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episode 4
辛抱
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内容に具体性は何もなく、だだ仲がいいだの、雰囲気が違うだの、お似合いだの。
あの二人のイメージにピッタリのクリーンな噂ばかり。
俺の時のスキャンダラスな響きとは似つかない二人は、きっとそのうち社内公認となるかもしれない。
そうか。
ただの同期というポジションは、こういう事も全て受け流さなくてはいけないという事なのか。
指を咥えて見ているだけの自分を想像して、頭が痛くなった。
「ところで、一体いつまでついてくるつもり?」
駅のホームに向かっていた俺は、なんだかんだと、ひたすら喋りながら着いてくる竹下に声を掛けた。
「そろそろ柴垣さんちに連れてってくださいよぉ」
「俺が何で竹下さんを連れてかなきゃなんねぇの?」
「そんな固い事言わなくても、いいじゃないですか。三崎さんだけズルいですっ」
もう、この会話も何度目だろうか。
「だから、三崎とはそんなんじゃないんだって言ったろ。くだらねぇこと言ってないで帰れ」
「んもう、またそれだ。次こそは連れてってくださいね?」
「……」
ぜっっってぇヤダ。
心の中で思いっきり拒否して、「気をつけて帰れよー」と手を上げ、竹下と別れた。
女って面倒くさい。
最近は竹下に押されて、家に帰るとドッと疲れが来る。
ベッドに入れば何も考える暇なく睡魔に襲われ、あっという間に朝が来る。
そしてまた、いつもの一日が始まるのだ。
爽やかな朝に不似合いな溜め息をついて駅へと歩き出して。
俺の『いつもの朝』が一変した。
あの二人のイメージにピッタリのクリーンな噂ばかり。
俺の時のスキャンダラスな響きとは似つかない二人は、きっとそのうち社内公認となるかもしれない。
そうか。
ただの同期というポジションは、こういう事も全て受け流さなくてはいけないという事なのか。
指を咥えて見ているだけの自分を想像して、頭が痛くなった。
「ところで、一体いつまでついてくるつもり?」
駅のホームに向かっていた俺は、なんだかんだと、ひたすら喋りながら着いてくる竹下に声を掛けた。
「そろそろ柴垣さんちに連れてってくださいよぉ」
「俺が何で竹下さんを連れてかなきゃなんねぇの?」
「そんな固い事言わなくても、いいじゃないですか。三崎さんだけズルいですっ」
もう、この会話も何度目だろうか。
「だから、三崎とはそんなんじゃないんだって言ったろ。くだらねぇこと言ってないで帰れ」
「んもう、またそれだ。次こそは連れてってくださいね?」
「……」
ぜっっってぇヤダ。
心の中で思いっきり拒否して、「気をつけて帰れよー」と手を上げ、竹下と別れた。
女って面倒くさい。
最近は竹下に押されて、家に帰るとドッと疲れが来る。
ベッドに入れば何も考える暇なく睡魔に襲われ、あっという間に朝が来る。
そしてまた、いつもの一日が始まるのだ。
爽やかな朝に不似合いな溜め息をついて駅へと歩き出して。
俺の『いつもの朝』が一変した。
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