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【第4部〜西洋の神々編〜】
第8章 須弥山の攻防②
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青龍が飛び去る背を見届けると、私達は進軍した。二郎神君や哪吒三太子、毘沙門天に阿修羅王、ラーヴァナがいつ襲って来るか分からないと、皆に伝えて気を引き締めさせた。
間も無く須弥山の麓に着く。すると、1人の美少年が突っ立っていた。
「お兄さん、道を譲って下さいな」
私がそう言うと、路肩に寄りながら話しかけて来た。
「お姉さん、ここから先には進めませんよ」
「どうして?」
「それは、私が先に行かせないからです」
殺気は全く感じられない。異質な存在に、むしろ恐怖を感じた。
「何だ?小僧。そこを退け!」
気の短いビゼルが、軽く小突こうとした。その少年は、緩やかな動作で、まるで手で払い除ける様な仕草を見せると、ビゼルは吹き飛んで地面に叩き付けられた。
「!?合気道かな?」
私が口をつくと。
「いいえ、違いますよ。どうか引き返しては頂けませんか?私も争い事は好きでは無いのです」
「貴方のお名前は?あぁ、先に名乗らないと失礼ですよね?私は、神崎瑞稀です。虞美人の生まれ変わりで、今は魔界の女帝をしています」
「ふふふ、丁寧な方ですね。貴女とは戦いたく無い。どうかこのまま引き返して下さい。私の名前は、釈迦と言います」
「釈迦!?全ループでは会って無いけど」
「陛下、ここはひとまず引き返しましょう」
ロードが私の側に来て囁いた。
「何を弱気な、お前らしくも無い!」
起き上がったビゼルが、槍を構えて戦闘態勢に入っていた。
「お前には見えないだろうがな?釈迦のランクはSSSSSSSだ。セブンスターだよ。誰も勝てんよ。こいつが本気なら、ここで全滅している。陛下のお陰で、私達は生かされたんだよ。退くぞ!」
ロードが馬の踵を返すと、ロードの配下は引き返し始めた。ルシエラがそれに続いた為、他の者達も引き返し始めた。
「阿呆どもがぁ!」
そう言って向かって行ったのは、阿籍だった。牙戟を頭上で振り回すと、そのまま釈迦に向かって振り下ろした。しかし、釈迦の身体が光を帯びると、擦り傷を負わす事も出来ずに肩で受け止められた。私は咄嗟に、阿籍を庇う様に釈迦との間に割り込んだ。
「阿籍は私の夫なの。ごめんなさい。無礼を許して下さい」
そう言うと、釈迦の身体を包んでいた光が消えた。私も阿籍も背中に汗をかいていた。
「阿弥陀如来様に頼まれましてね。貴女達、魔族をここから先に通さないで欲しいと。貴女に免じて一度は許します。次はありませんよ」
阿籍も引き返すほか無かった。
「何なんだ、あいつは?」
「知らないの?ガウタマ・シッダールタ。仏教の悟りを開いた人で、釈迦如来様よ」
「あんな奴に様など付けるな!」
珍しく阿籍は不機嫌で、私に八つ当たりして来た。
「もぅ!私に当たらないでよ」
阿籍はファイブスターだ。セブンスターなら、あのアダムと同じだ。それなら絶対に勝てはしないだろう。
「それにしても…東洋天界にも居たんだ。セブンスターが…。なら何で全ループにはいなかったんだろう?」
私達は引き返すと言いながら、途中で野営した。
「まさかセブンスターがいるとは」
「そんなに強いのか?」
「当たり前だ。我ら魔王10人がかりで項羽に勝てなかった。釈迦は、項羽が10人居ても勝てない相手だ」
「そんなに強そうには見えなかったが…」
「だろうな。武勇ではなく、神通力は比べものにならない」
皆、頭を悩ました。釈迦をどうにかしなければ先に進む事が出来ない。これならまだ、毘沙門天や阿修羅王達が束になって攻めて来た方がマシだった。
