺も一生懸命、必死に笑ってんだけど、多分、牟礼さんと新川さんみたいに見事な哄笑にはなっていないだろう。こんなことが、前にもあった。日本玩具の宣伝部長が腹が立つくらい仕様もないダジャレを言ったんだけど、いきなり爆笑状態だったんだよね。牟礼さんと新川さんだけじゃなくて、俺以外の他の4人の部員も、営業局長まで、一斉に自然なバカ笑いを始めたんだ。このことは新川さんにもまだ聞いてないけど、正統派の劇団の人なんかを講師に招いて新入社員研修で徹底的に「笑う演技」を習得させてるか、採用過程のどっかで「はい、バカ笑いして下さい。スタート」っていう実技試験を実施してんだと思う。マスコミ就職塾なんかでも、教えてんだろうな、絶対。
赴任初日に泊まらせてしまった応接室で待っていた牟礼部長に、神妙に報告した。
「尾崎さん……」牟礼部長は驚いて、呆れてしまっている。
「明日僕も、連帯責任で頭丸めたってことにします? コムの宣伝部の人に会うの初めてですし」元々坊主頭の新川さんが言った。
機材屋の向かいの「高速丸刈り500円」の床屋で坊主頭にしてしまった。一昨日の休みに自分で染めたばっかだから、金髪坊主になった。月末には名古屋の百貨店でアンキーやんなきゃなんないから、髪を切るだけでもNGだったんだけど。怒られちゃうかな、日本玩具の、宣伝部の人は大丈夫だろうけど、名古屋支店と、それから百貨店の人にも。でも、頭を丸めずにはいられなかったんだ。明日のCEOアタック作戦に全身全霊で臨むには、頭を丸めておくしかなかったんだ。名古屋に行く前に、金髪の安いヅラでも買っとけばいいよね、東急ハンズで。
「それで明日のことですけど」牟礼部長が説明を始めた。「CEOは毎朝、ホテルの周りをジョギングしてはるそうやから、その途中で直訴して、時間もらうようにしますから」
帰国子女の口から「直訴」って言葉が出るとは思わなかった。でもそうだよな。よし! 明日は全身全霊で、直訴するぞ!
俺と新川さんは、CEOが泊まってるホテルが見える児童公園で、朝陽が昇り始めるのを待って、準備を始めた。近隣住民は、明るければ何をしてるのか聞いてくれるけど、夜明け前だと、先ず警察に通報してしまうからだ。
平らな場所を選んで、気泡緩衝シート(プチプチ)を敷いて、ブルーシートを重ねて、さらに、い草カーペットを重ねた。その上に民芸調の長方形のこたつをセットした。前のベンチに、牟礼さんの部屋から運んできたプラズマテレビを置いた。こたつとテレビ、それからDVDプレーヤーを、同じ発電機につなぐ。テレビを置くのは初めてだけど、公園にこたつのある茶の間セットを組む仕事は何度も経験してる。企業の夜桜見物を請け負ってたんだ。末期のLASTはイベント屋っていうより、便利屋みたいな会社に成り下がってた。
CEOより先に警察官が来たりしたら面倒だなと思いながら待ってると、黒い巨大なソフトクリーム! 山田マネージャーは、早朝から頭も顔もちゃんと造り込んでいた。彼女の前をファッションショーの時のドイツ人モデル2人とCEOらしき人、それからジョギングウエアの牟礼さんが走ってる。
ニット帽を被ったCEOは日本人受けしそうな優しい顔立ちのドイツ人で、50歳って聞いてたけど、ずっと若く見える。
山田摩耶さんと2人のモデルにも、どてらを着て頂いて、こたつに入って頂いた。新川さんが、熱い紅茶と最中をお出しした。
最初に『セレブモーニング』のCOM関連の部分をプラズマテレビで見て頂いて、牟礼部長が、この番組が関東地方のローカル番組であることと、当日の番組平均視聴率が、2.5%だったことをドイツ語で御報告させて頂いたと、隣の新川さんが俺に教えてくれた。大学の第2外国語でドイツ語を履修したから、正しく話せはしないけど、何を言ってるかは大体分かるんだと。こんな奴ばっかなのかな、新卒で大手広告代理店に入社する奴って。でも、何でも分かる新川さんも、若作りドイツ人の表情は読めないって言ってる。
続けて、「火災現場」から生中継してるニュース番組を見て頂くんだけど、よりによって、それは全国ネットのニュースだった。しかも、当日の関東地方の番組平均視聴率が、18.1%もあって、1分51秒も露出してしまっていたんだ。最悪。
「えー、今入ったニュースです。横浜市のファッションショーの会場で、火災が発生している模様です。別の取材で近くに居合わせた取材班と、中継がつながっています」と、ニュースキャスターが、横から渡された原稿を読み上げた。
