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第二章
嫉妬と好奇
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今こうやって遥翔が自分を溺愛してくれているのは、契約結婚を本物に変えるための努力の表れだけかもしれないから。
あれだけこの結婚を拒んでいたくせに、今では遥翔との結婚が幻のようになくなってしまうのが怖くなってきているのだ。
「確かにホテルを守るのは副社長である俺の仕事でもあるけど、これは役職関係なく社員全員でやることだ。俺を支えるのが内助の句だって言うなら、依舞稀を支えるのが愛妻家である俺の役目だろ?」
サラリと言ってのける言葉が、毎回毎回甘いんだ。
依舞稀はワインで赤くなった頬をさらに染めながら「それが夫婦ってことですね」と照れながら言った。
「そうだな」
お互いに支え合って尊重し合って信じあって。
夫婦とはその延長線上にあるものだと実感した。
「依舞稀に一つ提案がある」
「何でしょうか」
急に真剣な顔になった遥翔は「色々と考えてはいたんだが」と前置きをして。
「依舞稀、秘書課に異動する気はないか?」
遥翔は突然突拍子のないことを言い出した。
「秘書課!?どうして突然?」
どんなに嫌がらせを受けようと、頭に全くなかった『移動』の提案に、依舞稀は困惑する。
「俺の中では突然じゃない。結婚してからずっと考えてたことなんだ。俺付きの秘書になれば、誰にも何もされないし言われない。依舞稀にとっても悪い話じゃないと思うが?」
遥翔は遥翔なりに依舞稀のために良かれと思う選択肢を考えてくれていたことを知って、依舞稀は胸が熱くなった。
あれだけこの結婚を拒んでいたくせに、今では遥翔との結婚が幻のようになくなってしまうのが怖くなってきているのだ。
「確かにホテルを守るのは副社長である俺の仕事でもあるけど、これは役職関係なく社員全員でやることだ。俺を支えるのが内助の句だって言うなら、依舞稀を支えるのが愛妻家である俺の役目だろ?」
サラリと言ってのける言葉が、毎回毎回甘いんだ。
依舞稀はワインで赤くなった頬をさらに染めながら「それが夫婦ってことですね」と照れながら言った。
「そうだな」
お互いに支え合って尊重し合って信じあって。
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「依舞稀に一つ提案がある」
「何でしょうか」
急に真剣な顔になった遥翔は「色々と考えてはいたんだが」と前置きをして。
「依舞稀、秘書課に異動する気はないか?」
遥翔は突然突拍子のないことを言い出した。
「秘書課!?どうして突然?」
どんなに嫌がらせを受けようと、頭に全くなかった『移動』の提案に、依舞稀は困惑する。
「俺の中では突然じゃない。結婚してからずっと考えてたことなんだ。俺付きの秘書になれば、誰にも何もされないし言われない。依舞稀にとっても悪い話じゃないと思うが?」
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