考えても解決せず、今日の所は皆、休む事にした。明日、話し合いをしてみようか?ダメ元で。話は聞いてくれそうな相手だった。
間も無く須弥山の麓に着く。すると、1人の美少年が突っ立っていた。
「お兄さん、道を譲って下さいな」
私がそう言うと、路肩に寄りながら話しかけて来た。
「お姉さん、ここから先には進めませんよ」
「どうして?」
「それは、私が先に行かせないからです」
殺気は全く感じられない。異質な存在に、むしろ恐怖を感じた。
「何だ?小僧。そこを退け!」
気の短いビゼルが、軽く小突こうとした。その少年は、緩やかな動作で、まるで手で払い除ける様な仕草を見せると、ビゼルは吹き飛んで地面に叩き付けられた。
「!?合気道かな?」
私が口をつくと。
「いいえ、違いますよ。どうか引き返しては頂けませんか?私も争い事は好きでは無いのです」
「貴方のお名前は?あぁ、先に名乗らないと失礼ですよね?私は、神崎瑞稀です。虞美人の生まれ変わりで、今は魔界の女帝をしています」
「ふふふ、丁寧な方ですね。貴女とは戦いたく無い。どうかこのまま引き返して下さい。私の名前は、釈迦と言います」
「釈迦!?全ループでは会って無いけど」
「陛下、ここはひとまず引き返しましょう」
ロードが私の側に来て囁いた。
「何を弱気な、お前らしくも無い!」
起き上がったビゼルが、槍を構えて戦闘態勢に入っていた。
「お前には見えないだろうがな?釈迦のランクはSSSSSSSだ。セブンスターだよ。誰も勝てんよ。こいつが本気なら、ここで全滅している。陛下のお陰で、私達は生かされたんだよ。退くぞ!」
ロードが馬の踵を返すと、ロードの配下は引き返し始めた。ルシエラがそれに続いた為、他の者達も引き返し始めた。
「阿呆どもがぁ!」
そう言って向かって行ったのは、阿籍だった。牙戟を頭上で振り回すと、そのまま釈迦に向かって振り下ろした。しかし、釈迦の身体が光を帯びると、擦り傷を負わす事も出来ずに肩で受け止められた。私は咄嗟に、阿籍を庇う様に釈迦との間に割り込んだ。
「阿籍は私の夫なの。ごめんなさい。無礼を許して下さい」
そう言うと、釈迦の身体を包んでいた光が消えた。私も阿籍も背中に汗をかいていた。
「阿弥陀如来様に頼まれましてね。貴女達、魔族をここから先に通さないで欲しいと。貴女に免じて一度は許します。次はありませんよ」
阿籍も引き返すほか無かった。
「何なんだ、あいつは?」
「知らないの?ガウタマ・シッダールタ。仏教の悟りを開いた人で、釈迦如来様よ」
「あんな奴に様など付けるな!」
珍しく阿籍は不機嫌で、私に八つ当たりして来た。
「もぅ!私に当たらないでよ」
阿籍はファイブスターだ。セブンスターなら、あのアダムと同じだ。それなら絶対に勝てはしないだろう。
「それにしても…東洋天界にも居たんだ。セブンスターが…。なら何で全ループにはいなかったんだろう?」
私達は引き返すと言いながら、途中で野営した。
「まさかセブンスターがいるとは」
「そんなに強いのか?」
「当たり前だ。我ら魔王10人がかりで項羽に勝てなかった。釈迦は、項羽が10人居ても勝てない相手だ」
「そんなに強そうには見えなかったが…」
「だろうな。武勇ではなく、神通力は比べものにならない」
皆、頭を悩ました。釈迦をどうにかしなければ先に進む事が出来ない。これならまだ、毘沙門天や阿修羅王達が束になって攻めて来た方がマシだった。
考えても解決せず、今日の所は皆、休む事にした。明日、話し合いをしてみようか?ダメ元で。話は聞いてくれそうな相手だった。
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