仄暗い灯が迷子の二人を包むまで

霞花怜

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第51話 【R18】約束

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 忍たちと最終的な打ち合わせを行い、警察庁を出た頃には外は既に暗かった。
 律が送るというのを断って、護の運転で岩槻の自宅まで車で帰ってきた。久々に戻った事務所は、大して長くも住んでいないのに、懐かしささえ覚えた。

「やっと帰ってきたって感じですね」

 護の腕が伸びてきて、直桜を抱き寄せた。

「二週間も直桜に触れられないのは、拷問でした」
「ん……、俺も」

 言いかけた言葉を飲み込む。
 代わりに護の匂いを思いっきり吸い込んだ。
 唇を指がなぞって、舌が誘うように舐め挙げる。無意識に口付けを受け入れて、口内が犯される。

「んっ……、ふ……」

 久しぶりの刺激が甘くて、声が否応なしに洩れる。

(やばい、このままだと、流される)

 名残惜しい唇を押しのけて、体を離した。

「とりあえず、シャワー、浴びよ。俺、汗だくだから」
「そうですね。今日は久しぶりに二人でゆっくり過ごしたいですし」

 残念そうにしながらも、護が納得してくれた。
 申し訳ない気持ちを抱きながらも、直桜は護を風呂に押し込んだ。


〇●〇●〇


「訓練、お疲れさまでした」

 互いにシャワーを浴びてすっきりしたところで、乾杯する。
 とはいえ、酒が入ると記憶が飛んでしまう直桜はノンアルコールで我慢する。

「護、なんで眼鏡しているの? 視力、回復したんだよね?」

 護は今現在も鬼の常態化を維持している。完全なる鬼化とは異なり、鬼の力を右手だけに集中する方法なのだという。その副産物として視力が戻り、体躯が少しだけ大きくなっている。

「伊達眼鏡ですよ。その、眼鏡をかけていたほうが、直桜は見慣れているでしょうから」
「眼鏡かけてる方が、俺の好みだからってこと?」
 
 護の顔が赤らんでいるのは、酒のせいではなさそうだ。
 直桜は息を吸い、静かに吐き出した。
 立ち上がって、護の腕を取る。

「護、来て」
「え? でも、飲み始めたばかり……」
「いいから。俺の部屋に来て」

 腕を掴み上げて、無理やり立ち上がらせる。
 部屋に入ると、ベッドに腰掛けた。

「ここに、座って」

 自分の足元を指さす。
 護が戸惑いながらも言われた通りに傅いた。
 足を開き、股間に護の手を持ち挙げ、あてる。

「今すぐ俺の、咥えて」

 護の手が触れただけで硬くなり疼く男根を突き出す。

「直桜、これは……」
「別に神事とかじゃない。ただ護に俺のを咥えさせたいだけだよ」

 半勃ちのソレを護の手が戸惑いながら包む。直に触れられただけで腰が疼いた。
 何度か緩く扱かれて完勃ちしたモノを護の口が咥え込む。

「っ……」

 熱い舌が裏筋を丁寧に舐めあげて、伺うようにカリに沿って動く。先を強く吸われて、腰がビクリと跳ねた。

(護のフェラ、上手すぎて、すぐ出そう。いつもより丁寧だし、やば……)

 自分から誘っておいて、すぐに果てる訳にもいかない。
 逃げようとする腰は護の腕に遮られて、引き寄せられた。

「脈打って、熱いですね。そんなに、してほしかったんですか」
「そ、だけど。そうじゃ、なくて……。ぁっ」

 イキそうになるのを下腹に力を入れて耐える。抵抗を嘲笑うように護の舌の動きが速くなって、男根がびくびくと跳ねる。

(こういう時の護って、マジでドSだ。そんな攻められたら、ムリっ)

 護の後頭部に手を添えて、腰を強く押し出す。
 男根の先が喉奥にあたって、快感が腰に抜ける。

「っ……。ぁっ、ぐっ」

 声を詰まらせる護が涙目になっている。その表情に、ゾクゾクする。
 腰を動かして、何度も喉奥を攻める。その度に護の表情が苦悶に歪む。

(本当はされる方が好きだけど、するのも、気持ちい……)

 喉奥を攻めるたびに護が強く吸うので、余計に気持ちがいい。

「は、ぁ、はぁっ……」

 直桜の方が声を漏らして、同時に上がってくる快感が止められない。

「ま、もる。口の中に、だすから、飲んで、ね」

 腰の動きを速めて、護の口内を犯す。
 頷くと、護が唇を窄めた。そのせいで、余計に早く快楽が昇ってくる。

「は、ぁ、護っ。出すっ」

 腹に溜まった快感が溢れ出る。喉の奥に熱い精液を注ぎ込む。
 ビクンビクンと脈打った男根を静かにずるりと抜き出した。
 口内いっぱいの精液を、護がごくりと飲み込んだ。口元から零れた白濁すらも舌で舐めとり飲み込む。

「全部、飲めましたよ」
「護、エロ過ぎ……」

 涙目で微笑む護の顔を、腕を伸ばして抱き締めた。

(俺の方が全然、覚悟が足りてない。フェラさせただけで、こんなに愛おしくなってる)

 護の腕を掴んで、ベッドに引き上げる。押し倒す体勢になって、護を見下ろした。

「直桜……?」

 困惑した表情の護を見詰める。

「護、いざとなったら迷わず俺を殺して。何があっても、絶対だ。たとえ護が、俺を誰より愛していても」

 護が目を見開いた。
 だがすぐに、納得したように目を細めて、微笑んだ。

「ああ、そういうことでしたか。直桜の方からフェラをせがむなんて、らしくないなと思いました」

 護の手が直桜の頬を撫でる。大事なものを包むように優しく指が滑る。
 次の瞬間、腕を掴まれて体が反転した。
 押し倒していたはずの体が押し倒されて、護の目が直桜を見下ろす。

「見縊らないでください。私は、直日神の惟神の鬼神、瀬田直桜の恋人ですよ」

 唇が塞がれる。
 白濁を飲み込んだばかりの舌が、直桜の口内を隈なく犯す。舌が絡んで唾液が溢れた。

「直桜を殺していいのは、私だけです。他の誰にも直桜を殺させたりしない。約束します」

 いつもより大きな手が、直桜の服を捲り上げる。
 硬く芯を持ち始めた胸の突起の周りを優しく撫で始めた。
 焦らすように周りばかりに触れる指がもどかしい。
 護の足が直桜の股間をぐりっと押し上げた。

「もう勃ってしまいましたか。二週間、我慢しましたからね。沢山、してほしいですか?」

 耳を舐めながら囁かれて、頷く。
 気持ちが良くて、体が小さく震える。

「では今宵は、快楽で殺して差し上げましょうね。私の愛しい神様」

 言葉が直接、脳に響く。
 涙目のまま素直に頷いて、次の刺激を待ちわびた。 
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