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episode 3
リセット
しおりを挟む「どうせ隣なんだから家から一緒に出ればよかったんだよ。」
福岡に向かう機内、隣に座る三崎に対して俺は溜め息混じりにそう言った。
「…ごめん…」
三崎はもう何度この言葉を言っただろう。
「何度も連絡したのに出やしねぇし」
家も隣なわけだし、どのみち空港まではタクシーで行くことになるのだから、一緒に行こうと提案しようと夜に電話をしてみた。
けれど何度かけても繋がることはなく。
親しい友達にさえも滅多にしないメールをしても返信はない。
しかたなく最終手段とばかりにラインをしてみるけれど、いつまでたっても既読になることは無かった。
もしかして…避けられてんのか?
避けられる要素しかない自分を虚しく思いながら、俺は泣く泣く一緒に行くことを諦めた。
「おまけに搭乗手続き締切ギリギリまで来ねぇし」
丁度いい時間を見計らって呼んだタクシーに乗り込む間も、三崎が降りてくることを期待したけれど、その気配は全くなかった。
空港に着いてキョロキョロしながら搭乗手続きのカウンターまで来てみたが、三崎の姿は見当たらない。
手続きを済ませ荷物を預けても、まだ三崎は来ない。
最悪の事態が頭を過ぎり、何度も電話をしてみるけれど、それでも繋がることはなく。
渋滞にはまっているだけならいいが、病気や事故だったら、と考えながらコール音を聞いていると。
ぱたぱたと体全体に焦りを纏って三崎が走ってくるのが見えた。
無事だったか。
ほっとしたのも束の間。
「ごめんなさいっ!早く来すぎたらいつの間にか寝ちゃってて…」
もちろんその言葉の返事は。
「てめぇふざけんなよ」の一言で間違いじゃないだろう。
事の説明の前にギリギリだった手続きを済ませ、滑り込むように機内へと搭乗した。
昨日の帰りの電車に乗る前にバイブに切り替えたはずだったスマホが、いつの間にかサイレントになっていたらしく。
「本当に申し訳ありません…」
瞳をうるうるさせながら、三崎は何度も俺に謝った。
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