『不治』の病に効く薬ではなく、間違えて『不死』の薬を飲まされました。

すぅこ

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 ここは魔法、剣、魔物が存在するこの世界の一国『マリウス』。

ハリシア公爵家の一室。シュネーゼのお部屋。
目覚めたばかりのマリンは新シュネーゼになるために、いろいろと記憶を整理し、今後に備えなければならない。いや、いっそ中身な別人ですと最初から打ち明けるべき?

シュネーゼの魂が消えた原因である事件。
この国『マリウス』の王子は2人。母親が違う。
2人の王子は対照的な王子で、第1王子は真面目で勉強熱心だが、いまいち社交性に欠ける。第2王子は、馬鹿ではないが勉強嫌い。しかし、剣術に秀でていて陽気で明るくカリスマ性があるのだ。
その、第1王子が呪いを掛けられたのだ。
第1王子は、いわゆる勉強ばかりしている引き篭もり。城の敷地から出た事が無い。もちろん城の内部に犯人がいるわけだが、間違いなく第2王子を王座に就かせたい者だろう。
シュネーゼの捜索のおかげで、1人の魔法使いに辿り着いた。
わかったところで、すぐにその魔法使いに呪い返しをすれば彼女の負担は少なく済んだのだが、魔法使いが誰の命令で動いたのかまで暴けなかったので、呪いを取り込んだまま耐えなければならなくなった。
やっと、第2王子派の貴族を見つけたが、何者かに殺された後だった。
その後、ようやく国王から呪い返しの許可が下りたが、精神的な限界に達し2年間も眠ることになる。


マリンことシュネーゼは、ベッドに戻り腰掛けた。

2年も眠っていたなんて……、どんだけ辛かったのだろう。
それで、14歳の社交界デビューも行けず、出会いも無ければ、シュネーゼには友達もいない。
こんなに美少女なのに、もったいないことだ。
ただ、マリンとシュネーゼは性格が似ているかな、と感じる。だから、彼女の体に引き寄せられたのだろう。


しばらくすると、ノックがした。
つい「はい。どうぞ。」と答えてしまった。すると、扉の向こう側でガッシャン、パタパタパタパタと騒がしく遠ざかると、人数が増えたのだろうバタバタバタバタと足音が近付き、勢いよく扉が開かれる。

「「シュネーゼ!!」」

父ザイルと兄ルーシェと仲間達。

何と話せばいいものか。
「ずいぶんと寝坊してしまいましたわ。見ない間にお父様はよりダンディに、お兄様は背も高く素敵になりましたのね。」と、できるだけ明るく微笑んでみた。
あれっ?あまりに何事も無かったかのようなシュネーゼの言葉に困ってる?
いやいや、シュネーゼはこういうキャラのはず。
見た目は大人しそうで儚く弱々しい印象なのに、中身はかなりサッパリしている陽気な人。間違い無い。仕草や言葉遣いはシュネーゼなのだ。
シュネーゼの魂は消えたというより、私の魂に溶けたというべきか。同調している。

ザイルとルーシェは感極まっていて顔がグシャグシャだ。せっかくのイケメンなのに。

2人に両側からギューッと抱きしめられる。暖かい。

「ただいま。」

「「おかえり。」」


ギャラリーのメイドや執事達も涙ぐんでいる。


シュネーゼは、帰ってきたよ!!


これからは、友達も作りたいし、恋もしてみたい。
仕事をしながら、屋敷内だけでなく、外にも出られるように頑張ってみようと思います。






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