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目を覚ますと、豪華で大きなシャンデリアが目に入った。
知らない場所のダブルベットほどの大きさのベッドで、フカフカなお布団。
部屋は、誰の趣味なのか淡いミント色で統一され、落ち着いた雰囲気だ。
調度品もお高そう。
ベッド横の小さめなテーブルセット、家具も品があり、センスの良さが光る。
私は、ゆっくりと体を起こそうとしたが、とても怠い。
そもそも、これは私の体か??
腕も、指も細すぎる。ガリガリ程ではないが痩せているし、肌の色も白い。
陽に当たったことが無いのではないかと思うほど透明感のある、滑らかな肌。
そして、視界に入ったクセのない髪は、輝くプラチナ。
ゆっくりと怠い体を起こし、大きな鏡の前に立つと言葉を失う。
鏡には、女神のような美少女。
プラチナの腰まで届くストレートな髪。白い肌。愛らしい顔立ち。パッチリお目々でサファイアの瞳。
驚いた顔の少女が映っているが、これ私??脳内パニックである。
落ち着け自分……と、深呼吸を繰り返す。
そう、私のハッキリとした記憶は、日本人であり、医大四年目の21歳の『光希 海(ミツキ マリン)』という女性。『海』と書いて『マリン』と読むのは、父が日本人で、母がアメリカ人で、産んだのがアメリカだった為、日本でもアメリカでも困らないように、だそうだ。
だから、そこそこ純粋な日本人に比べ、目鼻立ちもハッキリしていて背も高い。
美人の部類に入ると友人が言っていた。
私は超がつくガリ勉だったため、人生を勉強に捧げてきてしまった。そのため、男性にときめいた事もない。
『恋愛する暇があるなら知識をくれ!』という感じだったが……、大学四年目になり最近は『私って、女として残念なのでは!?』と気付いた。
若く美しい時代をこのまま終わらせてなるものかと、悩みながら大学から家に帰る途中で、信号が赤である事に気付かず事故に遭い、今に至る。
それで、今、誰かというと、シュネーゼ・ハリシアという16歳の少女。
ハリシア家は公爵、この国で知らぬ者などいない。
魔法と剣、魔物が存在する世界で、魔法において右に出るものはいない魔法騎士団を率いる父のザイルと、兄のルーシェ18歳が家族。ルーシェも父に次ぐ魔法使いで魔法騎士団に所属している。
母は体が弱く、シュネーゼを産んですぐに、体を壊し亡くなったそうだ。
シュネーゼも母と同じく体が弱い。
弱い体に対して、魔力量が父や兄に匹敵する程多いため、体が耐えられないのだ……、いつ死んでもおかしくない、というのは数年前までの話。
娘を溺愛する父ザイルが、どこぞやから怪しい薬を入手してきた。
それは『不治の病』の薬だと聞いたらしいのだが、実は違った。『不治』では無く『不死』の薬だったのだ。
『不老不死』では無いので、普通に成長し、歳をとる。そして、身体が老いて朽ちれば死ぬので、まだ人間と呼べるかなと思う。
ただし、若い間は、どんな病気になろうが、どんな怪我をしようが死ぬ事は無い。
そこで、マリンが転生する前の心優しいシュネーゼはある決断をした。
元々、体が弱いだけで知識も能力もあるシュネーゼは、得意とする力を使い家族の役に立ちたいと願ったのだ。それは苦しいものだった。父も兄も反対したがシュネーゼの意志は固かった。
一つ、『治癒能力』で、怪我や病気を治すこと。
二つ、『転移(主に怪我と病気)』『治癒能力』で、命に関わる怪我や病気の場合、自分に移し助ける。
三つ、『転移』『捜索』で、呪いを受けた者の呪いを自分に移し、呪った者を突き止め呪いを返す。呪い返しをしてから『治癒能力』をつかう。
どれも、体に負担になる。三つ目は特に、呪いを移し受ける事で特殊な能力『転移(主に怪我と病気)』『捜索』を駆使して呪った者を激痛に苦しみながら眠りながら突き止める作業はかなり辛い。その後の自分の治癒まで回らず長く苦しまなければならないのだ。
シュネーゼのこの仕事は、国王と一部の者しか知らない。
治療する相手は、主に国王と父ザイルとの相談で決まる。自ずと治癒するなら相手はお偉いさん、重要なポジションの者が多い。
そして、面倒な呪いも多い。
その三つ目の仕事を終えて、今に至る。
つまり、シュネーゼはやり遂げたものの、体では無く、魂…というか、精神が耐えられなかったため消滅した。そこにマリンが転生し、あとを引き継いだ。
神様のおかげか、前世の知識、記憶も、シュネーゼの知識、記憶もある。
マリン改め、新シュネーゼは、シュネーゼの意志を尊重し人を助ける事に決めた。
知らない場所のダブルベットほどの大きさのベッドで、フカフカなお布団。
部屋は、誰の趣味なのか淡いミント色で統一され、落ち着いた雰囲気だ。
調度品もお高そう。
ベッド横の小さめなテーブルセット、家具も品があり、センスの良さが光る。
私は、ゆっくりと体を起こそうとしたが、とても怠い。
そもそも、これは私の体か??
