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episode 6
実った初恋
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目が覚めると、途端に体の怠さと不自由さを感じた。
私の寝返りを妨げるものが後ろに……と思ったのも束の間、私は一気に昨日の情事を思い出した。
そして納得したのだ。
この身体の怠さは仕方のないことなのだと。
私は重い身体をゆっくりと捻り、私を後ろから抱きしめている藤瀬くんに向き直った。
あどけない寝顔は少し幼くて、昔の面影が残っているような気がする。
でも……昨晩は面影なんてとてもあるはずがなく、初めて見る男の藤瀬くんに翻弄されっぱなしだった。
あの藤瀬くんがあんなことやこんなことするなんて……。
あまりにも情熱的だった藤瀬くんとの行為を、ナカの違和感でいまだに感じる事ができる。
それほどまでに私は藤瀬くんから求められ、私は藤瀬くんを求めたのだ。
これで全てが埋まったわけじゃないことはわかってる。
私達はこれからも思いを言葉にすることで、少しづつ埋めていくのだろう。
来ないと思っていた藤瀬くんと迎える朝が……。
「うそっ、もう昼じゃない」
壁に掛けてあった時計は午後13時半を回っていた。
どれだけ眠っていたのかもわからない。
だって、いつ眠ったのかもわからないのだから。
半分気絶するように落ちてしまったような気がする。
ならばこの時間になるのも頷ける。
重くて怠い腰を動かしたくなくて。
身体に回された腕にまだ包まれていたくて。
私はずっと藤瀬くんの寝顔を堪能した。
私の寝返りを妨げるものが後ろに……と思ったのも束の間、私は一気に昨日の情事を思い出した。
そして納得したのだ。
この身体の怠さは仕方のないことなのだと。
私は重い身体をゆっくりと捻り、私を後ろから抱きしめている藤瀬くんに向き直った。
あどけない寝顔は少し幼くて、昔の面影が残っているような気がする。
でも……昨晩は面影なんてとてもあるはずがなく、初めて見る男の藤瀬くんに翻弄されっぱなしだった。
あの藤瀬くんがあんなことやこんなことするなんて……。
あまりにも情熱的だった藤瀬くんとの行為を、ナカの違和感でいまだに感じる事ができる。
それほどまでに私は藤瀬くんから求められ、私は藤瀬くんを求めたのだ。
これで全てが埋まったわけじゃないことはわかってる。
私達はこれからも思いを言葉にすることで、少しづつ埋めていくのだろう。
来ないと思っていた藤瀬くんと迎える朝が……。
「うそっ、もう昼じゃない」
壁に掛けてあった時計は午後13時半を回っていた。
どれだけ眠っていたのかもわからない。
だって、いつ眠ったのかもわからないのだから。
半分気絶するように落ちてしまったような気がする。
ならばこの時間になるのも頷ける。
重くて怠い腰を動かしたくなくて。
身体に回された腕にまだ包まれていたくて。
私はずっと藤瀬くんの寝顔を堪能した。
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