仄暗い灯が迷子の二人を包むまで

霞花怜

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第Ⅳ章

第40話 保輔と瑞悠の正月メッセージ

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                                                     miyu
======================================   
    
『おはよう。沢山辛かったね。
 大丈夫? ちゃんと泣けた?』

                          『おはよ。泣いた。
                          目、開かんくらい泣いた』

『そっか。
 帰ったら一緒にお墓参り行こ』

                                  『うん』

『今、直桜様のマンション?』

                                  『うん』

『保輔は、どこにも行かないでね』

                             『いかんよ
                             他に行くとこない』

『みぃのバディでいてね』

                              『当たり前やわ』
                                  『でも』
                     『帰ってきたら、話したいことある』
                               『大事な話や』

『もしかして
 直桜様の眷族の話?』

                             『誰に聞いたん?』

『ちぃと気吹戸』

======================================

 瑞悠と智颯は、年末年始ということで里帰りしている。陽人と律も一緒だ。
 白金台のマンションが誰もいなくなってしまうので、保輔はオンコール担当になっている直桜と護のマンションに戻っていた。
 空けておいてくれた二階の部屋で過ごさせてもらっている。

「……そら、そうか。他におらんわな。智颯君、何で話してまうのや」

 瑞悠の返信にちょっとがっかりした。
 栃木出張の帰りの車の中で、そういえばそんな話をしたから、知っているだろうが。もう少し気を遣ってほしいと思ってしまった。

「案外、お節介焼きな兄さんになりそうやんな、智颯君」

 ぽそりと呟く。
 保輔が返信する前に瑞悠からメッセージが届いた。

======================================

『みぃは賛成だよ。
 みぃのバディ続けてくれるなら
            大賛成』
『秋ちゃんも賛成だって』
『むしろ早くしなさいって言ってる』

                            『秋津はアリなんか』
                         『瑞悠はそれでええんか?』
                          『いくら祓戸の頂点でも』
                     『自分のバディが他の惟神の眷族で』
                             『納得できんの?』

『だって』

                      『いや、こん話は会ってしようや』

『みぃは眷族作れないし』

                      『メッセージでしていい話ちゃう』
                                  『は?』
                                『なんで?』

『四神は基本、
 眷族作れるほど神力ない』
『ちぃが特別なだけ』

                               『そうなん?』

『うん』
『だから保輔が直桜様の
 眷族になるのは、賛成』
『他の人だったら嫌だったかも』
『藤埜室長とか』

                                『なんでや』

『何となく』 

                                『酷ない?』
 
『会った時も話すけど』
『保輔はみぃが守る』

                              『何でそうなる』

『みぃの方が強いから』
『大事な人はみぃが自分で守りたいの』
『だから、ちぃと保輔はみぃが守る』


                         『やっぱり会って話そうや』
                           『俺も瑞悠に伝えたい話
                                 あんねや』

『わかった』

======================================

 スマホを閉じて、保輔は深海より深いため息を吐いた。

「そら、瑞悠の方が強いやろな」

 六黒相手に物怖じせずに大薙刀を振り回していた女子だ。
 今の保輔では瑞悠に「俺がお前を守る」なんて口が裂けても言えない。

「けど流石に、情けなさすぎやろ」

 口から零れた声があまりにも弱々しくて、保輔の心は余計にしぼんだ。
 スマホを握り締めたまま項垂れていた保輔は、がっと顔を上げた。

「新年早々、落ち込んでられるか。蜜に笑われるわ!」

 自分を鼓舞するように声を張って、保輔は三階の直桜たちの元へと向かった。














===============ここから未読=================

『みぃ、今、保輔に会いたい』
『こんな風に思ったの、生まれて初めて』
『会ったら、いっぱい話そう』








こんな顔でメッセ打ってたのかなと思うと可愛い
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