煙が収まったCOM横浜店の前に消防車が止まっていて、取材班のディレクターらしい男がマイクを向けているのは、パーティードレスの牟礼歌音ちゃんだった。山田マネージャーに出入禁止宣告を受けた直後だろうから、ちょっと涙目でやや頬が紅潮してんだけど、それが、艶々で若々しい女の子に見せている。
「センスのいい女優さんが、よくコムのお洋服着てはるやないですか。ハリウッドの女優さんとか。東京のお店で売れてしもたお洋服でも、ここのお店にあったりするんですよ。それに……」
デイレクターの質問の音声はよく聞き取れなかったが、歌音ちゃんは、モデル立ちして、カメラ目線で滑舌よくゆっくりと語っている。マイクを離さない両手に、COMのイミテーションのジュエリーが煌いている。
スタジオに切り替わって、ニュースキャスターは、火災ではなくドライアイスの煙だったと2回訂正して、内閣支持率がどうのこうのというニュースを伝え始めた。
続けて、俺が昨日撮影した大々混雑しちゃってるCOM横浜店の様子を見て頂いた。牟礼さんも新川さんも大量に買い込んで、レジ前の行列に並んでいる。婦人服のブランドなんだけど、プレゼント用ってことで、ネクタイとタオルハンカチとニット帽とマフラーも置いてある。小柄な新川さんは、可愛い系の男の子が着たら似合いそうなトレーナーとかシャツも買っていた。新川さんが買った品物を見せてもらってから、俺も買っときゃよかったなと後悔したんだけど。安いんだよね、実はかなり。例えば、クリスマスツリー柄のネクタイが3150円、シルクじゃなくてポリエステルで中国製だったりすんだけど、これ締めて、スーツにスーパーエージェンシーの社員章なんかをピカッと光らせてクリスマスに出社したりしたら、それこそ、ハリウッド映画だよなあ。契約社員の俺には、社員章も、ボーナスも支給されねえんだけどね。
「いくら使った?」こたつで最中を食べながらCEOがドイツ語で聞いてきた。
「モデルの御二人の出演料の他に、2万円、151ユーロです」ジョギングウエアが寒々しい牟礼部長が答えた。
「151ユーロ? 女優……、君のギャラも入れて?」
「ヤー」山田マネージャーを気にしながら牟礼部長は答えた。イエスって意味だろう。新川さんに同時通訳してもらわなくても、伝わった。
「ヤッスイ。サッスガ、マヤサン」と日本語で言ったCEOは、山田摩耶マネージャーを握手で称えた。どてらを羽織ったら、場末のシャッター商店街のスナックの大ママみたいになってしまってた山田マネージャーは、ドイツ語で、
「また頑張りましょう」と、ジョギングウエアのままで立ちっ放しの女部長に声を掛けて、「次は慎重にやろな」と大阪弁で付け足して、巨大な黒いソフトクリームを前方に傾けた。
やった! 嬉し泣きしそうな顔で御辞儀を返した牟礼歌音部長、新川さんもとってもいい顔してる。
こたつで暑くなったのか、CEOが、ニット帽を脱いだ。綺麗なブロンドの、ボーズカット? だったんだよ。で、髪の色も髪型も全く同じ日本人の俺に微笑んでくれた。恐縮です。
プラズマテレビは、まだ昨日の大々混雑大盛況の模様を映していた。
「コム、ガ、コム」CEOが言った。
一瞬唖然とした牟礼歌音部長は、腹を抱えて、腹が痛そうに、バカ笑いを始めて、
「コムが、混む」と大阪弁で言って、「面白すぎるう!」とドイツ語で叫んだ。
新入社員の新川さんも、同じようにバカ笑いを始めた。どっちがより面白がってるか、CEOのダジャレにバカ受けしたかを競い合っているようでもある。大ママは声を出しての作り笑いって感じで、モデル2人はキョトンとしてるけど、CEOはかなり悦に入っている。
俺も一生懸命、必死に笑ってんだけど、多分、牟礼さんと新川さんみたいに見事な哄笑にはなっていないだろう。こんなことが、前にもあった。日本玩具の宣伝部長が腹が立つくらい仕様もないダジャレを言ったんだけど、いきなり爆笑状態だったんだよね。牟礼さんと新川さんだけじゃなくて、俺以外の他の4人の部員も、営業局長まで、一斉に自然なバカ笑いを始めたんだ。このことは新川さんにもまだ聞いてないけど、正統派の劇団の人なんかを講師に招いて新入社員研修で徹底的に「笑う演技」を習得させてるか、採用過程のどっかで「はい、バカ笑いして下さい。スタート」っていう実技試験を実施してんだと思う。マスコミ就職塾なんかでも、教えてんだろうな、絶対。
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