ようこそ、一条家へ

如月はづき

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53.真冬の訪れ

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「さーむーいー!」

 門から玄関まで落ち葉拾いをしていた頃が懐かしい。年が明けてから数日経った今日、外は雪が降り積もった。
 門番さんが雪かきをしてくれた部分に、融雪剤を撒いていく。

「雪かきすれば暑くなるぞ?変わるか?」

「それは無理!門番さんすごいねぇー。あっという間にやっちゃうんだもん」

 門から玄関までは、すでに歩けるようになっている。ふと、門の付近に雪が集められているのが目に入った。

「門番さんー!ここにかまくら作ろう!」

「……お前なぁ。子どもじゃないんだから」

「そうだよ、柚子。かまくらなんて作ったら、僕の庭の景観が崩れるじゃないか」

「ふぎゃあっ!!」

 雪山の影からひょっこり顔を出したのは育だった。びっくりして、つい大声を出したらすごくうるさそうな顔をしてお屋敷に戻っていった。
 ……僕の庭って、ここは一条家のお庭だよ。ボソッと呟いた言葉は雪に溶けた。



「柚子。これを門番さんに」

 昼食の用意をしていると、お姉ちゃんからトレーを渡された。

「わー!今日のお昼ってハッシュドビーフ?」

「えぇ。寒いから温かい物がいいと思って」

「わーい!きっと門番さん喜ぶね」

 ハッシュドビーフなど、おかずが載った門番さんの昼食を外に運ぶ。雪は止んでいるけど寒い。温かいうちに持っていってあげよう、そう思うと自然と足が早く動く。

「門番さーん!ごーはーん!」

 両手が塞がっていて、扉を開けられないから大声で叫ぶ。ガチャっと扉が開くとお部屋から温かい空気が流れ始めた。

「いつも悪いな。……ハッシュドビーフか?」

「お姉ちゃんが寒いから温かい物って言ってたよー!冷めないうちに食べてね!」

「恩に着る」

「はーい。またねー!……あ、郵便屋さん来た!柚子お手紙預かっていくね」

「おい、ちゃんと全部わた」

 郵便屋さんの姿が見えたので、門番さんの部屋を出る。何か言ってた気がするけど、まぁいっか!

「すいませーん。雪で配達が遅れてしまって」

「大丈夫です!悪天候の中お疲れ様です」

 門越しに手紙を受け取る。こんな日に大変だなぁ。急ぎのお手紙じゃなければ後でもいいのにねぇ。王家の手紙以外大した用事じゃないんだから。

「えーっと」

 玄関に向かいながら郵便物を確認する。今日はやたらいっぱいあるな。……大雅くん宛が3通、立花さん宛が2通、あ!私宛もある!お?珍しいな、光くん宛もあるーー。後で届けてあげよう。
 お手紙をキッチンの端っこに置いて、昼食準備の続きだ。



「光くん!……これお手紙きてたよ」

 昼食の片付けも終わり一旦お昼寝……の前に私はお目当ての人物に声をかけた。

「俺に?」

 自分に届き物があることが珍しいと自覚している彼は、目を丸くしながらそれを受け取った。

「うん!……今日寒いねぇ。また今夜も降るかなぁ」

「……」

 いつもならすぐに何かしらの返事が返ってくるのにと思いながら、隣りを見上げると何やら真剣に手紙を見る彼の姿。そういえば、差出人を見なかったな。……聞いたことなかったけど、前にいたお屋敷でお付き合いしてる人とかいたのかなぁ。文面を追う目線の先、何が書いてあるんだろう。誰からなんだろう。

「……あ。ごめんな、柚子ちゃん!何か言うた?」

「んーん。重要な事じゃないから大丈夫!お手紙誰からだったー?」

「あぁ。四元男爵家からや。男爵からと、一緒に働いてた奴らからの寄せ手紙みたいなやつ」

「あ!そうなんだ」

 一緒に働いてた奴ら……その中に意中の人とかいたのかな。聞いてみて、もしそういう人がいるって言われたらーーどうしよう。でも気になったからには、聞くしかないか。

「……光くんって、その……。四元家にいるの?あの、お付き合いしてた人とか?」

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