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学年が変わって新学期、教室に先生の姿はなかった。
話によると、臨時の教員だったため普通の教員がやってきたら辞めることになっていた。ようはただの数合わせだ。
寂しくはあったが、仕方のないことだと思って先生のいない事実を受け入れた。
新しいクラスは去年より静かで、先生の授業も真面目でつまらない。これが普通のことなのだと、ようやく思い出した。
「大城いなくなったらくそしょーもねー」
今年は美咲も一緒のクラスになることができた。そして、美咲の言葉に首がもげるほど頷いた。
「つまんないよね。授業」
いなくなった今、先生がいたありがたみにようやく気づくことができた。
エマといくら話したとしても、翔太にどれだけ喋りかけられても、美咲とご飯を食べても紗凪にどれだけ愛されても、先生のいなくなったという悲しみは埋められるものではなかった。
大城先生に会いたいな。
そう思いながらも私は勉強に集中し始めた。
受験期はあっという間で、いつのまにか文化祭の季節になっていた。
去年のこの頃、大城先生に出会ったんだったな。
「おーい、杏奈。何ぼーっとしてんのさ?文化祭だぞ?文化祭!」
気づくと美咲は私の顔を覗いていた。三年の文化祭は最後だから贅沢に予算をもらっている。三年になると文化祭は本気になる。
今は何をするか決めていたそうだ。
黒板には、メイド喫茶、お化け屋敷、屋台などいろんなものが書かれてあり、多数決で決めるらしい。
「杏奈、一緒にお化け屋敷に手あげようぜ」
話を聞いていなかった私は、なんでも良いやと思いお化け屋敷に一票を入れた。
なんとそれが、メイド喫茶とお化け屋敷の頂上決戦だったらしく、35人クラスのうちは真っ二つに意見が割れ、私の一票によりお化け屋敷になった。
ちなみに、男子が全員メイド喫茶、女子が全員お化け屋敷に票を入れていたそうだ。
「っしゃ!ナイス杏奈!」
準備が始まり、また一段とクラスが活気付いてきた。
そんな中私一人上辺の空だった。
いよいよ、文化祭当日。
一般の人の参加もあるので、もしかしたら大城先生が来るかもなんて甘い期待をしていた。
だが、そんなこともなく文化祭も一瞬で終わっていった。
体育祭も終わり、ハロウィンの季節になった。
文化祭の盛り上がりと反対にみんなは受験勉強に追われていた。
「最悪だ、勉強早く始めたらよかった」
美咲は珍しく、休み時間に問題集を開き頭を抱えていた。
「杏奈ー。助けてー」
私はチンチラのように何も考えずぼーっとしていた。
「杏奈?」
美咲は私の顔を覗きそう言った。
あ、ごめんと言うとしっかりしてよ、と返ってきた。
ずっとぼうっとする毎日。
私は一応優等生のため勉強をしなくても推薦で学校に行けた。
みんなが受験で焦っている中、私はただ何も考えられなかった。
受験が終わり、卒業式。みんなが帰った後一人、懐かしい教室で私は先生にもらった小説をパラパラとめくっていた。
予想以上に面白くて、気づけば五時を回っていて私のめくるページは残り一枚になっていた。
最後のページをめくり私はそこに書かれたメッセージにようやく気づいた。
綺麗な達筆の文字でこう書かれていた。
話によると、臨時の教員だったため普通の教員がやってきたら辞めることになっていた。ようはただの数合わせだ。
寂しくはあったが、仕方のないことだと思って先生のいない事実を受け入れた。
新しいクラスは去年より静かで、先生の授業も真面目でつまらない。これが普通のことなのだと、ようやく思い出した。
「大城いなくなったらくそしょーもねー」
今年は美咲も一緒のクラスになることができた。そして、美咲の言葉に首がもげるほど頷いた。
「つまんないよね。授業」
いなくなった今、先生がいたありがたみにようやく気づくことができた。
エマといくら話したとしても、翔太にどれだけ喋りかけられても、美咲とご飯を食べても紗凪にどれだけ愛されても、先生のいなくなったという悲しみは埋められるものではなかった。
大城先生に会いたいな。
そう思いながらも私は勉強に集中し始めた。
受験期はあっという間で、いつのまにか文化祭の季節になっていた。
去年のこの頃、大城先生に出会ったんだったな。
「おーい、杏奈。何ぼーっとしてんのさ?文化祭だぞ?文化祭!」
気づくと美咲は私の顔を覗いていた。三年の文化祭は最後だから贅沢に予算をもらっている。三年になると文化祭は本気になる。
今は何をするか決めていたそうだ。
黒板には、メイド喫茶、お化け屋敷、屋台などいろんなものが書かれてあり、多数決で決めるらしい。
「杏奈、一緒にお化け屋敷に手あげようぜ」
話を聞いていなかった私は、なんでも良いやと思いお化け屋敷に一票を入れた。
なんとそれが、メイド喫茶とお化け屋敷の頂上決戦だったらしく、35人クラスのうちは真っ二つに意見が割れ、私の一票によりお化け屋敷になった。
ちなみに、男子が全員メイド喫茶、女子が全員お化け屋敷に票を入れていたそうだ。
「っしゃ!ナイス杏奈!」
準備が始まり、また一段とクラスが活気付いてきた。
そんな中私一人上辺の空だった。
いよいよ、文化祭当日。
一般の人の参加もあるので、もしかしたら大城先生が来るかもなんて甘い期待をしていた。
だが、そんなこともなく文化祭も一瞬で終わっていった。
体育祭も終わり、ハロウィンの季節になった。
文化祭の盛り上がりと反対にみんなは受験勉強に追われていた。
「最悪だ、勉強早く始めたらよかった」
美咲は珍しく、休み時間に問題集を開き頭を抱えていた。
「杏奈ー。助けてー」
私はチンチラのように何も考えずぼーっとしていた。
「杏奈?」
美咲は私の顔を覗きそう言った。
あ、ごめんと言うとしっかりしてよ、と返ってきた。
ずっとぼうっとする毎日。
私は一応優等生のため勉強をしなくても推薦で学校に行けた。
みんなが受験で焦っている中、私はただ何も考えられなかった。
受験が終わり、卒業式。みんなが帰った後一人、懐かしい教室で私は先生にもらった小説をパラパラとめくっていた。
予想以上に面白くて、気づけば五時を回っていて私のめくるページは残り一枚になっていた。
最後のページをめくり私はそこに書かれたメッセージにようやく気づいた。
綺麗な達筆の文字でこう書かれていた。
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