9 / 33
ハープ
しおりを挟む
街の散歩の締めくくり。
夕方、シャドウオススメの食堂に連れて行ってくれた。
この街の郷土料理のお店。
家庭的で、優しい味。漬物に、煮込み料理は肉も柔らかくじゃがいもや人参など入っていて『肉じゃが』を思い出す。
懐かしい味。
満足、満足……たぶん、ものすごく幸せな顔をしていたと思う。
…だが、シャドウは少し渋い顔。
何かを言い掛けては引っ込め、言い掛けては悩んでいる様子。
「なにか、悩み事?」ヒスイは尋ねた。
「の…呪いをかけられているのか?」
その言葉にヒスイはスプーンを落としそうになってしまった。たぶん、幸せな顔からサーッと血の気が引いたと思う。
ブリーチとの話、聞こえたんだね。
「そうね。掛けられているわ。」
「どのような呪いなんだい?」シャドウは何の呪いかは気付いてないようだ。
「解きたくなったら自分でどうにかするし。他人を巻き込む気は無いの。ブリー・チネシスにも言ったけど今は不自由してないから。」
シャドウは正義感が強い。だから、手伝いたいと言うだろうと思った。だから、言う前に言い切った。
あんな怖い魔女に会わせたくない。
「今日はとても感謝しているわ。あなたと回れて楽しかったわ。だから、呪いの事でそんな顔しないで。」
シャドウはとても悔しそうな、切ない表情をしていた。
そうだ!と、バックの中からアイテムを出す。
『癒しのハープ』一目惚れして衝動買いしたアイテムだ。
「今日の御礼に演奏するわ。」と微笑む。
このハープは音楽の精霊や宿っており、手に持ち歌うと勝手に指が動き演奏してくれるという優れ物です。
不器用な人でも、多少の魔力があれば大丈夫。
流石に店はと思い、お勘定をして場所を移そうとしたら、店主さんは視界の先でオッケーマークを作っていた。
いやいや、ハープはお店で披露するレベルではないのですよ。単なる趣味、むしろその時だけのマイブームです。
場の雰囲気壊したくないし、了承。
「この国の歌は知らないの。だから私の故郷の歌を歌うわ。」
『う~ん。』顎の下を人差し指で支えるように悩む。ポップな曲をお婆ちゃん歌ったらドン引きだしね。
私は『白い鳥の歌』が好きだった。
今でも、口ずさむ時がある。
ポロン。
軽く弾いて、深呼吸。
「澄んだ空に白い鳥
自由に飛び交う二羽の鳥
私も羽根があったなら
すぐに君に会えるだろう
君に羽根があったなら
二人で自由に飛べるだろう
恋に焦がれる白い鳥
二羽なら天まで届くだろう
赤く染まる白い鳥
夕陽な染まった白い鳥
恋の実った白い鳥
暗闇でなく白い鳥
夜に1羽の白い鳥
恋の実らぬ白い鳥
……」
歌う時は目を閉じていた。
演奏をやめ、恐る恐る目を開けると、感動して泣く客もいた。
この歌って、ちょっと切ない歌だよね。
選曲ミス?
でも、良い曲。
夕方、シャドウオススメの食堂に連れて行ってくれた。
この街の郷土料理のお店。
家庭的で、優しい味。漬物に、煮込み料理は肉も柔らかくじゃがいもや人参など入っていて『肉じゃが』を思い出す。
懐かしい味。
満足、満足……たぶん、ものすごく幸せな顔をしていたと思う。
…だが、シャドウは少し渋い顔。
何かを言い掛けては引っ込め、言い掛けては悩んでいる様子。
「なにか、悩み事?」ヒスイは尋ねた。
「の…呪いをかけられているのか?」
その言葉にヒスイはスプーンを落としそうになってしまった。たぶん、幸せな顔からサーッと血の気が引いたと思う。
ブリーチとの話、聞こえたんだね。
「そうね。掛けられているわ。」
「どのような呪いなんだい?」シャドウは何の呪いかは気付いてないようだ。
「解きたくなったら自分でどうにかするし。他人を巻き込む気は無いの。ブリー・チネシスにも言ったけど今は不自由してないから。」
シャドウは正義感が強い。だから、手伝いたいと言うだろうと思った。だから、言う前に言い切った。
あんな怖い魔女に会わせたくない。
「今日はとても感謝しているわ。あなたと回れて楽しかったわ。だから、呪いの事でそんな顔しないで。」
シャドウはとても悔しそうな、切ない表情をしていた。
そうだ!と、バックの中からアイテムを出す。
『癒しのハープ』一目惚れして衝動買いしたアイテムだ。
「今日の御礼に演奏するわ。」と微笑む。
このハープは音楽の精霊や宿っており、手に持ち歌うと勝手に指が動き演奏してくれるという優れ物です。
不器用な人でも、多少の魔力があれば大丈夫。
流石に店はと思い、お勘定をして場所を移そうとしたら、店主さんは視界の先でオッケーマークを作っていた。
いやいや、ハープはお店で披露するレベルではないのですよ。単なる趣味、むしろその時だけのマイブームです。
場の雰囲気壊したくないし、了承。
「この国の歌は知らないの。だから私の故郷の歌を歌うわ。」
『う~ん。』顎の下を人差し指で支えるように悩む。ポップな曲をお婆ちゃん歌ったらドン引きだしね。
私は『白い鳥の歌』が好きだった。
今でも、口ずさむ時がある。
ポロン。
軽く弾いて、深呼吸。
「澄んだ空に白い鳥
自由に飛び交う二羽の鳥
私も羽根があったなら
すぐに君に会えるだろう
君に羽根があったなら
二人で自由に飛べるだろう
恋に焦がれる白い鳥
二羽なら天まで届くだろう
赤く染まる白い鳥
夕陽な染まった白い鳥
恋の実った白い鳥
暗闇でなく白い鳥
夜に1羽の白い鳥
恋の実らぬ白い鳥
……」
歌う時は目を閉じていた。
演奏をやめ、恐る恐る目を開けると、感動して泣く客もいた。
この歌って、ちょっと切ない歌だよね。
選曲ミス?
でも、良い曲。
0
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる