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《あとがき》
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当の本人が詳しく知らなかったんだけど、今は、色盲・色弱と言わずに、「色覚異常」とか、「色覚特性」とか、「少数色覚」とか、言うらしい。
それでさ、今は、学校の健康診断で、色覚検査、あのモザイク模様の数字や平仮名を読ませる検査をやらないんだってね、一回も。でさ、俺ん時は、入学資格で色覚不問だった、あの今となっては誰も知らないイベントの専門学校を選んだんだけど、今は、少数色覚(色覚特性・色覚異常)であっても、どこの美大のどの学科にだって入学できるらしいんだよねえ。勿論、ある程度の学力と絵の才能は問われるだろうけど。そういや、俺ん時、俺にはあんまし関係なかったんだけど、どんなに成績優秀であっても、色覚が「正常」でなけりゃ、どこの医学部も受験できない、つまり、医者にはなれなかったんだよね。当時は今以上に偏見があったんだろうけど、眼科専門の大学教授どもは何をしてたんだろうか。なんか、腐敗臭プンプンのどす黒い心根を感じるよね。
で、今は、入社時の健康診断で色覚検査を実施する企業は限られてるらしい。俺の場合、LASTでアルバイトから正社員になった時も、スーパーエージェンシーに契約社員として採用された時も、健康診断自体がなかったんだけど。スーパーエージェンシーに正社員として採用される場合は、どうなんだろうか。そうそう、スーパーエージェンシーはさ、大きなプレテ(プレゼンテーション)の時に使うレーザーポインターの光が、赤じゃなくて、緑なんだよね。これだと、格段に見易いんだ、少数色覚の宣伝部長とかにも。そんな配慮も怠りないスーパーエージェンシーなんだけど、財務局の人とかクリエイティブ局のコピーライターには、色覚(モザイク模様の数字や平仮名が読めるか読めないか)は関係ないよね。CMプランナーとかウェブデザイナーも問題ないと思う。印刷物みたいに色味(微細な色合い)に神経質になることはないみたいだから。家電量販店とかに行けばさ、テレビもパソコンも、機種によって、かなり画面の色味が違ってんじゃん。CMとかホームページの色味に神経質になっても、あんまし意味がないんじゃないかな。じゃあ、雑誌広告や駅貼りポスターなんかをデザインするアートディレクターはどうなんだろうか。どうなのかなあ。俺は、社内では、日本玩具担当のアートディレクターの人としか、仕事したことはないんだけど、どうなのかなあ。少数色覚の子供に対する配慮は常にしてるけどね。例えば、クリスマスシーズンの雑誌広告、緑の背景に赤い文字を重ねる場合には、赤い文字に白い縁取りをクッキリと入れたりとか。正直、俺には分かんないや。色覚の話なんかしないからさ、仕事中も、プレテの祝勝会の時も、キャンペーンやイベントの打ち上げ、その2次会なんかでも。
今、千駄ヶ谷のコム・ジャパンに向かってるこのタクシーに乗ってる、部長の歌音ちゃんも副部長代理の中原ちゃんも副部長代理補佐になる新川ちゃんも、多数色覚?の方みたいだけど。そうそう、俺も、「イベント担当」だった肩書を変えてもらったんだ。名刺を増し刷りした時にね。別に、肩書なんかに固執する俺じゃないんだけどさ。
最後の最後まで、俺の話を聴いてくれて、ありがとう。ありがとうございました。
尾崎博昭(イベントプロデューサー)
それでさ、今は、学校の健康診断で、色覚検査、あのモザイク模様の数字や平仮名を読ませる検査をやらないんだってね、一回も。でさ、俺ん時は、入学資格で色覚不問だった、あの今となっては誰も知らないイベントの専門学校を選んだんだけど、今は、少数色覚(色覚特性・色覚異常)であっても、どこの美大のどの学科にだって入学できるらしいんだよねえ。勿論、ある程度の学力と絵の才能は問われるだろうけど。そういや、俺ん時、俺にはあんまし関係なかったんだけど、どんなに成績優秀であっても、色覚が「正常」でなけりゃ、どこの医学部も受験できない、つまり、医者にはなれなかったんだよね。当時は今以上に偏見があったんだろうけど、眼科専門の大学教授どもは何をしてたんだろうか。なんか、腐敗臭プンプンのどす黒い心根を感じるよね。
で、今は、入社時の健康診断で色覚検査を実施する企業は限られてるらしい。俺の場合、LASTでアルバイトから正社員になった時も、スーパーエージェンシーに契約社員として採用された時も、健康診断自体がなかったんだけど。スーパーエージェンシーに正社員として採用される場合は、どうなんだろうか。そうそう、スーパーエージェンシーはさ、大きなプレテ(プレゼンテーション)の時に使うレーザーポインターの光が、赤じゃなくて、緑なんだよね。これだと、格段に見易いんだ、少数色覚の宣伝部長とかにも。そんな配慮も怠りないスーパーエージェンシーなんだけど、財務局の人とかクリエイティブ局のコピーライターには、色覚(モザイク模様の数字や平仮名が読めるか読めないか)は関係ないよね。CMプランナーとかウェブデザイナーも問題ないと思う。印刷物みたいに色味(微細な色合い)に神経質になることはないみたいだから。家電量販店とかに行けばさ、テレビもパソコンも、機種によって、かなり画面の色味が違ってんじゃん。CMとかホームページの色味に神経質になっても、あんまし意味がないんじゃないかな。じゃあ、雑誌広告や駅貼りポスターなんかをデザインするアートディレクターはどうなんだろうか。どうなのかなあ。俺は、社内では、日本玩具担当のアートディレクターの人としか、仕事したことはないんだけど、どうなのかなあ。少数色覚の子供に対する配慮は常にしてるけどね。例えば、クリスマスシーズンの雑誌広告、緑の背景に赤い文字を重ねる場合には、赤い文字に白い縁取りをクッキリと入れたりとか。正直、俺には分かんないや。色覚の話なんかしないからさ、仕事中も、プレテの祝勝会の時も、キャンペーンやイベントの打ち上げ、その2次会なんかでも。
今、千駄ヶ谷のコム・ジャパンに向かってるこのタクシーに乗ってる、部長の歌音ちゃんも副部長代理の中原ちゃんも副部長代理補佐になる新川ちゃんも、多数色覚?の方みたいだけど。そうそう、俺も、「イベント担当」だった肩書を変えてもらったんだ。名刺を増し刷りした時にね。別に、肩書なんかに固執する俺じゃないんだけどさ。
最後の最後まで、俺の話を聴いてくれて、ありがとう。ありがとうございました。
尾崎博昭(イベントプロデューサー)
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