その日、女の子になった私。

奈津輝としか

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【第8部〜龍戦争〜】

第48話 大魔王サタンの脅威14

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「行ったか?」
「それが、まだ門の前から動こうとはせず、泣き通しで御座います」
「そうか…食事を差し出してやれ」
「はっ!畏まりました」
 綾瀬は、城郭から瑞稀を追い出した東門の方角を見て溜息をついた。
「大殿、それ程までに気になるのでしたら、この城に留め置いても良かったのでは無いでしょうか?」
「…次に同じ事を口にすれば、お前でも容赦はしないぞ」
 差し出がましい口を利いた者を睨み付けて下がらせた。
(瑞稀…許してくれ。お前を遠ざけたのは、巻き込みたくないからだ…)

 門が開いたので、私は立ち上がって潤がいるのかと期待した。
「信長様からお食事を、との仰せだ」
 門番は、主君直々の食事の差し入れに、「捨てた女に優しい事で」と思った。
 食事なんて喉を通ら無いわ!と思いながら料理を見ると、感情が爆発して泣き出した。出された料理は、私が初めて潤に作った料理だ。同棲して私が初めて作った料理、結婚して初めて潤が作った料理。
「潤は…潤は、私の事を忘れてなんかいない。嫌いになった訳でも無い…」
 料理にはメッセージが込められていた。好きでは無くなったから追い出した訳ではないと。では何故あの様な態度を取ったのか?理由は分からないけど、私を守る為に違いない。
 私は料理を平らげると門番に、「信長様(潤)に美味しい料理を有難う御座いました。貴方の思いは伝わった」と伝えて欲しいと伝言をお願いした。門に向かって一礼をして立ち去った。
 潤は私が、死んだ者を生き返らせる事が出来ると知っている。私の仲間達の遺体は残してくれるに違いない。
 潤が私に取った態度を思い返してみた。彼は、私が天道神君だと知らなかったと言った。私だと分かってから、私を傷付けない様に配慮しながら、それでも城を追い出したのは、部下の手前もしくは第三者の目を気にしたと言う事だ。第三者の目とは、大魔王サタンに違いない。恐らく彼が裏切らないか、見張られていたのだろう。
 それだけではなく、私を城に置かなかった理由は危険もしくは危険が迫っていると言う事だ。つまり、次の標的である閻魔王と近いうちに、戦争になるかも知れない。
 すっかり頭から抜け落ちていたけど、私の三哥サングァ(3番目の兄)のモトも冥界で勢力を築いているはずだ。閻魔王よりも先に、モトの領地を奪いに行くかも知れない。
 三哥サングァか…。正直、会いたくは無い。モトは独占欲が強く嫉妬深い。だから3人の兄達の中で、1番最初に私を手籠てごめにして、己のものにした。その際、最も邪魔となる大哥ダーグァ(1番上の兄)のバァルを始末した。
 私は大哥ダーグァのバァルを三哥サングァのモトが殺したと知り、カッとなった私は隙を突いてモトを殺害し、その身体を斬り刻んですり潰し、焼いた後にふるいにかけて大地に撒いた。
 バァルを生き返らせると、今度はその妻にされ、嘆いていると7年後にモトが復活した。実は密かに黄泉還反魂リザルトでモトを生き返らせて、バァルと再び争わせたのだ。
 父である唯一神ヤハウェの仲裁により、休戦条約が締結された。その後すぐにアダムが父によって天界を追放されたので、それを口実に私は地上に降りた。
 休戦したのなら、私は再び実の兄であるバァルの妻にされてしまう。まだ親戚であり、兄の様に慕うルシフェルに嫁いだ方がマシだ。
 つまり、三哥モトを殺したのは、妹の私なのだ。会いたいはずなど無い。しかしハーデスも倒された今、頼れる者は他には居ない。どんな反応をされるか分からないけど、妹である事を頼りに行ってみようかと考えた。
 ここまで大事になる前に、冥界の門を閉じて天界に戻れば良かったのだ。だが多くの仲間が殺され、今となっては、せめて遺体を回収するまでは帰れない。
 そう言えば、宮本武蔵や阿籍ア・ジーは何処に行ったのだろうか?
自動書込地図オートマッピング
『検索:モト』
 宙に浮かび上がった地図を指でタップすると、モトの位置を光らせて教えてくれた。
「ここが三哥あにの居城ね?」
光速飛翔ライトニングレイヴン
 光速で空を飛んで城を目指した。

「竹千代(徳川家康の幼名)!閻魔王を攻めよ!しかしこれは、俺がモトを倒して合流するまでの時間稼ぎよ。それまで戦線を維持せよ!」
 織田信長(綾瀬潤)は、ほぼ全軍を率いてモトを攻めた。その数300万。しかしモトの軍勢は1500万以上と、その差5倍であった。
「5倍か…肩慣らしには丁度良い」
 モトの先陣が現れ、騎馬隊が向かって来るのが見えた。
「鉄砲隊、前へ!」
てぇー!」
 銃撃音が周囲に木霊こだまする。それは雷鳴にも似た音で、発射された弾はモトの騎馬隊を貫通した。騎馬隊のほとんどを討ち取ると、信長(潤)は突撃の合図を出した。
 モト軍は歩兵と弓兵しか残っていなかった。そこへ織田が誇る騎馬隊が突撃して来たのだ。もはや戦などではなく、一方的な虐殺であった。
 それを冷ややかに、怪しく光る目で信長(潤)は見ていた。

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