呪い呪われ恋焦がれ

会議

  今日は会議です。
ヒスイの今後についてです。
未だに、ヒスイの家に集うお爺ちゃんお婆ちゃん、そしてシャドウ、ノイ、オルティニス以外の騎士は『呪い』の事も、ヒスイが老婆でない事も知りません。

老婆と偽り、このまま『呪い』が解けるまで秘密にし続けるのか。
公表してしまえば、優しいパワフル老人達の中には力になろうとする者も出てくる。それは、危険なので嫌だった。
そして、中には偽っていた事を非難する者も出てきて今の生活は壊れる可能性もある。
…では、『呪い』は解かないのか。

どうしたら良いのかわからない。今のこの生活に幸せを感じているからだ。

そう、でも大精霊ブリー・チネシスが私を転生という形ではなく、移転させたのには理由があるはずだ。しかも、強力な魔力をもたせて。

今、この世界、この国は、魔物が出るとは言うものの比較的平和である。平和過ぎて、老婆になったの何だのと悩んでいるが、ブリーチがそんな運命だけのために転移させる訳がないのだ。
何か、悪いことが起きるに違いない…。悪い予感がする。

ヒスイはブリーチを呼び出す。

皆んなの前に出てきてくれるかな？

「ブリーチ出てきてくれる？」
大精霊ブリー・チナシスは心配をよそにすんなり姿を現した。
「ヒスイ、呼び出してくれないんじゃないかって心配したよぉ～。酷くない？冷たくない？」
あー、軽いよ、軽すぎだよブリーチさん。ブリーチさんがこんなだから、悪い事が起きるなんて思えなかったりするんだよ。
「皆さま。ブリー・チネシスでございます。お見知りおきを。」と、貴族のように優雅に挨拶をする。
皆さん、あまりの想像の違いに固まってます。だって神話の中の人ですからね。
そりゃ、神々しいですよ、容姿とオーラは。
問題は中身です。

「話は聞いていましたけども。答えられる事とできない事があるのですよ。何を聞きたいので？」とブリーチは言った。
『運命の導くままに。』と転移させる時に言った。運命自体は彼にもどうにもできないのだ。魂や運命を正しく導く事が仕事。ただ導くことが彼の仕事…なのだろうか？
今、ヒスイが直面している悩みと、疑問をぶつける。
「私の宿命において、『呪い』は解くべき？老婆の姿になったのは運命だとしても、近い未来に何か起こるから私をこの国に導いたのでしょう？」
「まぁねぇ。『呪い』は解かれる運命ですよぉ。その先の運命のためにね。」と、ブリーチは座っていたヒスイの後ろから抱き締めるように、ヒスイの顔を覗き込み微笑んだ。
そして、頬擦りした。
「私は貴女を守るのも仕事です。」とウィンク。


『『『なんか、気に入らない奴だな』』』
三人は思った。
「で、ブリーチ。離れろ。」
「で、ブリーチ。消えていいぞ。」
「で、ブリーチ。いつまでいるんだ？」


「皆さんまで、ブリーチって！しかも呼び捨て！！」
ブリーチは、「しかも、追い出すなんて！」とギャーギャー文句言いながら、消えて行った。


では、『呪い』を解き、『宿命』にむけて。

呪いが解けた時の事は、その後考えよう。

大きな『宿命』に向けて。