腕も、指も細すぎる。ガリガリ程ではないが痩せているし、肌の色も白い。
陽に当たったことが無いのではないかと思うほど透明感のある、滑らかな肌。
そして、視界に入ったクセのない髪は、輝くプラチナ。
ゆっくりと怠い体を起こし、大きな鏡の前に立つと言葉を失う。
鏡には、女神のような美少女。
プラチナの腰まで届くストレートな髪。白い肌。愛らしい顔立ち。パッチリお目々でサファイアの瞳。
驚いた顔の少女が映っているが、これ私??脳内パニックである。
落ち着け自分……と、深呼吸を繰り返す。
そう、私のハッキリとした記憶は、日本人であり、医大四年目の21歳の『光希 海(ミツキ マリン)』という女性。『海』と書いて『マリン』と読むのは、父が日本人で、母がアメリカ人で、産んだのがアメリカだった為、日本でもアメリカでも困らないように、だそうだ。
だから、そこそこ純粋な日本人に比べ、目鼻立ちもハッキリしていて背も高い。
美人の部類に入ると友人が言っていた。
私は超がつくガリ勉だったため、人生を勉強に捧げてきてしまった。そのため、男性にときめいた事もない。
『恋愛する暇があるなら知識をくれ!』という感じだったが……、大学四年目になり最近は『私って、女として残念なのでは!?』と気付いた。
若く美しい時代をこのまま終わらせてなるものかと、悩みながら大学から家に帰る途中で、信号が赤である事に気付かず事故に遭い、今に至る。
それで、今、誰かというと、シュネーゼ・ハリシアという16歳の少女。
ハリシア家は公爵、この国で知らぬ者などいない。
魔法と剣、魔物が存在する世界で、魔法において右に出るものはいない魔法騎士団を率いる父のザイルと、兄のルーシェ18歳が家族。ルーシェも父に次ぐ魔法使いで魔法騎士団に所属している。
母は体が弱く、シュネーゼを産んですぐに、体を壊し亡くなったそうだ。
シュネーゼも母と同じく体が弱い。
弱い体に対して、魔力量が父や兄に匹敵する程多いため、体が耐えられないのだ……、いつ死んでもおかしくない、というのは数年前までの話。
娘を溺愛する父ザイルが、どこぞやから怪しい薬を入手してきた。
それは『不治の病』の薬だと聞いたらしいのだが、実は違った。『不治』では無く『不死』の薬だったのだ。
『不老不死』では無いので、普通に成長し、歳をとる。そして、身体が老いて朽ちれば死ぬので、まだ人間と呼べるかなと思う。
ただし、若い間は、どんな病気になろうが、どんな怪我をしようが死ぬ事は無い。
そこで、マリンが転生する前の心優しいシュネーゼはある決断をした。
元々、体が弱いだけで知識も能力もあるシュネーゼは、得意とする力を使い家族の役に立ちたいと願ったのだ。それは苦しいものだった。父も兄も反対したがシュネーゼの意志は固かった。
一つ、『治癒能力』で、怪我や病気を治すこと。
二つ、『転移(主に怪我と病気)』『治癒能力』で、命に関わる怪我や病気の場合、自分に移し助ける。
三つ、『転移』『捜索』で、呪いを受けた者の呪いを自分に移し、呪った者を突き止め呪いを返す。呪い返しをしてから『治癒能力』をつかう。
どれも、体に負担になる。三つ目は特に、呪いを移し受ける事で特殊な能力『転移(主に怪我と病気)』『捜索』を駆使して呪った者を激痛に苦しみながら眠りながら突き止める作業はかなり辛い。その後の自分の治癒まで回らず長く苦しまなければならないのだ。
シュネーゼのこの仕事は、国王と一部の者しか知らない。
治療する相手は、主に国王と父ザイルとの相談で決まる。自ずと治癒するなら相手はお偉いさん、重要なポジションの者が多い。
そして、面倒な呪いも多い。
その三つ目の仕事を終えて、今に至る。
つまり、シュネーゼはやり遂げたものの、体では無く、魂…というか、精神が耐えられなかったため消滅した。そこにマリンが転生し、あとを引き継いだ。
神様のおかげか、前世の知識、記憶も、シュネーゼの知識、記憶もある。
マリン改め、新シュネーゼは、シュネーゼの意志を尊重し人を助ける事に決めた。
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