呪い呪われ恋焦がれ

すぅこ

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ハープ

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  街の散歩の締めくくり。
夕方、シャドウオススメの食堂に連れて行ってくれた。

この街の郷土料理のお店。
家庭的で、優しい味。漬物に、煮込み料理は肉も柔らかくじゃがいもや人参など入っていて『肉じゃが』を思い出す。
懐かしい味。
満足、満足……たぶん、ものすごく幸せな顔をしていたと思う。

  …だが、シャドウは少し渋い顔。
何かを言い掛けては引っ込め、言い掛けては悩んでいる様子。
「なにか、悩み事?」ヒスイは尋ねた。
「の…呪いをかけられているのか?」
その言葉にヒスイはスプーンを落としそうになってしまった。たぶん、幸せな顔からサーッと血の気が引いたと思う。
ブリーチとの話、聞こえたんだね。
「そうね。掛けられているわ。」
「どのような呪いなんだい?」シャドウは何の呪いかは気付いてないようだ。
「解きたくなったら自分でどうにかするし。他人を巻き込む気は無いの。ブリー・チネシスにも言ったけど今は不自由してないから。」
シャドウは正義感が強い。だから、手伝いたいと言うだろうと思った。だから、言う前に言い切った。
あんな怖い魔女に会わせたくない。

「今日はとても感謝しているわ。あなたと回れて楽しかったわ。だから、呪いの事でそんな顔しないで。」
シャドウはとても悔しそうな、切ない表情をしていた。


そうだ!と、バックの中からアイテムを出す。
『癒しのハープ』一目惚れして衝動買いしたアイテムだ。
「今日の御礼に演奏するわ。」と微笑む。

このハープは音楽の精霊や宿っており、手に持ち歌うと勝手に指が動き演奏してくれるという優れ物です。
不器用な人でも、多少の魔力があれば大丈夫。


流石に店はと思い、お勘定をして場所を移そうとしたら、店主さんは視界の先でオッケーマークを作っていた。
いやいや、ハープはお店で披露するレベルではないのですよ。単なる趣味、むしろその時だけのマイブームです。

場の雰囲気壊したくないし、了承。
「この国の歌は知らないの。だから私の故郷の歌を歌うわ。」

『う~ん。』顎の下を人差し指で支えるように悩む。ポップな曲をお婆ちゃん歌ったらドン引きだしね。

私は『白い鳥の歌』が好きだった。
今でも、口ずさむ時がある。

ポロン。
軽く弾いて、深呼吸。

 「澄んだ空に白い鳥
自由に飛び交う二羽の鳥

私も羽根があったなら
すぐに君に会えるだろう

君に羽根があったなら
二人で自由に飛べるだろう

恋に焦がれる白い鳥
二羽なら天まで届くだろう

赤く染まる白い鳥
夕陽な染まった白い鳥
恋の実った白い鳥

暗闇でなく白い鳥
夜に1羽の白い鳥
恋の実らぬ白い鳥
……」

歌う時は目を閉じていた。
演奏をやめ、恐る恐る目を開けると、感動して泣く客もいた。

この歌って、ちょっと切ない歌だよね。
選曲ミス?

でも、良い曲。


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