呪い呪われ恋焦がれ

すぅこ

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  「ヒスイ……ヒスイ…」知っている声がする。

ヒスイはゆっくりと瞼を開く。

白い…白い閻魔さま。

そう、閻魔さまじゃなくて…えっと…

「ブリーチ!!」ガバッと起き上がる。
「ここはどこなの?」
「四〇〇年前のラグナトルです。」とブリーチは答えた。
「さあ、ヒスイ。試練ですよ。これは運命です。」
ブリーチは真っ直ぐ何処かを見つめる。

四〇〇年前の伝説の場所にいる。悪い魔女に滅ぼされそうになった、このラグナトルに。
そして、今まさに戦火の真っ只中だった。
ブリーチの目線の先には、燃え上がる城。街。

「ヒスイ、時間がありません。残された皆んなを助けたければ、急ぐのです。」
「行きます。」ヒスイは迷っている時間などない。シャドウだけでなく、私を待っている人達がいるのだから。
そして、今、この戦の中ににも、未来に繋がる人達がいる。皆んなの先祖なのだから。

ヒスイは風を纏い飛んだ。

魔女の元に。

街中に魔物が徘徊していた。
「そうだよね。また魔物と魔女と戦うんだよね。
そして、勝って待ってる人のところへ帰るんだ。」
言葉にする事により、決意をハッキリさせる。
『シャドウ、信じて待っててね。生きていてね。』
グッと手に力を入れた。

ブリーチは私の側に居てくれた。
こんな状況でふざけてる場合じゃ無いし、当たり前だが、とても心強くてカッコイイ。
「頼りにしてるわ。今更ながら、何ができるのかしら?」
「ははは。」ブリーチは困ったように少し笑う。
「貴女を護ること。死ぬ運命でない限り全ての人を護る努力はします。正直、攻撃向きではないのです。」
お互いに、頷き合い、戦場に降り立った。

騎士達の前に立ち宣言する。
「私は翡翠の魔女。そして、大精霊ブリー・チネシスです。運命の導きにより加勢いたします。」と。

聖女のような美しい魔女と、神々しい精霊の登場により、人達は士気を取り戻した。

1人騎士が前に出た。
「私は、アズベルト・ラグナトルです。感謝いたします。」
ラグナトル…という事は、
「もしかして、王族の方でしょうか?」と聞いてみる。
ザワッと、まわりが騒ぐ。
「現国王でございます。もしかしてこの国の方では無いのでしょうか?」とアズベルトは返した。

そういえば、髭生やして少しダンディにしたシーネルト王子って感じだわ。

考えていると、
「この方は未来から私と来て頂きました。貴方の国の未来の王子とお友達なのですよ。」と、コソッとアズベルトにブリーチが説明してくれた。
「そうか。そうか。」と驚きつつも、豪快に笑った。

さて。
ちゃっちゃと片付けて帰りますよ。とブリーチはヒスイに耳打ちした。

はいはい。ヒスイは頷いた。

ヒスイは無詠唱で魔方陣を描く。真っ赤な魔方陣だ。
そこから、炎の細長い竜巻を幾つも出現させ、魔物に向かって放つ。

「さあ、かかってきなさい。」

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