盲目の詐欺師は人を騙さない

DAO

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死が二人を別つまで

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 自殺の名所と言うものは日本に数多く存在すると思う。
 左近寺《さこんじ》 玲音《れおん》は緊張の面持ちで薄暗い廃墟へと足を踏み入れる。

「今日こそ……今日こそ。」

 ブツブツと同じ事を呟きながらホームセンターで購入した麻縄をギュッと握りしめる。幾度となく覚悟を決めてきたが今日こそ決めたのだ。
 数多くの人がこの廃墟で自らの人生に終止符を打ってきた。

 入ってすぐの部屋で最後の晩餐を済ませる。菓子パンと牛乳を頬張りながら今までの自分の人生が走馬燈の様に浮かんできては消える。
 「何て惨めな人生なのだろう」と、心の中で呟いては乾いた笑いを浮かべる。
 かび臭い部屋での最後の晩餐を済ませると早速、死ぬための準備に取り掛かった。

「よし………逝くぞ……。」

 麻縄に首を掛け、深呼吸をする。
 人間とは不思議だ。どれだけ死にたいと思っていても最期に近づくと体がそれを全力で拒否し始める。
 もう一度、深呼吸をして逝くぞっと覚悟を決めたその時。

「そこの君。」

 呼び止める声がして振り返ろうとした時、踏み台にしていた椅子が変な音を上げて壊れる。
 もはや、玲音の体を支えるのは括り付けた麻縄しかない。

「だっ……だず……。」
「おや、死にたいのでは?」

 良いから助けてくれ!こころの中でそう叫ぶ。
 先ほどまで死にたいと思っていたのに今は心の底から生きたいと思った。
 必死で声のする方へと最後の力を振り絞って手を伸ばす。

「………黒菊、白菊。助けてあげなさい。」
「「はっ…。」」

 その声が聞こえた瞬間、身体が突然床に激突する。
 痛いと言う感覚よりも先に息を精一杯肺の中に溜める。

「ゲホッ!!ゲホッ!!」
「君は変な人だね。さっきまで死にたがってたくせに。」

 声のする方へと顔を向けると着物を着た女性が立って居た。だが、その人は眼を瞑り真正面をじっと見つめていた。
 その傍らにはおかっぱ頭の不気味な双子が微動だにせずに立って居る。

「あ……アンタ……だ、だれ。」


「私はノア。詐欺師です。」

「さ……さぎし?」

 え?今、この人詐欺師っていった?きょとんとした顔をしていると目の前の詐欺師と名乗った女性は再び口を開いた。

「貴方を一億で買います。今から貴方は私の所有物です。」
「は?」

 何言ってんだコイツ。玲音は思わず心の中で呟いた。
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