呪い呪われ恋焦がれ

すぅこ

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ブリー・チネシス

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  「………」
  「………」誰か、この沈黙をどうにかしてほしい。

二人は街を歩いていた。シャドウとヒスイである。

休診日。
静かな朝だった。
彼は突然馬に乗って現れ、「散歩するぞ。」と唖然とするお婆ちゃんをヒョイと軽々馬に乗せ、拉致!?

馬から降り、今に至るが……。
もともと無口な彼と、何事か理解できないお婆ちゃんです、会話が無い。

あー、きっと。王子に街を案内するように無理矢理頼まれたのかなぁ…とヒスイは思った。可哀想に。可哀想に。
とにかく、せっかくだから楽しみたい。

沈黙を破る。
「どこに連れて行ってくれるのかな?いろいろ教えておくれ。」と彼の手をとった。仲良くしてねという意味を込めて。
彼はハッと驚き目を合わすと、手を繋ぎ直した。
「教会に行きましょう。」

手を繋ぎ、歩く事になるとは…。老婆ですからね、足腰心配してだとは分かっていても恥ずかしい。

  説明してくれた。
この教会は大精霊ブリー・チネシスを祀っている。
魂と運命の導き手。死後、天秤にかけられ、天国か地獄に分けられる。そして、新たな道へ生を授け、導く。

………はて?どこかで聞いたような。と考えながら聖堂に入ると、見た事がある方のステンドグラス。そして石像が。

やはり、『白い閻魔さま』でしたか。
この世界の聖霊様ですか。


教会に入ると、シャドウは神父様に捕まり時間がかかりそうだったので庭に出た。
庭には白い薔薇がたくさん植えられており、噴水もあった。
人影。噴水のフチに立つその姿。
……白い閻魔様が待ってたとばかりに手招きする。
はい、はい。行きますよ。

「まさか、また会えるなんて思わなかったわ。」
「私の加護を与えましたから、呼べば現れますよ」ニコッ………。
はぁ??聞いてませんけど。
「何?ブリーチネシスだっけ??ブリーチと呼ばせていただくわ。」
「えー。その漂白剤みたいな名前やめてくださいよ。切るところ違います!ブリー・チネシスです!」
あれ??こんなキャラなの??もっと高貴なイメージだったのに、幻滅。
「ブリーチ決定。」


「それで、何で呪い解かないの?もったいない。」とブリーチ。
「今のままでも不自由してないしねぇ。解かなきゃマズイかな?」首を傾げる。
「チカラ半減って感じかな。」彼も首を傾げ答える。
「チカラ戻ったら何ができるの?」
「う~ん。頑張っちゃえば国滅ぼせるし。天下統一も夢じゃない!」

ブリーチ……、私をどうしたいんだ?
スゴイ事言ってるけどノリ軽くない??


そうしているうちに、シャドウが庭に出てきたようだ。
シャドウは、ブリーチを見て固まっている。横の神父様も口が開いたまま。

ブリーチは「では、いつでも呼んでね。」と消えた。

ブリーチは稀に姿を現し導くことがあるらしいが、伝説級らしい。
「まさか、ヒスイ様が大精霊様とお知り合いとは…」


それから気を取り直して街を散策。お茶したり、本屋で欲しかった本を探してもらったり。街はとても賑やかで楽しかった。

途中。気になる魔道具を発見。
細工の綺麗な白い小型ハープ。
日本で前に音楽室で練習したことがある。何でって、ジブリですよ。『呼んでいる~♪』ってやつ。わかる?

一目惚れして買ってしまった。






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